■ 過去の『一言』(2001〜2023)
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(2015年 7月 〜 2015年12月)


(2015年12月31日) 【年賀状】 [▲ 先頭へ]

生徒の皆さん一人一人のことを考えました。サミット・ゼミの授業納めは昨日でした。その授業納めの日の早朝、生徒の皆さんへの年賀状を書きました。学年ごとに印刷するフォーマットには2〜3行書き込めるスペースを設けてあります。今年を振り返り来年への期待を込めて、私の気持ちを凝縮したメッセージを考えました。難しい大学入試の問題を解くときのように集中していました。

中学生は定期テストの後、高校生は全国模試の後に行っている父兄の皆さんへの定期電話連絡では、いろいろな要望をお聞きします。生徒さん一人一人とできるだけ対話して観察しているつもりですが、まだまだ足りない面があります。縁あって出会った生徒の皆さんですから、しっかり導かなければなりません。

年賀状を書きながら、来年一人一人をどのように導こうか考えました。17年余りの経験を基に、それぞれの性格に合わせて上手に接していくつもりです。熱いだけではダメで、時にはさりげなく、時には突き放すことも必要だろうと思います。狙いは「心に火をつける」です。

2015年も間もなく暮れようとしています。一年を振り返った上で、新たな覚悟を持って新年を迎えます。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


(2015年12月24日) 【本屋へ行こう】 [▲ 先頭へ]

仕事柄よく本屋さんへ行きます。今月に入ってうつのみや本店へ行った時、学習参考書のコーナーである本が目に留まりました。『東大合格生の秘密の「勝負ノート」』という本でした。手にしてペラペラめくってみると、参考になるノートの作り方が紹介されていました。学習参考書のコーナーには参考書や問題集だけではなく勉強法に関する本も並んでいます。

高2クラスの皆さんに、今年本屋の学習参考書のコーナーに行ったことがあるかどうか聞いてみました。結果は、半分程度の人しか立ち寄っていませんでした。金沢大学水準以上の大学を目指す高2クラスですから少しショックでした。

先々週の本欄で述べた通り、期末テストが終わった高2の皆さんに受験勉強モードに入るように指示しました。そして先週の高2クラスでは、なるべく早い時期に本屋の学習参考書のコーナーに行くように話しました。私がチェックした本だけではなく勉強法の本からは参考になる情報を得られるはずです。また、この時期は各大学の赤本が並んでいますから、良い刺激を受けるでしょう。

本屋さんへ行く時は、大きな本屋さんを選ばなければなりません。当ゼミに通ってくれている生徒さん達にはうつのみや書店の工大前店が近くて便利なのですが、品揃えの観点からはやはり本店へ行くべきです。本欄で何回も述べていますが、うつのみや書店本店の学習参考書の品揃えは十分なレベルにあります。


(2015年12月17日) 【余力を残さない】 [▲ 先頭へ]

中3クラスの皆さんと個別反省会をしました。期末テスト、実力テストそして模擬試験の結果を受けて私立、公立の志望校について話し合いました。今回の反省会では、6名中4名に勉強に対する努力のレベルを聞いてみました。自分が持つ能力を10として、現在の力の出し具合を自己評価するものです。

自己評価を尋ねた人たちは、模試の結果、それぞれの志望校の基準偏差値(ほぼ合格できる水準)に3〜4ポイント達していませんでした。努力のレベルは、4名の内3名が8で、1名が7でした。その数値は、それなりに勉強はしているものの全力で取り組んでいるというわけではないことを意味しています。すなわち、余力を残しているということです。

何かを成し遂げようとする時に一番大切なことは、目標に対する情熱です。受験においても同様であり、絶対に志望校に合格するぞという強い気持ちが最も必要な条件です。合格できれば良いなという気持ちでは合格はおぼつきません。

高校受験に際して、目標に向かって全力投球するという姿勢は非常に重要です。それは、3年後の大学受験につながるからです。高校受験で余力を残す負の経験は大学受験でも繰り返されます。中3クラスでは、結果を気にせず、受験に至る過程を大切にしようと話しています。余力を残さないで全力で頑張るという経験は3年後に活きるはずです。


(2015年12月10日) 【スイングバイ】 [▲ 先頭へ]

先週木曜日(12/3)に、小惑星Ryuguを目指す「はやぶさ2」が、地球に接近し地球の引力を利用して軌道修正しました。スイングバイというそうですが、そのようなことが可能なこと、そしてそれを実現する技術力に感動を覚えました。

ところで、金沢の各高校では期末テストが終わりました。宿題が出る冬休みまでの間は比較的ゆったりとした期間のようです。しかし、のんびりしている余裕はありません。この時期から来年の春休みまでは高2生にとって非常に重要な期間です。

彼らが受験する大学入試センター試験の実施期日は既に2017年1月14日・15日と発表されています。そのセンター試験までは1年1ヶ月あります。助走距離が長ければより遠くまで飛ぶことができるので、期末テストが終わった今こそ受験勉強をスタートさせるべきです。4月になって多くの高3生が勉強し始める前にリードをつけることは大きな意味を持ちます。受験においては先行逃げ切り型が強いのです。

今週の高2クラスでは、冬休み前のこの時期から大学受験を意識した勉強を始めるように指示しました。丁度10月の全国模試結果が戻ってきました。模試結果を分析することから受験勉強をスタートさせれば良いと思います。

高3生が受けるセンター試験は来月16日・17日です。次のセンター試験が迫っているこの時期をきっかけにして、高2生が受験勉強モードに入ることは、受験におけるスイングバイと言えるかもしれません。従来の勉強に対する姿勢を修正して1年後に向けて加速させるのです。


(2015年12月03日) 【力を蓄えるチャンス】 [▲ 先頭へ]

定期テストは力を蓄えるチャンス。アクタス9月号の特集、大学受験・不合格体験記に登場したある学生が語っています。その学生は、その場しのぎで暗記し、テストが終わった瞬間に忘れていたとのこと。対策が遅れ一夜漬けに近い状態で定期テストに臨んでいたそうです。

各高校では先月末から今月初めにかけて期末テストが実施されています。テスト勉強に集中してもらうため、ゼミの授業日を調整しました。サミット・ゼミの特長の一つである英文解釈の試験範囲を復習する特別授業は、高1クラスで行いました。

定期テストの重要性は様々な場面で感じますが、高2生が秋に受ける進研模試は典型例の一つです。高2の夏までは英数国の3教科でしたが、秋の模試からは理科・社会が入ってきます。理科・社会の模試結果には、それまでの定期テストでの勉強の積み重ねが反映されます。高1からの定期テストで真面目に勉強していれば良い成績が取れます。そして、今までの経験上、この高2秋の模試での理科・社会の不振はその後なかなか改善されません。

不合格体験記の別の学生は、浪人が決まった時に反省点を書き出したそうです。最大のポイントは基礎を疎かにしたことでした。苦手意識のあった数学では、授業や定期テストで分からないことがあっても、「まあ、いいや」と放置していたとのこと。基礎があやふやであれば応用問題どころか基本問題も解けません。

定期テスト毎に教科書をベースにした勉強を積み重ねれば確実に基礎力がつきます。この当たり前のことを地道に実践することで志望校への道が拓けます。定期テストは力を蓄えるチャンスなのです。


(2015年11月26日) 【OECD教育調査資料】 [▲ 先頭へ]

昨日の新聞各紙で、教育への日本の公的支出がGDP(国内総生産)比で最下位を脱していないと報道されました。これは、経済協力開発機構(OECD)が前日24日に発表した「図表でみる教育2015版」の内容を受けた報道でした。11月5日付けの本欄で、日本の教育に対する公的支出がGDP比で少ないと述べましたが、正にこの状態が続いていることになります。

GDPに占める教育機関への公的支出割合は、OECD平均4.7%に対して日本は3.5%で、比較可能な32か国中、スロバキアと並び最下位でした。因みに、今月の本欄で触れたフィンランドは5.7%、お隣の韓国は4.7%でした。

上記の「図表でみる教育2015版」(Education at a Glance 2015)の原文を見てみました。全部で568ページに亘る膨大な資料でした。どれ位の割合の人が高等教育を受けているか、親の教育水準がどの程度子供に影響しているか、教育と収入の関係、海外留学の状況、先生の収入等、実に様々なデータが調査されていました。”at a glance”「一見して」というタイトルが相応しくないなぁと思いながら資料をざっと眺めました。

先生の待遇については、新聞報道にあったOECD教育・スキル局長の「給与、勤務条件を見ると、日本の場合は悪化しており、問題があるように思われる。優秀な人材を教職に引き付けることが重要だ。」という言葉が警鐘を鳴らしています。地元選出の文科大臣はどのような施策を打つのでしょうか。


(2015年11月19日) 【英語で自己紹介】 [▲ 先頭へ]

充実した英会話練習でした。先週の本欄で述べた通り14日の中3クラスで英会話練習をしました。今年度の中3クラスは夏休みから人数が増えて、これまでは文法の確認やテスト・模試対策等に追われていました。大きな目標であった統一テストが終わり、期末テスト対策まで少し余裕があったので試みてみました。

内容は自己紹介でした。先ずは、A4用紙の左半分に10文以上で書いてもらい、それを添削しました。次に、高校向けリスニング教材にある自己紹介の英文・和訳のスクリプトを渡したうえで英語を流しました。ノーマルのスピードだけではなくゆっくり目のスピードでも流したので、彼らにとって難しくはありません。英語を聴いた後、自己紹介の素材を説明し、用紙の右半分にもう一度書いてもらいました。

今度は発表です。6名ともまとまりのある良い内容でした。工夫をこらした面白い発表もありました。ただし、発表だけでは英会話練習にならないので、それぞれの発表に対して他の人は必ず質問を考えるという条件を出しました。6名それぞれの発表に対して私があてた1名が質問し、発表者が答えました。会話はもちろん英語です。その後に私との質疑応答を加えました。

自己紹介文では主語が “I” になりがちになるのでテクニックを伝えました。発表の時はゆっくりと大きな声で話すように指示しました。会話する時は文法を間違えても全然構わないことも伝えました。それらを踏まえてなかなか良い英会話練習ができたと思います。英語が好きな人だけではなく、恥かしがり屋の人や少し英語が苦手な人もやって良かったと評価してくれました。

英語での自己紹介の経験は将来どこかで彼らの役に立つはずです。自己紹介以外でも英会話練習を繰り返したいところですが、今後は定期テスト、実力テスト、模試などが続くので時間を取るのは難しいかもしれません。


(2015年11月12日) 【中3生、試練の時期】 [▲ 先頭へ]

中3生が受ける地域統一テストが昨日実施されました。夏休み後の大きな目標のテストですから、夏期講習終了時に統一テストに向けた勉強法を説明しました。ゼミの授業も先月後半からは50分の実戦問題を繰り返して備えてきました。大きなテストを前にして中3クラスの皆さんは一様に緊張していました。緊張をほぐすような話もしましたが、彼らのテスト結果が気になるところです。

次の大きな目標は冬休み明けの統一テストです。学校においては公立高校受験校を決める重要なテストです。明後日の授業では、この統一テストに向けた勉強法を説明するつもりです。同時に、15日の日曜日から3月の公立高校入試日までの毎日の予定が書き込める計画表を配ります。1月の統一テスト、私立高校入試そして公立高校入試それぞれに向けて計画的に勉強して欲しいからです。

次の統一テストに向けた中期計画の中で、今月末から来月初めにかけて中3生は試練の時を迎えます。2学期の期末テスト、実力テストそして模擬試験の3つのテストが続きます。高校受験を終えた生徒さんの多くが、1年で一番辛かったと振り返る時期です。正に頑張りどころです。

テストが続くので生徒の皆さんにはストレスが溜まると思います。頑張れ、頑張れ、ではなく適度な息抜きについても適宜指示しようと考えています。先ずは、最初の統一テストが終わったので、土曜日の授業では、気分転換として楽しい英会話練習をするつもりです。楽しい♪と感じてくれれば良いのですが…


(2015年11月05日) 【先生が本来の仕事をするには】 [▲ 先頭へ]

教育現場の問題点を一言で言うと何か。高校の先生になった元生徒に尋ねました。彼の答えは、学校に求められる教育内容の増加とそれに伴う教師の多忙化でした。教育活動とは、授業で行われる知識・技能の習得、学校で過ごす時間すべてを通して行われる道徳教育、授業や家庭での指導にまで踏み込んだ体育・健康に関する学習とのこと。これは現行の学習指導要領に書いてあるそうです。要するに、いろいろあって本当に大変だということです。

10月15日付け本欄で触れた文藝春秋11月号の教育特集で、池上彰さんがフィンランドの学校について紹介していました。フィンランドでは学校の先生は授業以外の業務が一切なく、教えることに専念しています。放課後のクラブ活動は、生徒が地域のスポーツクラブでやり、いじめ等の問題に対しては専門のカウンセラーが学校にいるそうです。「教師の仕事は、きちんと教えてしっかりとした学力をつけることだ」と明確です。

フィンランドの教育は20年位前までは好ましいものではありませんでした。しかし、教育改革に予算を集中的に投入し、教師の待遇を弁護士や医師の水準に引き上げ、全ての学校で教師を修士号以上にしました。そのような改革により、世界トップの教育水準になりました。

教育予算に関しては、日本は経済規模の割には公的教育支出が少ないとよく指摘されます。2014年版OECD資料を調べてみると、初等中等教育及び高等教育以外の中等後教育に対する公的支出は、OECD平均はGDP比3.6%に対して日本は2.7%でしかありません。これはOECD 34か国中31位です。

教育現場の最大の問題点は先生の多忙さですから、学校の先生が本来の仕事ができるような環境を整えることが教育における最優先課題のはずです。教えること以外の業務に関してはフィンランドのように専門家をおくのが良いと思います。例えば、モンスターペアレントには弁護士が対応すれば状況は変わるでしょう。もちろんそのようにすれば相応のお金がかかります。

経済レベルを維持しさらに発展させる根本は教育にありますから、必要な支出は絶対にすべきです。そして、必要な支出をしているかどうかの一つの目安がGDP比率と考えられます。この点で日本は教育を軽視していると言わざるを得ません。先週の新聞報道によると、来年度予算の編成作業をしている財務省は、小中学校の教職員数は減らしても現在の教育環境を維持できるとして、教員37 000人の削減を求めています。国の将来を案じない亡国の要求です。どのようにすれば良いのでしょうか。


(2015年10月29日) 【英語の教科書の活用 その3】 [▲ 先頭へ]

ある受験参考書で高校英語の勉強法が紹介されていました。ノートの左側に英文解釈の教科書の英文を写し、右側に各英文の和訳を書く予習をし、学校の授業で自分の和訳が正しいかどうかチェックするというものでした。難しい英文ではしっかり考え、英文構造を見抜けない場合は、ここがわからないという問題意識を持って授業に臨みます。私はこれが英語の勉強の基本だと思います。

浪人して名古屋の河合塾に通った元生徒から、彼が使った英文解釈の教科書をもらったことがあります。その教科書の最初のページには、名詞の働きをするもの、形容詞の働きをするもの、副詞の働きをするものを分けるよう手書きされていました。河合塾の先生が、英文構造を分析するように指示したと思われます。

5文型そして修飾語を見抜く勉強をすれば英語はよく分かるようになります。大学入試を乗り越える英語力とは、外国人と楽しくお喋りするというレベルではなく、そのままビジネスや調査研究の第一線で活きるものでなければなりません。英語を母国語としない私たちが英語をマスターするには、それ相応の勉強が必要です。

要するに英文解釈の教科書を徹底的に使えば良いのです。不定詞が出てくれば何用法かを確認し、分詞構文が出てくればそれを確認し、would が出てくればどのような性質のwould かを確認し、関係代名詞が出てくればどこからどこまでが先行詞の名詞を修飾しているのかを確認するような授業をすれば、難しい英文でも理解できるようになります。

しかし、そのような授業をしている高校の先生は全くと言ってよいほどいません。教科書をそのまま使わずオリジナルのプリントが使われています。何故教科書を徹底的に読みこなさないのでしょうか。プリントを使えば、工夫して授業を進めていると評価されるからでしょうか。

なお、冒頭の勉強法において、教科書の英文をノートに写す時間を省くためにコピーを活用できます。また、手間を省くために和訳だけを書いても良いと思います。簡単な英文の和訳を省略すれば、さらに時間を節約できます。瞬間的に英文構造がわかり和訳できるという場合を除いて教科書の英文の和訳を書く、これが究極的な勉強方法と言えそうです。


(2015年10月22日) 【英語の教科書の活用 その2】 [▲ 先頭へ]

やりきれない思いになりました。頑張る生徒がかわいそうでした。今月は各高校で2学期の中間テストが行われており、英語は通常授業に代えてテスト対策の特別授業を行いました。英文解釈の試験範囲を復習する特別授業については本欄で何回かご紹介しています。

進学校に通うA子さんは厳しさで知られる部活を続けています。特別授業で彼女は英文解釈の教科書をしっかり和訳することができませんでした。分詞構文や仮定法という大切なポイントを見逃していました。聞けば、学校の授業では教科書本文の文法的な説明はほとんどなされず、プリントを使った予習では、英文をしっかり読みこなさなくても、何となく分かればできるとのことでした。教科書の英文を正しく訳せないA子さんは悲しげでした。

そのような勉強の仕方では模試の長文問題は解けません。ましてや大学入試には通用しません。勉強の基本は授業で教科書を使いこなすことです。然るべき教科書が採用されているのに、宝の持ち腐れ状態です。部活で頑張っている生徒はどうしても自宅学習時間が限られます。効果的な授業でなければ、彼らを志望校に導くことはできません。

何年か前にこんなことがありました。国立の進学校に通う生徒さんと特別授業をした時、教科書はほとんど活用されていませんでした。そんな授業で何故みんな英語ができるようになるのだろうと尋ねると、「みんな東進に通っている」と言われました。口にする言葉がありませんでした。

10年以上に亘って高校毎に特別授業を行ってきたなかで、素晴らしい授業をされていると感じた高校の先生は一人だけで星稜高校の先生でした。英文解釈の授業で英文解釈の教科書を徹底的に活用するという基本の姿に立ち戻れば、高校生の英語力は確実に伸びるはずです。部活で頑張る生徒を支えることにもなります。


(2015年10月15日) 【おかげさまで17周年です】 [▲ 先頭へ]
明後日10月17日はサミット・ゼミの開校記念日です。おかげさまで17周年を迎えることができました。生徒の皆さん、ご父兄の皆さんに支援し続けて頂いたおかげです。本当にありがとうございました。

先日本屋さんに行き必要な本を買った後、平積みされている文藝春秋11月号が目に入りました。「大特集 日本再興の鍵は教育にあり」という赤いキャッチコピーのアピール力は、私に2度目の会計をさせるのに十分でした。その特集は、お馴染みの池上彰さんと作家・元外務省主任分析官である佐藤優さんの対談の形でした。最初のテーマは「教育の究極の目的とは何か」で、池上さんは「よき納税者を育てること」、佐藤さんは「信頼の醸成」と述べました。それぞれに説明が必要ですが、ここでは省略します。

私とは異なる観点からの主張で、そんな見方もあるのだなぁ、と感じました。私は、教育の目的とは、将来世の中に出た時に活躍できる、あるいは自己実現できる素地を作ることと考えています。ビジネスマン時代に然るべき仕事ができたのは、学生時代に様々な知識を得て、思考力を磨いたことがベースにありました。

様々な知識と思考力の掛け算で人間の総合的能力が決まるという、2002年にノーベル物理学賞を受賞された小柴昌俊東大名誉教授の言葉は、上記の経験に基づく私の考え方に正に符合します。また、NHK番組「マイケル・サンデルの白熱教室」のハーバード大学サンデル教授は、「最高の教育とは、自分自身でいかに考えるかを学ぶことである」と述べています。

大学入試、高校入試が直接的な目標ですが、将来を見据えて学力を伸ばすという土台に立って、これからも中高生の皆さんを導くつもりです。また、自分自身の勉強も怠らないようにする覚悟です。18年目もどうぞよろしくお願い申し上げます。


(2015年10月08日) 【後置修飾】 [▲ 先頭へ]

金沢の中学では今月に入り2学期の中間テストが行われています。中3の英語の試験範囲には非常に大切な分野が含まれています。それは後置修飾と言われるもので、1つのまとまった語群が後ろから前の名詞を修飾する文構造です。

金沢市内の中学が使っているSunshine 3の教科書での基本文は“I mean the man sitting on the chair.”(私はイスに座っている男の人を意味します。)と”That is the temple built by Ashikaga Yoshimitsu in 1397.”(あれは、1397年に足利義満によって建てられた寺です。)です。sitting on the chair、built by Ashikaga Yoshimitsu in 1397がそれぞれ後ろからthe man、the templeを修飾しています。

名詞がまとまった意味を持つ語群に修飾されますから1つの文が長くなり、文構造は複雑になります。あやふやな理解では和訳や英作はできません。そして、この構文は、次に学ぶ関係代名詞の構文につながります。関係代名詞の構文は後置修飾のお兄さんとも言うべきさらに複雑な文構造で、英語が分かるかどうかが決まります。

私は、今回の試験範囲の構文、関係代名詞の構文それぞれのポイントをまとめた説明メモを準備しています。10年ほど前に説明のポイントをまとめてみようと思い立ち、生徒の皆さんの理解の具合を見ながら修正を施して4〜5年かけて現在のバージョンが出来上がりました。複雑な構文ですから、より分かり易く説明するためのメモを完成させるまでに時間がかかりました。

中3クラスでは、説明メモを基にホワイトボードで上記の基本文を説明し、ノートに書き写してもらいました。テスト対策で教科書を復習した際には、この構文が本文に出てくる度に説明しました。生徒の皆さんのテスト結果が気になるところです。


(2015年10月01日) 【英字新聞の効果は?】 [▲ 先頭へ]

先週の本欄でご紹介したアクタス9月号の不合格体験記からもう1つ。現役の時にニュ−ヨーク・タイムズを原文で読んでいた人がいました。得意な英語をさらに伸ばすためでしたが、入試英語の得点力アップには直結しなかったとのこと。基本を大切にする姿勢が欠けていたと分析しています。予備校で英単語の品詞や句、節の解読に取り組むことで、長文をしっかり読めるようになったそうです。

これは興味深い体験です。英字新聞を読めるのであれば入試問題を解けそうに思えますが、決してそうではなかったということです。何故英語の新聞を読むことが入試に効果がなかったのかの分析はありませんでしたが、おそらく新聞では記事の内容が大体わかればOKであるものの、入試問題では英文をしっかり読み込むことが要求されるからだと思います。そのために、品詞、句や節の理解・分析が必要になります。

文の4要素はS(主語)、V(動詞)、O(目的語)、C(補語)で、句や節は修飾語(M)に当たります。例えば、関係代名詞は名詞である先行詞を修飾する形容詞節を作ります。修飾語は文構造を複雑にしますから、句や節の理解は重要です。また、同じ綴りの単語が思わぬ意味を持つことがあります。例えば、last には「続く」という動詞の用法があります。ですから、形容詞、副詞、動詞といった品詞の理解も必要です。

品詞、句、節を詳しく教えている高校の先生はほとんどいないようです。しかし、英語が本当に分かるというレベルに達するためには、これらを理解して実際の英文で分析する力は不可欠な条件だと考えます。「大体分かる」と「本当に分かる」の差は小さくありません。因みに、サミット・ゼミでは、品詞や句・節をきちっと教えています。長文問題の解説では難しい構造の英文はホワイトボードに書いて、5文型のどれか、そして句や節の修飾語を説明します。

英語が本当に分かるようになれば、大学入試の問題に自信を持って臨めるだけではなく、社会に出て実際に英語を使ってビジネスをしたり、コミュニケーションをとったりする際に不安を抱くことはなくなります。


(2015年09月24日) 【不合格体験記】 [▲ 先頭へ]
先月発売のアクタスに面白い特集がありました。大学受験の不合格体験記です。浪人を経験して合格した大学生がそれぞれ現役時の反省を語っています。合格体験記はよくありますが、不合格体験記はあまり目にしません。合格体験記は当然参考になりますが、考えてみれば、不合格体験記の方が、受験生に心底から迫るのではないでしょうか。

特集記事を読むと、正直で説得力ある反省点が山盛りでした。「現役合格できなかった最大の理由は自分の力不足を素直に認めていなかった点」や「(数学の問題を)解けない現実を直視するのが怖くて過去問練習をろくにしなかったこと」は、自分の実力を冷静に把握することの重要性を語っています。現実を直視しなければならないのは、社会に出てからでも全く同じであり、課題を解決したり、何事かを成し遂げたりする際に最も重要なポイントです。

基礎をおろそかにして教科書レベルの理解不足が根本にあったと分析した大学生がいました。部活に忙しかった大学生は、定期テストや小テストをその場しのぎで受け、力を蓄えるチャンスを無駄にしたと分析しました。間違えた問題のやり直しが苦手克服の王道であるのに、模範解答を読んで何となく理解した気になって満足していたという分析もありました。

これらの反省点は、現役生だけではなく高1生、高2生にも大いに参考になります。不合格の体験記は大学受験に向けた至言集、金言集のように感じます。素晴らしい情報なので、ゼミの高校クラスの皆さんにも紹介しています。皆さん真剣に聞き入っています。自分のことを言われていると感じている人もいるようです。


(2015年09月17日) 【石川の学力】 [▲ 先頭へ]

石川県の小中生の学力は素晴らしいものでした。先月25日に文部科学省が全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)の結果を公表しました。小学6年、中学3年は、調査された国語、数学(算数)、理科の全10科目で全て全国4位以内でした。

全国レベルの学力という意味で、東大や京大の合格実績が気になります。以前から、東大合格実績において石川県の成績は見劣りすると思っていました。それは単に著名な中高一貫校と比べていたからです。因みに、今年の実績では、開成185人、灘92人に対して、石川県全体で30人でした。毎年の全国学力テストでは成績上位なのに変だなぁと漠然と感じていました。

しかし、見方を変えて調べてみたところ、我が石川県はかなり健闘していることがわかりました。今春入試で定員3 063人の東大では30人が合格で占有率は0.98%、定員2 866人の京大では50人の合格で占有率は1.74%でした。2つの大学合計での占有率は1.35%です。

人口をみてみると、日本の人口は8月1日の概算で1億2 689万人、石川県の人口は7月末で1 157 536人でした。石川県の比率は0.91%です。従って、東大・京大合計の合格占有率1.35%は好成績と言えます。2つの大学合計の定員5 929人において54人が全国平均の数値であるところ80人も合格したのですから健闘が光ります。

因みに、昨年は両大学合計で61人の合格で占有率1.03%、一昨年は70人の合格で占有率1.18%でした。今春ほどではありませんが、過去2年も全国平均を上回っていました。やはり石川県の学力レベルは高いと言えます。この遣り甲斐のある環境において、私も出来る範囲で石川の中高生の学力向上に寄与したいと思います。


(2015年09月10日) 【習得してもらうことの難しさ】 [▲ 先頭へ]

物を教える難しさを改めて感じたことがありました。それは、8月23日に行われた石川県総合模試の数学、1次関数の問題です。

8月13日付け本欄で述べた通り、中3クラス夏期講習の数学では1次関数、方程式文章問題、三角形の合同・平行四辺形の証明の3分野を徹底的に問題練習しました。1次関数では様々な問題を解いた後、問題を解くための6つの解法パターンをホワイトボードに書きました。そして、それぞれのパターンの確認の説明をした上で、ノートに写してもらいました。模試・実力テスト・統一テストへの万全の対策のつもりでした。

8月23日の模試で出題された1次関数の問題は難しかったのですが、正に6つのパターンの内の1つで解けるものでした。しかも、特に念入れに説明していた非常に重要な解法パターンでした。模試翌日に届いた数学の問題を見て、小さくガッツポーズでした。しかし、優秀な中3クラスの6名の生徒さんの内、その問題が解けたのはたった1人でした。

ショッキングな結果でした。しかし、良い教訓になりました。しっかり説明したと思っても、実際に生徒の皆さんの力になっていなければ意味がありません。それでは、どうすれば良いか。数多くの問題を解くことによって、各解法パターンの経験を積んで実戦力を高めていくしかありません。考えてみれば、これは高校の数学の勉強方法です。中3生はこれから2次関数、相似、三平方の定理と難しい分野を学んでいきます。今後は、この高校数学につながる勉強方法を生徒の皆さんに意識してもらいながら授業を進めるつもりです。


(2015年09月03日) 【夏期講習の通知表】 [▲ 先頭へ]

先週末、中3クラス夏期講習が終了しました。通常授業より時間も回数も増やして5教科全ての授業をしたので、終了後は小さな達成感がありました。しかし、生徒の皆さんの学力アップを確認して初めて安心できます。これは模試や各学校の実力テストではっきりします。彼らの成績は、彼ら自身の頑張りを示すだけではなく、夏期講習の授業に対する私への通知表でもあります。

夏休み後半の8月23日に第2回石川県総合模試が行われました。どきどきしながら待っていた模試結果が丁度返ってきました。6人の皆さんの成績は悪くなく、ほっとしました。私に対する通知表は「まあまあ頑張りました」というところでした。

生徒の皆さんの成績を科目別に見ると、どこにも負けない授業をしているつもりの英語では、ちょっとミスした人もいましたが、大体点数は取れていました。失敗しやすい科目である数学は平均点50.3点のところ、皆さんうまく得点できていました。問題は理科・社会でした。やはり、苦手意識のある科目の成績は伸びていませんでした。

実力テストの結果がもうすぐわかるので、模試結果と合わせて個別に反省会をするつもりです。来年3月の入試への第一関門である11月の統一テストに向けて、彼らのやる気を一層引き出すような実りある話し合いをしたいと考えています。


(2015年08月27日) 【大学受験の心構え その2】 [▲ 先頭へ]
大学入試に関するオリジナル資料が幾つかあり、それぞれのタイミングで高校生の皆さんに配布しています。「大学受験の心構え」もその1つで、2009年12月24日付け本欄でご紹介したことがあります。ある受験雑誌をまとめた資料で、「志望校を決めることが受験勉強の第一歩」がキーワードの1つです。毎年秋に高2の皆さんに配っています。

高2生にとって大学入試はまだ遠い先のことのように思えますが、勘定してみると、彼らが受けるセンター試験まで約1年5ヶ月です。入学してから1年5ヶ月になりますから、丁度中間地点です。そろそろ受験を意識しても良い頃です。本欄で何回も述べているように、高3になってから頑張ろうと思っても、他の皆も頑張るので成績を伸ばすことは易しくありません。従って、今から来年の春休みまでの7か月間は大きな意味を持ちます。

先ずは、これから学んでいく分野を苦手分野にしないようにしっかり勉強することが必要です。大学受験とは高校での勉強の集合体ですから、これはまさしく受験勉強そのものとも言えます。そして、できるだけ時間的な余裕を作って、既習の苦手分野をつぶしていくことが望まれます。

進学校では高2の秋からクラスの雰囲気が変わってくると言われます。大学入試が意識されるからでしょう。当ゼミ高2クラスでも、9月に入り学校祭が終わった時点で「大学受験の心構え」を配ろうと思っています。受験を意識した上で、9月からの勉強の一つ一つを大切にして欲しいというメッセージのつもりです。


(2015年08月20日) 【高1生、単語の壁】 [▲ 先頭へ]

5月6日に開講した高1クラスは3ヶ月余り経過しました。各高校の定期テスト、全国模試をその時々の目標にしながら授業を進めています。視野の遠い先には、センター試験や2次試験を捉えています。

高1クラスでのポイントは幾つかあります。主なものは、文法のマスター、英文構造を見抜く目を養うこと、速読に慣れることです。文法は、生徒の皆さんが通う高校のグラマーの授業の進行に沿って各分野を説明しています。英文読解は、精読と速読を繰り返しています。

文法の問題練習にしろ、精読・速読の読解練習にしろ、模試で出題される単語の並び替え問題にしろ、現段階では単語力がネックになることが少なくありません。知らない単語が幾つかあると、問題の難度が想定以上に上がります。そうなると、問題練習の効果が薄れてしまいます。

学習指導要領によると、中学で学ぶ単語数は1 200語、高校では1 800語で合計3 000語です。しかし、大学入試には5 000語程度必要だと言われます。高校で覚えなければならない単語は、学習指導要領の基準を大きく超えます。この数をクリアすることは容易ではありません。

中学時代は英単語でほとんど苦労しなかった高1生に対して、単語の壁が高くそびえ立ちます。この壁をよじ登るために、高校では然るべき時間をかけて単語をしっかり覚えなければならないと認識することが必要だと思います。ほとんどの高校生はこの認識が甘いようです。


(2015年08月13日) 【中3生、中期計画における夏休みの勉強その2】 [▲ 先頭へ]

中3クラス夏期講習の最大の特徴は数学です。理科・社会は中1・2の総復習をしますが、数学は重要分野の問題練習に特化します。その重要分野とは、方程式文章問題、1次関数、三角形の合同・平行四辺形の証明の3分野です。統一テストを含めて今後の実力テスト・模試に必ず出題される分野であり、時間に余裕がある夏休みに徹底的に攻めます。キーワードは、深く考えること、解法パターンを覚えることの2つです。

英語は既習分野をしっかり復習します。大切なポイントはホワイトボードで説明し、ノートに書き写してもらいます。さらに、先日、オリジナルの教科書資料の再確認を指示しました。私の意図は、高校で学ぶ複雑な英文法につながるよう文法の基礎を完璧に固めることです。まだまだ完全ではありませんが、生徒の皆さんは、不定詞の3用法や5文型の見分けが出来るようになってきています。そして、いよいよ英文速読の訓練に入ろうとしています。

国語の授業では、模試過去問を使って、論説文・小説の読み方、答え方の練習をしています。高校入試だけではなく大学入試にも通用する解法の訓練です。夏期講習中に6回の読解練習があり、毎回200字の作文練習もあります。

夏休みの後半、8月23日に第2回石川県総合模試があります。今後の英語・数学の授業では模試過去問練習を重ねる予定です。この50分総合問題練習では、設問の答え方や時間の使い方を解説していくつもりです。夏期講習での勉強の成果が、模試や学校の実力テストでどのように発揮されるかとても楽しみです。


(2015年08月06日) 【中3生、中期計画における夏休みの勉強】 [▲ 先頭へ]

長い夏休みも半分ほど経過しました。サミット・ゼミ中3クラスの夏期講習も丁度折り返し地点に差し掛かっています。通常授業では英語・数学・国語200字作文を学習していますが、夏期講習は5教科全てが対象です。理科・社会は1、2年の総復習をしています。

中3生にとって当面の大きな目標は11月の統一テストです。先日、統一テストに向けた理科・社会の勉強方法について説明しました。それぞれの中学において、夏休みが始まるまでに1、2年の復習が一通り終了しています。夏休みに同範囲を復習します。これが2回目の復習です。そして、9月から統一テストまでの2か月間でもう一度復習をします。このように勉強すれば、統一テストまでに3回復習することになります。

当然のことながら、1、2年の時にそれぞれの分野を学んで、定期テストで知識・理解を確認しています。それを中3の初めから統一テストまでに3回も復習するのですから、かなりの程度マスターできるはずです。そして、恐れることなく統一テストに臨めます。

そういう意味で、夏休みの勉強が大切になります。丁寧にしっかり復習しなければなりません。また、9月からの復習では、学校の勉強との同時並行になりますから計画的な進め方が必要です。これは今月末に生徒の皆さんに説明するつもりです。理科・社会は以上のような進め方で問題ありません。英語・数学は若干異なると考えています。これは来週の本欄で述べるつもりです。


(2015年07月30日) 【東芝事件】 [▲ 先頭へ]

東芝の不正会計事件では、先週、歴代3人の社長が辞任しました。その後も会社幹部が引責辞任したり、報酬を返上したりしています。第三者委員会の報告書には「上司の意向に逆らえない企業風土」「トップが現場を追い込んだ」という衝撃的な指摘がありました。日本を代表する企業での不祥事は、経済的にも社会的にも影響を及ぼしています。私は、会社上層部からの不正指示に対して、中間管理職や一般社員がどのように対応したのか非常に気になります。正論を曲げずに左遷された社員もいるでしょうし、ただひたすら耐えた社員もいることでしょう。

約20年間サラリーマンをしていた私にとって非常に興味深い事件で、推移を見守っています。サラリーマン時代を振り返ってみると、うまく仕事が進んだこともあれば、様々な問題で悩んだこともあります。上司の適切ではない判断により海外の取引先と意見が対立して担当者として苦しんだこと、部と部の間に大きな問題があるのに部長が見て見ぬふりをしたことなど幾つかのケースは忘れられません。今回の東芝のケースほどではないにしても、サラリーマンにとって難題は少なからず生じます。

サミット・ゼミは17年前に開校しました。その時、中1クラスに入ってきてくれた第一期生は今年度30歳になります。高校の先生やIT技術者になった彼らとは今でも連絡を取り合っています。彼ら以外にも社会人になった元生徒の皆さんと飲みに行ったり食事をしたりする機会が結構あります。

彼らが何か問題に直面した時に力になれる存在でありたいと考えています。私はサラリーマン生活に全く未練はありません。しかし、あの時にああしていれば良かったという悔いはあります。苦しんだ当時は対処の仕方がわかりませんでしたが、年齢を重ねてきた今は有効な手立てが思い浮かびます。この経験は難局にある元生徒の皆さんにきっと役立つはずです。


(2015年07月23日) 【努力の人】 [▲ 先頭へ]

先週の本欄で灘校と開成学園の教育に関する本について触れました。先週ご紹介した教科書の大切さ以外にも印象に残ったことがいくつかあります。その内の1つが、灘校に通う人たちについての記述です。灘校生も大半が「努力の人」だったそうです。その部分の記述は次の通りです。

正直、「灘校は日本一の学校だ」と聞いていたので、もっととんでもなく頭のいい人たちがたくさんいるのかと思っていました。もちろん、各学年のベスト5くらいには、本当に飛び抜けてすごい、天才肌の人がいました。けれど、それ以外は自分と同じで、みんな受験の前は結構集中して勉強し、灘校に入った「努力の人」なんだとわかりました。

この感覚は、私が東大に入って感じたことと全く同じです。法学部へ進学する文科T類と経済学部へ進学する文科U類の学生が、第2外国語に基づいて各クラスに分けられました。私のクラスには55名いました。その内の2〜3人は本当に飛び抜けていて凄いと思いました。しかし、彼ら以外は、私も含めて、努力して東大に進んだ人たちでした。

私の場合は、現役の時に苦手だった英語が、河合塾でしっかり学んだおかげで一番の得意科目になりました。怪しげだった現代文も河合塾で紹介してもらった一冊の参考書で克服しました。また、以前、本欄でご紹介したことがありますが、数学が苦手だった仲の良い友人は、高3になる春休みに、教科書を復習してだんだんできるようになりました。

私はゴルフ、テニスが大好きです。若い頃から結構練習してきました。しかし、どれだけ努力しても松山英樹や錦織圭にはなれません。スポーツや芸術ではやはり生まれ持った才能が必要です。ところが、勉強に関しては、誰でも努力すれば相当のレベルに達することができるのです。才能とは努力を継続できる力であるという言葉は、特に勉強において真実です。

先週、今週の本欄のテーマは、ゼミの各クラスで生徒の皆さんに話しています。丁度夏休みが始まったところです。彼らが机に向かうきっかけになればと思っています。


(2015年07月16日) 【やはり教科書が基本】 [▲ 先頭へ]

朝日新聞に勤務する大学時代の友人から、参考までにと、朝日学生新聞社が発行した本をもらいました。中高一貫校の東西の雄である灘校と開成学園についての本で、この2つの学校がどのように生徒を指導し、教育しているのかが書かれています。各校OB数人のインタビューも掲載されていて、その中に教科書の大切さを述べたものがあり、印象に残りました。

灘校OBのAさんは、お父さんが商社マンで、中学時代は南アフリカ共和国の日本人学校で過ごしたそうです。Z会の通信教育には申し込んでいたものの、その当時は日本からの郵便は2〜3週間かかっていたので、教材が届いてから答案を送ろうにも締め切りに間に合わず、結局は一切やりませんでした。勉強するには、教科書を読むしかありませんでした。

同級生10人で競い合いながら教科書だけを一生懸命覚えたAさんは、中3の6月に日本に戻ってから全国模試を受けると全国10位になりました。勉強の環境が悪い中、教科書だけの勉強だったのに好成績でとても驚いたそうです。Aさんは、教科書を、調べに調べつくされた最高の参考書と語っています。

Aさんが使っていた教科書はゆとり教育が始まる前の物で、今の教科書より詳しい内容です。従って、今の中学において教科書だけの勉強で足りるかというと、何かで補強する必要はあるとは思います。しかし、やはり基本は教科書です。教科書をマスターしないで参考書や問題集に取り組むのは、土台が弱いまま家を建てるようなもので、模試や入試のような強風には耐えられません。


(2015年07月09日) 【特別授業での対話】 [▲ 先頭へ]

各高校では先月末から今月初めにかけて定期テストがありました。5月に開講した高1クラス(英語)の皆さんとは、今回初めてテスト対策の特別授業を行いました。英文解釈の教科書の試験範囲を復習するテスト対策の授業については本欄で何回かご紹介しています。

現在高1クラスに在籍している4名は別々の高校に通っています。従って、通常授業に替わる特別授業は4回行いました。授業数が増えるので大変ですが、生徒の皆さんの英語力を向上させるとても大切な機会であると考えています。英文構造を見抜く力をチェックしたり、英語の勉強方法についてアドバイスしたりできるからです。さらに、今回のような1名毎の個別の特別授業であれば、勉強、部活や進路についてじっくりと話し合うことができます。

2時間の授業では、1時間ほど教科書の復習をした後に休憩します。この休憩時間にいろいろ話します。今回の特別授業ではある生徒さんとかなり時間をかけて話し合いました。勉強に対する姿勢や進路だけではなくプライベートのことも話題に上りました。

以前、悩みを抱えている部活について話しているうちに泣き出してしまった生徒さんもいました。様々な悩みについて、解決するまでには至らないにしても何らかの指針をアドバイスすることはできます。また、悩みを話すことで気持ちが落ち着くこともあります。特別授業での対話の意義は小さくないと思っています。

同じ高校に通う生徒さんが2名以上であれば、その複数の生徒さんとの特別授業になります。この場合、英語や他の科目の勉強についての話であれば共通のテーマであり問題ありません。しかし、部活やその他の個別の相談ができなくなります。このような時は、授業前後に時間を作るようにしています。


(2015年07月02日) 【英語ができれば入試に強い】 [▲ 先頭へ]
本日、新聞各紙に生徒募集のチラシを折り込みました。今回のチラシのキャッチコピーは「英語ができれば入試に強い」にしました。長い間、「少人数制で伸ばします」というコピーを使っていましたが、2年前から少しずつ替えています。折込チラシのキャッチコピーは、ご父兄の皆さんへのメッセージですから、何が良いか考えて悩みます。今回はサミット・ゼミの強みを活かしたコピーにしました。

入試における英語の強みはその確実性です。あるレベルに達すると英語は安定的に得点できるようになります。センター試験の英語筆記は200点満点です。マーク式模試でコンスタントに170点から180点取れるようになれば、センター本番で160点を割ることはほとんどありません。中3生がうける模試で80点以上取れる実力になれば、70点以下になることはなくなり、入試本番でも80点以上取れるはずです。

数学には英語とは違う怖さがあります。かなりの実力があっても大きく得点を落とすことがあります。数学のセンター試験は時間との勝負という側面がありますから、ちょっとした計算ミスや勘違いで失敗してしまいます。高校入試でも同様で、ある問題で考え込むと時間がなくなりパニックに陥ることがあります。

私は現役で受けた大学入試は英語で失敗しました。単語力が不足している、文法が完全ではない、英作が苦手という状況でした。浪人の一年間でこれらを克服して、英語が一番の得意科目になりました。英語がわかるようになるためには地道な努力が必要です。その際、どのように勉強するかが非常に大切です。英語克服は簡単ではありませんが、正しい勉強法で積み重ねた努力は十分に報われます。