■ 過去の『一言』(2001〜2017)
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(2007年 1月 〜 2007年 6月)


(2007年06月29日) 【高2の基礎作り】[▲ 先頭へ]
高校クラス(授業は英語、数学は質問に答えています。)で力を入れている点の一つは中間・期末テスト対策です。高校別に英文読解の教科書を復習します。過去の本欄で何回かご紹介したことがありますが、高校生の皆さんに試験範囲の英文を一文ずつ読んで和訳してもらい、英文構造を把握しているか否かをチェックします。

高3の皆さんとの前期・中間テスト対策は既に終了しています。英文読解の教科書は高校毎に異なりますが、大学入試の過去問を使った教科書であることは共通しています。高校生の皆さんには、構文を見抜く力をつけるために英文読解の教科書の予習が必要だと常日頃説いていますが、大学入試の問題は一般的に易しくはありません。大学受験勉強が本格化している3年生にとって、入試過去問の全英文の和訳をする時間的余裕はありません。

従って、高2までに基本的な英語構文解析力をつけることが非常に大切になります。高1、高2の教科書の予習が絶対条件です。ここでのポイントは、複雑な英文に対してどのように対処するかです。ちょっと考えてすぐに「わからない」では力はつきません。たとえ英文構造がわからなくてもしっかり考えなければなりません。最終的に理解できればOK、残念ながらわからなければ「ここがわからない」という問題意識を持って授業に臨んで先生の解説を聞きます。これを繰り返すことで英語が少しずつわかってきます。

また、英文を読んでその意味、言いたい内容はわかっても日本語にしづらいこともよくあります。その場合は、自分で日本語訳を実際に書いてみることが重要です。入試問題や模擬試験では書くことに意外に時間が取られるものです。普段の勉強で日本語訳を書く練習をしているかどうかが問われます。この時に国語力が要求されるのは言うまでもありません。

今月初めの高校総体・総文が終わった後の高2クラスでは、英語に限らずこれから1年間の基礎固めの重要性を指摘しました。勉強だけが大切なわけではありませんが、高3で大きく伸びるためにはこの1年はとても大切です。”Rome was not built in a day.” 「ローマは1日にして成らず」

(2007年06月21日) 【手抜きは見破られる】[▲ 先頭へ]
前回の本欄ではテストの時に各教科満遍なく準備しなければならないことを述べました。手抜きをすればそのままテストでの得点に表れてしまいます。この手抜きに関して社会人になり立ての頃に忘れられない失敗談があります。

私は大学卒業後、日産自動車に就職して法規部に配属されました。国内外の契約や法律問題を取り扱う部署です。ある時、ECの法規制について調べるように命じられました。文献は英語でしたが、EC規則は非常に分かりにくい英語で書かれていました。それなりに調べましたが、イマイチ分らない箇所があり、分らないままに報告書を書いて上司に提出しました。

結果はこっぴどく叱られました。自分で納得できていなかった点が上司から聞かれ、説明できなかったからです。その時は先輩のサポートで報告書を書き直しました。これが教訓となり、その後は絶対に手抜きをしないようにしました。分らない箇所もできる限り調べて報告すると、上司は私の努力を評価してくれました。たとえ完璧な内容ではなくても報告書を読めば、きちっと調べたかどうか、しっかり考えたかどうかが伝わったようです。

時には「まっいいか」ということもあるでしょうが、真面目に一生懸命に取り組むことが基本です。学生時代に適当に、手抜きをしてテストを受けていた人が社会に出て急に真面目になることは滅多にありません。直面している課題に対して真摯に取り組む、余力を残さないという姿勢は人間として大切な資質の一つです。中高生の皆さんには各テストを通してこのことを体得して欲しいです。

*「塾長からの一言」は毎週木曜日にアップロードしていますが、来週は金曜日の予定です。よろしくお願い致します。

(2007年06月14日) 【中2生の課題】[▲ 先頭へ]
各中学で5月末から今月初めにかけて中間テストがありました。3月半ばに開講した中2クラスで初めての定期テストです。テスト結果が戻り、先週の中2クラスでは各生徒さんと個別反省会を行いました。

中間テスト直後の授業で、皆さんの「努力のレベル」を小さな用紙に書いてもらいました。これ以上できないという位までテスト勉強したが「10」、全然準備の勉強をしなかったが「0」で、5教科それぞれを0〜10で自己評価します。多少の例外はありますが、努力のレベル×10点がテストでの得点になる傾向があります。しっかり勉強して努力のレベルが「8」であれば、80点±αになります。

中2クラスからのクラス設定のサミット・ゼミでは、中2生に2つのテーマがあります。一つは学校の授業をしっかり聞いて教科書の内容は授業中に理解すること、もう一つは試験前は約1週間計画的に準備をし、特に主要5教科では好き嫌いに拘わらず5教科揃えて試験勉強することです。これらは勉強の基本で、中3になってから始めようと思ってもなかなか実行できないので、できるだけ早い段階で身に着けるべき習慣です。

今年の中2クラスの皆さんは、私との初めての中間テストでよく頑張りました。しかし、5教科揃えてテスト勉強するという課題を守れた人はほとんどいませんでした。誰でも好きな科目は勉強し、嫌いな科目の勉強は疎かになりがちですが、これを打ち破ることが上位校の入学資格です。頭の良し悪しではありません。やるべき課題に対して手抜きすることなく真面目に努力を重ねられるか否かがポイントです。

(2007年06月07日) 【徳育の充実?】[▲ 先頭へ]
信じられないことが起こるものです。先週土曜日(6月2日)インターネットのニュースで、岡山県の県立高校1年男子3名が、事故を見たさに山陽自動車道に石を投げ、ロケット花火を打ち込んだと伝えられました。ロケット花火は約20本、石は大小40個で、中には20キロもする大きな石もあったそうです。

同じ日の新聞では教育再生会議の第2次報告が報道されていました。上述のニュースを見て、この報告に盛り込まれた4つの緊急課題のうち、「徳育の充実」が気に掛かりました。教育再生会議は、「心と体―調和の取れた人間形成を目指す」ために「全ての子供たちに高い規範意識を身につけさせる」徳育を教科化することを提言しています。

たまたま同じ日に2つのニュースが流れたのですが、道路を走る車に対して石を投げたりロケット花火を打ち込んだりしてはいけないということは学校で学ぶべきことでしょうか。学校で習ったからやってはいけないのではなく、やってはいけないことはやってはいけないのです。これは家庭での躾に関わる問題だと思います。他人に迷惑をかけてはいけないという社会の基本ルールは小さい時に体得すべきです。

最近は、払えるのに給食費を未納にするという信じられない親の姿があります。このような親はごく一部だと思いますが、ルールを守らない大人の姿は散見されます。他人のことを思いやらない自分勝手な大人が増えているとすれば、子ども達への家庭教育に期待できないかもしれません。教育再生会議ではなく日本社会再生会議が求められているように思います。ベストセラー「国家の品格」で述べられているように武士道精神の復活が望まれますが、どのように復活させるのかが問題です。

(2007年05月31日) 【書く力】[▲ 先頭へ]
PRESIDENT という毎月2回発行されるビジネス誌があります。プレジデントは「大統領」「社長」を意味する言葉で、この雑誌は何となくサラリーマンの心をくすぐります。かなり以前から新聞広告は必ずチェックしています。今月最初に発行された同誌のメイン・タイトルは「書く力」でした。中学生の作文練習をしている私にとって魅力的なテーマで、すぐに購入しました。

内容はビジネスマン向けですが、中学生の皆さんにも参考になることがたくさん載っていました。みずほフィナンシャルグループ社長の前田晃伸さんは文章を書くコツとして次のような点を挙げていらっしゃいます。「自分自身の頭で考えること、それを自分の素直な言葉で伝えること」「十分に頭を整理してから書くこと、また本音を飾らない言葉で書くことが大切」「文章はなるべく短くするように心がける」

サミット・ゼミ中学クラスでは、最初の作文練習をする時に、作文の手順や注意事項をまとめたプリント「作文の書き方」を説明しています。そのプリントでは、「自分の気持ちを正直に書く。」「難しいこと、立派なことを書こうと思わないこと。」「一般的なことではなく、具体的なことを書く。」等をポイントとしています。

石川県の高校入試では国語の200字作文だけではなく小論文が出題されます。そして小論文が合否を左右することが少なくありません。(本年4月26日付け本欄)PRESIDENT誌が「書く力」の特集を組むようにビジネスにおいて書くことは非常に大切です。多くの中学生の皆さんにとって作文や小論文は苦手なのですが、彼らの将来のために練習を重ねなければなりません。中学クラスでは今週の中間テストに向けた授業をしてきましたが、週末からは作文練習を再開するつもりです。「え〜っ」という声が今から聞こえますが…

(2007年05月24日) 【速読英単語】[▲ 先頭へ]
高校生・大学受験生に絶大なる人気を誇っている単語集があります。Z会(増進会)の「速読英単語」です。この単語集は、英文を読んで文脈の中で必要な英単語を覚えることを意図しています。大きな本屋さんに行くと数多くの単語集が並んでいますが、よく売れている単語集として紹介されていることがあります。私の書棚には「速読英単語」を含めて4種類の単語集が並んでいます。前回の「塾長からの一言」でご紹介しました通り、サミット・ゼミ高校クラスでは単語チェックから授業が始まりますが、学習塾を始めて間もない段階で2種類の単語集を試し、すぐに現在使っている単語集に落ち着きました。「速読英単語」は何故売れるのかを研究するために購入したものです。

どんな単語集でも完璧なものはありません。「速読英単語」も然りです。確かに、文脈の中で単語を覚えることはとても望ましいのですが、語法の解説が丁寧ではありません。また単語の絶対数に疑問が残ります。「速読英単語」が売れている大きな理由の一つとして、センター試験向けの速読対策として使われているのではないかと私は考えています。因みに、東京外国語大学へ進んだ元生徒さんに、彼女の周りの友人に「速読英単語」の評価を聞いてもらったところ、「すごく良い」と「大したことない」の二つに割れました。それでは、私が今使っている単語集が一番良いかと聞かれたならイマイチ自信はありませんが、one of the best であると思っています。その単語集の強みは語法の解説です。

「速読英単語」が狙う文脈の中で単語を覚えることは当たっていると思います。しかし、難関大学入試に必要とされるレベルの単語までカバーしようとすれば、英文の量が増えて、速読しずらくなります。地道に一つずつ単語を覚えることは効率が悪いように思えますが、結局はこれが王道ではないかと思います。例えば、小中学校時代に漢字を覚えた時は一つずつ地道に覚えました。覚える努力を積み重ねて漢字をマスターしていきました。英単語を覚えるのもそれと同じではないかと思います。

発音記号で発音・アクセントをチェックしながら意味と語法を覚える。そして、それを繰り返す。スポーツや芸術で基本練習の地道な繰り返しが大切なのと同様に、英文を読むための基本練習として英単語を覚える作業が必要です。いかに効率的にというより、一回一回を確実に、そしてそれを繰り返すことが大切です。Slow and steady wins the race. という諺がありますが、英単語の学習では Steady and repeat wins the race. になります。

余談ですが、今週の高2クラスの読解練習で出てきた初めて目にする単語を、ある高2生が正確に発音しました。単語を覚える時に発音記号を意識していれば、そのうちに知らない単語を正確に発音できるようになると常々話している私はとてもうれしくなりました。

(2007年05月17日) 【基本を大切に−英単語】[▲ 先頭へ]
サミット・ゼミ高校クラスの授業は宿題形式の単語チェックから始まります。今週の高3クラスの前々日、定期テストを控えたある生徒さんから「明日はテスト勉強したいんで、単語やらなくてもいいですか?」というメールが入りました。

2006年1月12日付け本欄「after seven years その6」で「英語の成績はほぼ正確に単語の力に比例する」という言葉をご紹介しました。これは高校初中級者向け単語集の巻頭に書いてある言葉です。私の経験からもこの言葉には真実性があります。

高校クラスの皆さんの単語暗記が甘くなった時、私はわざと難しい英文の読解練習をします。当然、皆さんは英文が読めません。「何が難しかった?」と尋ねると、「単語が難しい」というお決まりの答えが返ってきます。

毎年、大学入試で結果を出した皆さんにアンケートをお願いしており、「サミット・ゼミで良かったこと」という質問項目があります。私は、授業で力を入れている英文構造の解析力や英作文の添削に関する回答がとてもうれしいのですが、「単語が覚えられて良かった」という回答が少なからずあります。単語ぐらい自分で覚えろよと言いたいのですが、強制的な宿題形式の単語チェックが結果的に大きな効果を持つようです。

以上のように高校生の英語にとって単語の持つ意味はとても大きなものがあります。冒頭の高3生には、心を鬼にして厳しい内容のメールを返信しました。

因みに、高2クラスでは昨年夏の授業開始から初中級者向け単語集を使ってきましたが、間もなく受験生用単語集に移ります。高3クラスは受験生用単語集に移ってもうすぐ1年になります。センター試験レベルの英単語は現在4回目のチェック中です。毎回真面目に覚えていればかなりの単語力がついているはずです。

(2007年05月10日) 【本質に迫る−小学校英語必修化】[▲ 先頭へ]
少し古い話で恐縮ですが、先月1日、日本経済新聞と北國新聞(私が読んでいるのはこの2紙です。)に、小学校英語必修化に対して保護者の4人に3人が賛成しているとの記事が掲載されました。これはベネッセ教育研究開発センターのアンケート結果を紹介したものでした。

保護者4 718人のうち35%が小学校英語必修化に「賛成」、41%が「どちらかと言えば賛成」と回答したそうです。92%が「英語への抵抗感をなくす」「音やリズムに触れ慣れる」ことを望みました。不安点は「先生や学校により内容が違う」65%、「外国人の先生が足りない」63%、「先生の英語力が足りない」62%でした。

私は小学校英語必修化に反対です。昨年4月20日に本欄で取り上げたところ、読売新聞の取材を受け、丁度1年前(2006年5月14日)に私の意見が同紙・地方版に掲載されました。1時間位の取材でしたが、私の言いたいことがうまくまとめられていますので、以下にご紹介致します。

「国際的な学力調査の結果でも明らかなように、日本の子どもの学力低下は深刻で、中でも読解力は落ちている。 漢字やことわざを知らない子どもは年々増加しており、心配して相談に訪れる保護者も増えている。 読解力低下の原因は色々と考えられるが、日本語の習得が不十分であることが大きい。やはり、基礎学力を教える小学校の段階では、母国語である国語の習得を優先させるべきだ。 また、小学校のうちから英語を勉強することで英会話が早く上達するという意見があるが、それは間違いだ。 文法に対する知識が甘く、単語力も不足している段階で英会話や聞き取りを週1時間ほど教えても、それは決して「遊び」の域を出ない。 文法を理解していなければきちんとした文章は書けないし、論理的なスピーチもできない。 英会話を身につけさせるためには、基礎がある程度身について、時間的にもゆとりがある高校1年や大学1、2年などの段階で、徹底的に教えるのがベストではないか。 子どもたちを真の国際人に育てたいのであれば、「読み、書き、そろばん(算数)」をしっかりと身につけさせた上で、自分の国の歴史、文化などをきちんと教えることが必要。 英語は、自分の考えを伝えるための手段にすぎず、大切なのは何を伝えるかのはずだ。」

私は小学校では英語を教えてはいけないと言っている訳ではありません。読解力、作文力や計算力そして理科や社会の知識が憂うべき状態になっている現在は、英語を云々する以前にこれらの基礎学力を先ず何とかしなければならないと言いたいのです。子ども達の学力レベルがどうなっているかを認識した上で議論すべきであり、「小学校での英語必修化が良いか、悪いか」の議論が独り歩きすることはとても危険です。今、子どもたちにとって何が本当に必要なのかを考えるべきです。

(2007年05月03日) 【当たり前のことを当たり前に】[▲ 先頭へ]
先月の日本経済新聞の最終面「私の履歴書」は、セブン&アイ・ホールディングス会長の鈴木敏文さんでした。同社はセブン・イレブン・ジャパン、イトーヨーカ堂、西武百貨店等の持株会社です。鈴木会長は、日本で初めてのコンビニを作った人として有名です。4月30日最終回の最終段落をご紹介します。「それまでは(仕事から手を引いてのんびりするまで:大谷注釈)毎日が瀬戸際と思い、一日一日を精一杯生きる。当たり前のことを当たり前に、ただし徹底してやり通す。これが私の生き方だと思っている。」

「毎日が瀬戸際」という言葉から、本年4月5日の本欄「入社式トップ訓示」でご紹介した「気を抜いた途端、企業としての存続すら危うくなる」というトヨタ自動車・渡辺社長の言葉を思い出しました。素晴らしい企業のトップは良い意味の緊張感を持ち続けています。

「当たり前のことを当たり前に」について、私は、サラリーマン時代に、当たり前のことを当たり前にできない事態をよく経験しました。これをするためには然るべき計画、然るべき準備、実行力、交渉力等が必要で、実はそう簡単ではありません。しかし、ある仕事が終わってみれば、「当たり前」のことになります。ですから、当たり前のことを当たり前にできればかなりの成果を上げられるはずです。それを「徹底」するところが鈴木会長の凄いところでしょうか。

毎日良い意味の緊張感を持ち、当たり前のことを当たり前にできれば社会人として素晴らしい活躍ができます。そして、これができれば中高生も素晴らしい飛躍が期待できます。今週、上述の鈴木会長の言葉を中高生の皆さんに紹介しています。昨日の中3クラスでは、皆さん、何かを感じ取ってくれているようでした。

(2007年04月26日) 【逆転現象の謎?】[▲ 先頭へ]
アクタス5月号の高校受験特集は、石川県高校入試「逆転現象」の謎 でした。騒然 友より点数いいのに不合格 と「内申書と小論文・作文」で明暗 という二つのサブタイトルがついていました。ショッキングなサブタイトルに騒然となり思わず購入されたご父兄も多いのではないでしょうか。

逆転現象とは、高校入試一日目の5教科学力テストでリードできても、内申書や二日目の面接、小論文・作文で逆転が起こるということです。高校入試はこれらの項目を総合的に判断して合否が決まりますから、「謎」という程のものではありません。いくら学力テストが出来ても、内申書が悪かったり、面接・小論文で失敗したりすれば逆転は十分にあり得ます。

普通に学校生活を送り、きちんと受験のための勉強をしていれば良いのですが、面接と小論文は特別な対策が必要です。面接は注意事項をまとめたプリントを読んで予行練習をすれば何とかなりますが、問題は小論文です。中学で小論文の練習もしているようですが、400〜600字の文章をそう簡単に書けるようにはなりません。

小論文を書く前提として国語の200字作文を練習すべきです。先ず、字数の少ない作文で「書く」ことに慣れます。作文では、テーマに則して自分の考えをまとめる、その考えを文章にするという二つの段階があります。文章を書き慣れていない人には大変な作業ですが、練習即ち慣れることで克服できるはずです。

200字の作文が書けるようになれば後は速いです。作文と小論文の違いを踏まえて何回か小論文を書く練習をすればOKです。サミット・ゼミの経験では、中3秋までに200字の作文を書けるように練習を積んだ上で12月から数回練習すれば、皆さん素晴らしい小論文を書けるようになります。(もちろん書きっ放しでは上達せず、作文・小論文とも添削が必要です。)

アクタスの特集記事を参考にして、今年度は中2クラスで作文練習を増やし、中3クラスでは小論文練習を少し早く始めようと考えています。備えあれば憂いなしと言いますからね。

(2007年04月19日) 【絵本のようなノート】[▲ 先頭へ]
サミット・ゼミのクラス設定は中2〜高3です。(高1クラスは夏休みから)先月半ばから中2クラスの授業を始めました。中2クラスでは先ず、英語・数学とも1年生の範囲を復習します。英語は、1年生の教科書で出てきた英単語のリストを渡し、当ゼミオリジナルの資料を使って教科書の内容を総復習します。

英語の1年生範囲はbe 動詞、一般動詞、進行形、代名詞等の基本ですから丁寧に解説します。毎年3回位でオリジナル資料を説明するのですが、今年は5回かかりました。今年は例年になく、皆さんがノートをしっかり取っていたからです。私の資料にも文法的な説明は詳細に載っているのですが、中2女子の皆さんは大切なポイントをたくさんノートに書きました。誰かがノートに書いていれば私は待たざるを得ません。皆さんのノートを見ると、シャープペンシルの黒字以外に何色か使われてとてもカラフルでした。

1年範囲の復習が終わって先週は確認のテストを行いました。結果は悪くはなかったのですが、私の予想より悪いものでした。例年より多い5回もかけて復習し、皆さんは丁寧にノートを取っていたので、かなりの好結果を予想したのですが、期待したほどではありませんでした。

ノートを取ることに気を取られて、大事なポイントをしっかり理解することが疎かになったせいではないかと分析しています。重要点を確認して忘れないようにするためにノートを取るのが本来の姿ですが、ノートを取ること自体が目的になってしまい、重要点の確認が甘くなったということです。カラフルな絵本のようなノートではなく、重要なポイントが的確にまとめられているノートこそが必要です。今週の中2クラスでは早速ノートの取り方についてアドバイスしています。

(2007年04月12日) 【数学がポイント】[▲ 先頭へ]
3月のある日、一年浪人して京都大学・工学部に合格した元生徒さんと会っていろいろ話しました。昨年も同じ大学を受験して数学の問題が解けずに残念な結果になりました。英語や理科の科目は十分に合格レベルに達していたそうです。今年は数学がしっかり解けて見事合格でした。

2次試験で数学が課される理系学部や法学部・経済学部を志望する受験生にとって数学はキーになります。例外はありますが、2次試験で不合格になる場合、数学がその原因になることが非常に多いようです。数学は一問の配点が大きく、出来不出来で点数が大きく異なるからです。

高校数学を征服するためには相当な努力が必要です。それぞれの分野の問題を数多く解かなければなりません。たくさん問題を解いて初めて、各分野に対するアプローチの仕方(解法のテクニック)が見えてきます。また、数学の問題は一問を解くのに1時間位要することもありますから、本格的に大学受験勉強が始まると他の科目の勉強時間が制約を受けてしまいます。

従って、高1、高2の段階で、その時その時に習っている分野の標準問題だけではなく難度の高い問題も解いておく必要があります。この点は理系及び法学部・経済学部を考えている高1生・高2生に繰り返し指摘しています。正に、「ローマは一日にして成らず」です。

冒頭の元生徒さんは京都の駿台予備校で一年間学びました。サミット・ゼミの英語の授業に対するアドバイスも聞きました。私の授業カリキュラムはほぼ出来上がっていますが、彼のアドバイスに基づき若干の補強を加えるつもりです。

(2007年04月05日) 【入社式トップ訓示】[▲ 先頭へ]
年度初めの今週月曜日に各企業で入社式が開かれ、火曜日の新聞にはトップの訓示が紹介されていました。先ず、トヨタ自動車の渡辺社長の「気を抜いた途端、企業としての存続すら危うくなる」という言葉に驚きました。日本で圧倒的なシェアを誇り、自動車生産が世界一になろうとするトヨタの社長の言葉です。この健全な危機意識が同社の強さの秘訣かもしれません。

日本経済新聞は業種の違いを超え、多くの訓示に共通するキーワードとして二つ挙げていました。「コミュニケーション」と「法令順守」です。「法令順守」に関する訓示は、不二家、日興コーディアルや北陸電力志賀原発等の不祥事を受けたものでしょう。ただし、伊藤忠商事の小林社長の「うそをつくな、悪いことをするな」という訓示には、新社会人にそのような当たり前の言葉を言わなければならないのかと何か寂しい印象を受けてしまいました。

「コミュニケーション」に関する訓示は、同僚や先輩との意思疎通の重要性を指摘するだけではなく、異質な人材との交流で新しい価値を生み出すことへの期待も含んでいます。この「コミュニケーション」については、今の中高生の皆さんの対話能力が気になります。

6年前の本欄(2001年7月23日付け)でご紹介した他人と意思疎通できない医学部生の話はそれほど極端な例ではありません。中高生の中には自分の意思を伝えるのが苦手な人が少なくありません。最近は女子が男子より元気である傾向が強いようですが、対話力に問題がある恥ずかしがり屋の男子が結構います。

いくら勉強ができてもコミュニケーションの問題があれば一人前の社会人にはなれません。学習塾の立場でどれだけできるかわからないものの、生徒の皆さんのコミュニケーション力をもケアしなければならないなと、トップ訓示を紹介する新聞を読んで思いました。

(2007年03月29日) 【履修漏れその後】[▲ 先頭へ]
先々週(3月14日)インターネットのニュースで時事通信の記事が目に留まりました。広島市の私立広島城北高校は履修漏れのあった「地理A」の補修時間を使って、「世界史B」の受験問題の演習をさせていました。担当の先生は「センター試験が間近に迫り、生徒を思うあまりにやってしまった」と話しているそうです。一方我が石川県では、「未履修 新たな事例なし」という記事が今年1月16日付け北國新聞に載りました。1月15日の県立学校長会議で、中西教育長が、県立全校に立ち入り調査した結果、既に判明している桜丘、羽咋、辰巳丘以外に不適切な事例は確認されなかったと報告したそうです。

昨年11月9日の本欄「履修漏れ隠し」で取り上げた県立高校の事例は公表されないままです。大学入試を終えた同校の生徒さんに確認したところ、履修漏れが全国的に問題になった直後に本来勉強するべき科目の教科書が配布されたものの、授業はわずか2回だけだったそうです。

教育委員会はこの県立高校の事例を本当に知らないのでしょうか。「地方の時代」と言われても、地方の教育委員会がこの甘さなら、中央の文部科学省からの権限移管はそもそも無理というものです。また、北國新聞社の知人からは、同新聞社はこの事実を把握しているが、何らかの理由で記事にできないと聞きました。

高校で本来学ぶべきものを学ばないことにより生徒の教養が不足するという教育上の根本問題があるだけではなく、大学入試のために必修科目の時間を別の科目の授業時間に充てることは、大学入試が平等な条件の下で行われないことになります。必修科目を真面目に勉強した生徒が入試で不合格になり、履修漏れの高校の生徒が合格するという事態が起きることも十分にあり得ます。

志賀原発の臨界事故隠ぺいが大問題になりました。公表するべき問題があることを隠すことは社会的に許されないはずです。志賀原発の隠ぺいは住民の安全性に対する驚くべき責任感の欠落を示しました。履修漏れを隠ぺいしている県立高校の生徒は皆気づいていますが、彼らが世に出て何かの問題に直面した時にどのような行動をとるのかを考えると非常に怖いです。問題の県立高校は「教える」ことをしていないだけではなく、「育てる」面で重大な過ちをしています。

(2007年03月22日) 【教育を問う その21】[▲ 先頭へ]
先週金曜日、Aさんは二水高校に合格しました。昨年春から一年間通ってくれた生徒さんです。Aさんは前期・中間テストで460点を越え、目標を泉丘に設定しました。模試の結果は多少の上下はありましたが、昨年11月の模試では泉丘に合格できるレベルに達していました。

そして、大きなテストである11月9日の統一テストです。残念ながらこのテストではやや失敗しました。Aさんが学校の先生から言われた言葉は、泉丘は到底無理、二水も危ないというものでした。先生の厳しい指摘を受けてAさんは弱気になり志望校を二水に変更しました。気持ちが萎えてしまったのか、11月以降の模試は、12月、1月、2月と少しずつ下がりました。

因みに、国語が苦手なAさんは、新聞のコラムを200字の原稿用紙にまとめてよく教室に持ってきました。私は何回それを添削したでしょうか。十数回練習するうちに筆者の言いたいことをうまくまとめられるようになっていました。

二水高校も素晴らしい学校です。しかし、何故、学校の先生が生徒のやる気をそぐようなことを平気で言うのでしょうか。11月の統一テストの結果が良くなければ、「とにかく頑張れ、公立志望校は1月の統一テストの結果で判断しよう。」と何故言えないのでしょうか。

生徒の素質を見抜きそれを伸ばすこと、そのために叱咤激励することが教師に求められる基本的資質であると思います。多少の失敗があってもそれを乗り越えさせ、自信をつけさせることが職務なのではないでしょうか。私が志望校を変えないようにもっと強く言えば良かったのではないかと後悔しています。生徒さんの合格は私もとても嬉しいのですが、苦さが残る合格でした。

(2007年03月15日) 【内申書】[▲ 先頭へ]
今週日曜日(3月11日)高校入試説明会を開きました。新中2・新中3のご父兄の皆様に、先週実施されたばかりの高校入試のホットな情報も加えて、平均点推移・各高校倍率推移・各高校合格基準点等をご説明しました。説明会では内申書についても触れました。

教育委員会によれば、入学者選抜に関して「調査書及び成績一覧表による内申と各教科の学力検査の成績結果との取扱いについては、内申を十分尊重し、両者の相互関係等を考慮して審査する」としています。曖昧な表現で、要は運用次第です。

4〜5年前までは、金沢地区では内申はあまり考慮されず学力検査による一発勝負の色彩が強いと言われていましたが、ここ数年は内申がかなり考慮されているようです。そうすると調査書と成績一覧表が物を言うことになり、中学1年生から3年生までの3年間を通して然るべき姿勢を示し、然るべき成績を残すことが必要になります。

学力検査の一発勝負では、当日の体調が悪いとか、上がり症とかで実力が十分に発揮できないことがあり、そのような場合は内申で救われることになります。しかし、1年・2年とさぼっていたけど3年になって突如目覚めて勉強して学力が飛躍的に伸びたような生徒さんは、逆に内申が足かせになってしまいます。

サミット・ゼミでも、3年生の夏から俄然やる気になって学力が大いに伸びた生徒さんがいました。実力的には十分に泉丘が狙えるレベルにまで達しましたが、最終的には二水を受験しました。(合格)やはり内申の評価が気になりました。

努力を継続して良い成績を取り続けることは素晴らしいことです。しかし、勉強そこのけで部活に燃えていたり、適当に遊んでいたりしていたのが何かのきっかけで「そうか、勉強しなければならない」と机に向かい急に成績が伸びる生徒さんは将来面白い活躍をする可能性があると思います。調査書を書く学校の先生方に是非考えて欲しいポイントです。

(2007年03月08日) 【先手必勝】[▲ 先頭へ]
ある受験雑誌に「大学受験は先行逃げ切り型が強い」と書いてありました。志望する大学を目指す受験勉強が本格化する時点で自分の学力がその志望大学レベルにあれば、そのレベルを維持すればよく、受験勉強はそれほど辛いものではないということでした。

部活をしている高3生は、6月初旬の最後の大会が終わってから受験勉強のエンジンがかかります。しかし、その時点から自分の成績を上げることは容易ではありません。自分が勉強すればそれだけ成績が上がれば良いのですが、受験生全員が勉強していますから、自分の相対的な地位を示す偏差値を上げることは大変です。平均的な努力のレベルを越える努力をして初めて偏差値が上がります。昨年引退した競馬のディープインパクトのような追い込み型の受験勉強は不可能ではありませんが、相当な努力が必要です。

高2生諸君はほぼ最後の定期テストが終わり、一安心しているところです。今週の新高3クラスでは、これから春休みにかけての余裕のある時期に受験勉強のアクセルを踏み込むように話しています。1月の模試結果が丁度戻されたところですから、それを参考にしてこれから約1年間の長期計画を立てることが大切です。

今週は大学入試2次試験・前期日程の合格発表が行われています。来春の栄冠のために、この時期に是非良いスタートを切って欲しいものです。「初め良ければ全て良し」と言います。もちろん「全て良し」になるほど受験勉強は甘いものではありませんが、やはりスタードダッシュの持つ意味には大きなものがあります。

(2007年03月01日) 【現場主義】[▲ 先頭へ]
毎朝愛読している日経新聞「私の履歴書」は昨日まで、ぴちょんくんのエアコンでお馴染みのダイキン工業会長、井上礼之さんのシリーズでした。今週日曜日掲載分に次のような記載がありました。「経営者は変化の波打ち際である現場に出て、その予兆を的確にとらえ、競争相手より常に半歩先を行く決断をしなければならない。そのためには自ら現場の第一線に入り込んで情報を共有しながら変化に応じて素早く判断し、実行に移す。私はそれができる柔軟な企業体質の構築に今も努力している。」

いわゆる現場主義です。私も、日産自動車でパキスタンを担当していた時に、ピックアップトラックがどのようにユーザーに使われているかを調べるために現地の販売マネージャーと一緒にかなり危険な奥地へ入り込んだことがありました。(警察ではなく自衛団の人から、これ以上進むと安全は保証できないと言われました。余談ですが、そこの市場では香辛料か麻薬か分からない粉末が売られていました。)その地でトラックの使用状況や競合他社トラックの評判という生きたデータを得ました。その情報はその後の仕事に大いに役立ちました。

現場がどのようになっているかを知ることはビジネスに限らず非常に重要です。学校とは異なる学習塾の立場から教育界を眺めると、現場主義という点で大きな問題がいくつか見えます。文部科学省は実社会の現実と学校の現場の両方が見えていません。国際化の中で厳しい競争社会になっている日本経済を考えればゆとり教育はあり得ませんし、学校の先生や生徒が抱えている問題点を本当に把握しているのか疑問です。また、学校は将来生徒が入り込む実社会の現実と生徒レベルでの現実が見えていないようです。学校の問題点は、本欄の「教育を問う」シリーズで指摘している通りです。

このように偉そうに指摘する私自身も一人一人の生徒諸君が抱える問題点の現実が見えていないかもしれません。少人数制でしっかりケアしているつもりですが、アンテナをさらに高くして現場主義を実践したいと思っています。

(2007年02月22日) 【アスリートの集中方法】[▲ 先頭へ]
先日FM放送で、アスリート(スポーツ選手)の集中方法を紹介していました。アメリカの心理学者チャールズ・ガーフィールド博士が、一流のスポーツ選手に「集中とは、どういう状態か?」と聞いたところ、精神的・身体的にリラックスしている、自信に満ち溢れ不安がない、「現在」という状況に没頭している、という答えがあったそうです。

その番組では、一般の人々が集中力を体得できる方法として、呼吸のリズムを落とすことや、「自分はできる」「才能がある」等の言葉を自分に言い聞かせることをアドバイスしていました。

次の日曜日(2月25日)は国公立大学の2次試験の日です。受験生は、ゆっくりと深呼吸し、「やるだけやったんだ」と自分に言い聞かせて試験に臨んで欲しいです。大丈夫かなという不安感を持つのではなく、自分の受験勉強を信じて、目の前の問題に没頭する状況を「集中している」というのでしょう。

今週は高3クラス最後の授業をしています。以前ご紹介した(2003年2月13日)カボチャの話もして、試験会場で平常心をいかに保つかを説いています。今は生徒諸君の健闘を祈るばかりです。

(2007年02月15日) 【公立高推薦入試】[▲ 先頭へ]
先週金曜日(2月9日)、公立高推薦入試の合格内定者が発表されました。全日制総募集定員8480人に対する内定者の割合は20.9%で過去最高になったそうです。5人に1人が一般入試を受験しないで高校に進みます。

推薦の枠が広がることは果たして好ましいことなのでしょうか。推薦入試でも面接や作文のような試験はありますが、一般入試ほどの学力的および精神的厳しさはありません。高校入試や大学入試を経験することで子供達は成長するものです。厳しい世間の荒波を乗り越えていくためには逞しさが必要ですが、入試というハードルを越えることで子供達は逞しさを身につけ、そして自分に自信を持ちます。

頑張って受験勉強して一般入試を乗り越えるという普通のプロセスの例外が20%を越えるという現実に疑問を感じます。子供達への甘い制度は、彼らの成長を鈍化させ、将来的に彼らを苦しめる結果をもたらすのではないでしょうか。最近はほとんど聞かれなくなった「若いときの苦労は買ってでもしろ」という言葉は当たっていると思います。

(2007年02月08日) 【鶏口牛後?】[▲ 先頭へ]
私立高校入試の合格発表を受けて、今週は各中学で公立受験校を決める3者懇談が開かれています。来週木曜日(15日)から出願で、高校入試は1ヵ月後の3月7日・8日です。今月は28日までしかありませんから、これからの1ヶ月はとても速く感じるはずです。

この時期、志望校を決めるのに迷う受験生がよく口にするのは、ランクが上の高校のビリでいるよりは下の高校のトップで気持良く高校生活を送りたいという言葉です。何となく理解できますが、私はこの考え方には抵抗があります。

それは、高校によって大学進学に関する一般的な考え方が違うからです。大学進学に関しては、やはりランクが上の高校の方がより積極的な雰囲気があります。甘い雰囲気の中では強い意志を持ち続けるのは難しいものです。また、教科書の違いもポイントの一つです。易しい教科書では、どれだけ頑張って勉強しても学力の大きな伸びは期待できません。

「鶏口牛後」という言葉があります。大きな組織の末端で燻っているより小さな組織のトップになって活躍する方が良いというような意味ですが、これはビジネス社会にはかなり当てはまりますが、学校選択においては妥当性があまりないと思います。

ご父兄の方から、「ランク上位の高校で勉強についていけるでしょうか。」という質問もこの時期によく出されます。私の答えは決まっています。「どのレベルの高校でも、頑張ればついていけるし、さぼればついていけなくなります。」

(2007年02月01日) 【九九 x 九九の国】[▲ 先頭へ]
今週日曜日(1月28日)のNHKスペシャルは、インドの衝撃「わき上がる頭脳パワー」でした。世界で目覚しい経済成長を遂げているBRICsの一角であるインドの知的戦略を紹介していました。番組の中心はIIT(インド工科大学)で、60倍の競争を勝ち抜いた(受験者30万人→合格者5000人)知的エリートが大学で論理的思考を徹底的に鍛えられ、IIT卒業生がインド国内外のIT企業やその他の企業で活躍しています。

インドに関しては、ゼロを発見した国、小学校で九九ではなく九九x九九を教えている国という知識がありました。数字に強い国という漠然とした印象があったのですが、NHKの番組は、文字通り「衝撃」的でした。IITで行われている教育、すなわち与えられた課題に対して様々な解答プロセスを考えさせる教育は、実社会に出て活躍するために非常に効果的です。番組ではIITを目指して勉強する子供たちの姿も伝えていました。IIT合格は貧しさからの脱却も意味するので、子供たちは必死です。

今世紀に最も発展する国はインドだと言われます。国の発展の基礎が教育だとすれば、インドの発展は必然でしょう。一方、日本はどうかと言えば、教育再生会議が「ゆとり教育」の見直しを提言したものの今後の教育改革の具体的な姿は見えてきません。近い将来、世界における日本の地盤沈下が容易に予想できます。

現在は日本の自動車会社がインドに進出してトヨタやスズキブランドの車を作っていますが、いつか日本車がインドの自動車に取って代わられる日が来るのでしょうか。また、インドだけではなく、中国、韓国、台湾、シンガポール等の諸国での教育体制が非常に気になります。世界第2位の経済大国を支えている基盤の部分がぐらついています。

(2007年01月25日) 【発音問題復活!】[▲ 先頭へ]
「発音問題が復活した。」「問題形式がかなり変わっている。」「英文量が増えている。」「TOEICの試験のような広告文が出ている。」「第6問が簡単だ。」私は毎年、英語のセンター試験の翌日に80分の問題を解いていますが、以上の5つが問題を解きながらの印象でした。

発音問題は7年振りに復活しました。ここ数年アクセント問題が2問(4点)だけ出題されていたのですが、今年は試験冒頭に発音問題が3問あり、続いて形式が変わったアクセント問題が2問ありました。発音・アクセントは合計5問で10点でした。(英語は200点満点)

発音問題が復活しただけではなく、問題形式が変わり、英文の量がかなり増えたので、受験生は大変だったと思います。平均点は下がると思っていましたが、昨日発表の大学入試センターの中間集計では昨年より4点余り高い131.86点でした。配点43点の第6問が簡単だったことが平均点上昇の大きな要因だと考えられます。

センター試験の英語はよく検討された良い問題だと思っていました。ただ、発音問題が出題されない点が残念でした。これでは、受験生が発音記号を勉強しなくなり、日本人の発音下手につながると懸念していました。今年の変更により、発音・アクセントも含めて英語の総合力を試すとても良い問題形式になったのではないでしょうか。

今週の高1、高2クラスでは早速センター試験の話をしています。発音・アクセントは従来もかなりうるさく指摘していますので、今後の高校クラスの運営方針に基本的な変更はありませんが、英文読解力、特に速読力を一段と強化するとともに、TOEIC にあるような問題練習をつけ加えようかなと思っています。

(2007年01月18日) 【革新的なもの】[▲ 先頭へ]
本年1月4日にご紹介しました日経新聞最終面、江崎玲於奈さんの「私の履歴書」を毎日読んでいます。今週月曜日(1月15日)の第14回連載の一節にハッとしました。「トランジスタはその革新性と影響力において二十世紀最大の発明といっても過言ではない。これを通じて、私が学んだことは、真空管をいくら研究しても、改良してもトランジスタは生まれてこないということ。すなわち、われわれはともすれば、殊に安定した社会では、将来を現在の延長線上に捉えがちになる。しかし変革の時代には、今までにない革新的なものが誕生し、将来は創られるといえるのである。ここでは、創造力が決定的な役割を演じることはいうまでもない。」

日本の社会全体がもの凄いスピードで進んでいるわけではありませんが、科学技術の最前線や企業の現場、そしてインターネット分野では常に変革が求められています。江崎先生のご指摘は何と的を射たものでしょうか。

この変革の時代に革新的なものを生み出すために中高生が為すべきことは何でしょうか。それは、小柴昌俊先生がおっしゃるように、覚えるべきことは覚え、考える訓練をすることです。様々な知識のベースの上に思考力があって初めて創造力が生まれると思います。

この創造力の発揮はヒラメキです。中高生の勉強においてヒラメキが鍛えられるのは数学だと思います。数学の難問を解く際にはヒラメキが必要ですが、基礎的事項を踏まえた上で難しい問題に取り組みヒラメキによって解答するプロセスが将来革新的なものを生み出すのに役立つのではないでしょうか。数学の授業では、生徒諸君の創造性を刺激するという視座を持ちたいと考えています。

(2007年01月11日) 【格差社会】[▲ 先頭へ]
「一億総中流」という用語が完全に死語になり、日本は「格差社会」になっているようです。小泉前首相の構造改革により格差社会が助長されたと伝えられています。新聞広告によると文藝春秋2月号のテーマの一つは「10年後の『格差社会』」です。

マスコミは表面上、格差社会は良くないというスタンスをとっているように感じますが、私は格差が出るのは世の中の大きな流れであると思います。社会人予備軍である中高生諸君の意識レベルを考えれば、その流れは必然です。

かなり以前(2002年9月26日)の本欄のテーマは「知らないことを恥じる」でした。その日の日経新聞のコラム「春秋」は、「知らないことを恥じる」が日本的な知的欲求の原点で、40代以上の人たちにその傾向が見られると述べていました。私も含めてこの世代が中高生の時は、親に言われなくても、勉強しなければならないという意識がありました。一般的に、向上心があったと言えるでしょう。

しかし、豊かな世の中で育っている今の中高生の多くは、それほど努力しなくても食べていける、頑張らなくても普通でいいと考えているようです。ですから昔と比べて、勉強に対する意識・努力レベルが確実に下がっています。ところが、今の時代にも意識の高い生徒はいて、彼らは知らないことを恥じます。

頑張らなければならないと思い努力を継続できる生徒の層が存在する一方、中高生の平均的レベルは下がっていますから、結果として中高生の成績分布は上下に広がります。そして、この広がりは将来の格差につながる可能性が大です。文藝春秋の「10年後の格差社会」というタイトルは妥当です。

格差社会への移行を前提と考えれば、努力が正当に報われること、誰もが公平なチャンスを与えられることが大切だと思います。

(2007年01月04日) 【才能の発掘】[▲ 先頭へ]
新年 あけましておめでとうございます。

日本経済新聞の最終面「私の履歴書」は本年1月1日から江崎玲於奈さんの履歴書になりました。江崎さんはエサキダイオードで1973年にノーベル物理学賞を受賞された物理学者です。(現在、横浜薬科大学学長)

元旦の連載第1回目には次のような記載がありました。「全く親に依存する子供から、自主自律の大人になる間のティーンズをどう生きたか。この時期に、どれだけ、もって生まれたタレントを見いだし、その潜在能力を引き出すことができたか。どれだけ創造能力を獲得し得たか、などが将来の活躍に決定的に影響を持つのである。」

私は、いつも中高生諸君が近い将来に自立することを前提にして、彼らに接しているつもりです。江崎先生の言葉で自分の方向性を再確認しましたが、それと共に自分の甘さを指摘されたようにも感じました。私の努力はまだ足りないようです。タレント(才能)を見いだし、潜在能力を引き出し、創造能力を養っているかと問われれば、汗顔の至りです。

過去の本欄で何回か述べましたが、私は、英語の不定詞・動名詞や助動詞等、数学の1次関数や三角形の合同の証明等を学ぶ中学2年生で、その後の伸びがかなりの程度決まるのではないかと感じています。中高生諸君のタレントがどの分野にあるかを見つけることには学習塾として限界がありますが、潜在能力を引き出したり、創造能力を伸ばしたりすることは中学2年・3年で十分可能です。

江崎先生や小柴昌俊先生のお言葉を心に刻み、中高生諸君の可能性を見いだし、それを伸ばすことを忘れずに彼らに接しなければと気持ちを新たにしています。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。