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(2008年 1月 〜 2008年 6月)


(2008年06月26日) 【英語の模試、ここに注意! その5】[▲ 先頭へ]
高3生は先々週末にマーク式模試がありました。2週間後には今年度2回目の記述式模試が予定されています。高1生・高2生も同時期に今年度初めての模試(記述式)があります。記述式模試において下線部和訳は定番問題です。

長文問題の指示語やある表現を説明する問題に比べて下線部和訳問題は得点し易いように思えますが、実際はそう簡単ではありません。特に高3生が受ける模試の下線部和訳では、単語・構文ともに難度が高くなっています。

S(主語)V(動詞)O(目的語)の文は簡単に訳せそうですが、副詞節や形容詞節等の修飾語がついて文構造が複雑になると英文の骨格をなかなか見抜けないものです。また、単語は一つわからなくても前後関係からある程度類推することはできます。しかし、該当の文の急所となる単語の意味がわからなければ和訳は意味不明なものになってしまいます。

下線部和訳問題での一般的なミスは、文構造を無視して、知っている単語をつないでなんとなく日本語を書いてしまうことです。やはり英文の構造をしっかりと把握しなければなりません。直訳すべきか意訳すべきかと問われれば、先ずは直訳です。英文の構造に即して訳してみて、余りにも不自然な日本語になる場合に初めて意訳するという手順が良いと思います。

出題者の意図としては自然な日本語にすることより英文構造を見抜けるか否かが大きなポイントのはずです。ですから、自分はこの英文の構造がわかっていますというような和訳が求められます。文法的には分詞構文、関係詞継続用法(非制限用法)や If 節が省略された仮定法等の問題は難しくなります。強調構文も要注意です。

2学期制の高校では前期・中間テストが終わろうとしています。これからの高3クラスでは記述式模試に備えて大学入試2次試験過去問に挑戦です。

(2008年06月19日) 【中3の各テスト】[▲ 先頭へ]
5月末から6月初旬にかけて各中学で行われた前期・中間テストの結果が戻ってきました。各テスト後恒例の個別反省会で、良かった点・悪かった点や志望校等について話し合いました。今回の中間テストの前に強調した課題は5教科手抜きせずにテスト勉強することでした。ほとんどの生徒さんがそれぞれの目標点に達していたので一安心でした。

5月の連休明けに実力テストが行われた中学がありました。試験範囲は1・2年の復習の一部でした。試験後に個別反省会をしたところ、一部の中3生はある科目(理科や社会、特に社会であることが多い)で手抜きをしていました。

1・2年の復習の実力テストであれ、中間・期末の定期テストであれ、3年生のテストは後から復習する機会が余りありません。実力テストや中間テストできちんと勉強できなかった範囲を復習するとすれば夏休み、11月の統一テスト前が考えられます。しかし、1、2回該当範囲を勉強すれば大丈夫というものではありません。また、冬休みは1年から3年の全範囲の復習になりますから個別範囲に時間をかけることは余り期待できません。

全ての学年で一回一回のテストを大事にすべきですが、特に中3生の場合、後でなかなか復習できないので、それぞれのテストがとても重要です。少しサボっても後で頑張れば大丈夫と思っても、そのツケは必ず回ってきて、自分が苦しくなるだけです。各中学とも来月には実力テストが予定されています。できるだけのテスト勉強をしたという感覚が望まれます。

(2008年06月12日) 【大学受験勉強で得たもの】[▲ 先頭へ]
今週末、高3生の皆さんは石川県統一テストであるマーク模試を受験します。そして来月には記述模試があります。今週末のマーク模試と来月の記述模試を合わせて高3になって初めてのドッキング判定が出されます。マーク形式のセンター試験と記述式の2次試験を合わせた模擬大学入試の形です。

先週後半に総体・総文があり、多くの高3生は部活が終了しました。今週は部活モードから受験モードへ気持ちを入れ替える期間です。週末のマーク模試の後、今月後半には各高校で定期テストが予定されています。

先週月曜日にはセンター試験実施要項が発表されてセンター試験の時間割が確定しました。また5月初旬の模試結果が丁度返却される時期です。高3生にとって、いろいろな要素が「受験」という2文字に連なっています。

当ゼミでは志望大学に合格した皆さんにアンケートをお願いしています。その中には「受験勉強で得たものは何ですか。」という項目があります。回答の幾つかをご紹介します。「様々な知識が一つにつながっていることを知った時の感動」「やればできる、やろうと思っても実践しなければ意味がない」「勉強の大切さ、面白さ、辛さがわかったこと」「計画を立てること、継続することの大切さ」「好奇心を持つことの素晴らしさ」

アンケートを読み返すと一人一人が頑張っている姿を思い出します。皆さんそれぞれ大学受験というハードルを乗り越えて逞しく成長したなぁと感じます。高3生諸君には受験勉強を通して学力を高めるだけではなく、精神的にも成長して欲しいと願っています。

(2008年06月05日) 【大学合格実績】[▲ 先頭へ]
北國新聞社の月刊誌アクタス6月号に高校別大学合格者数が掲載されています。アクタスのタイトルは「金大 石川勢の比率大幅減」で、石川県勢の金沢大学合格比率が昨年度の28%から23%に低下したことを紹介しています。その原因として、各大学、特に名古屋大学で後期日程試験が廃止されたことを挙げています。「1ランク志望を下げた他県の生徒が金大に流れ込んだ」という分析は当たっているかもしれません。

合格実績表を見ていて二つのことを感じました。一つは星稜の健闘です。金大が41人、金大を超える県外の国公立大学が約30名で、大学合格実績としては桜丘を超えたと言えます。星稜はさらに上を目指す熱意を持っていますから今後が注目されます。私立高校としては完全に水をあけられた金沢高校ですが、一昨年から設定された難関大学を目指すSコースが来年受験を迎えます。金沢にとって来年は勝負の年と言えそうです。

もう一つ感じたことは泉丘の苦戦です。金大合格が18人も減って64人になったことも気になりますが、金大を超える県外の国公立大学で大苦戦だったようです。ここ2年間は約150名が合格していましたが、今年は100名余りでした。数字だけを見ると惨敗という言葉が浮かんできます。

今年の大苦戦の原因の一つとして、3年前の高校入試の倍率が低かったことが指摘されているようです。3年前は全県1学区になった年です。高倍率になるとの予想に反して泉丘の倍率は1.14倍でした。その前2年の倍率は1.37倍、1.32倍でした。この3年間を見ると高校入試の倍率と3年後の大学合格実績の間に相関関係があるようですが、実際のところは?です。現に3年前の二水は前年の1.46倍から1.64倍に倍率が上がりましたが、今年の大学合格実績は昨年より若干悪くなっています。

アクタスのデータを見る限り、我が石川県はお隣の富山県に全体として負けているようです。やはり地元の高校には頑張って欲しいものです。私もできる限り高校クラスの皆さんの実力向上をサポートするつもりです。

(2008年05月29日) 【携帯電話その2】[▲ 先頭へ]
高校生になると携帯電話の保有率はかなり高くなるようです。当ゼミの高校生は全員が携帯電話を持っています。持参物の依頼や学校行事の日程確認等の事務的な連絡をするのにとても便利です。英語・数学の質問や進路の相談で時々メールが入ります。携帯メールが特に活躍するのは、センター試験後の2次試験出願大学に関する相談の時です。私のPCと受験生の携帯電話との間で何通ものメールが往復することがあります。

しかし、宿題の確認や定期テスト対策の特別授業の日程確認等のためにメールが送られてくる場合もあります。これらはゼミの授業の際にしっかり私の話を聞いていれば確認する必要のないことです。10年前に学習塾を始めた頃は携帯電話がこれほどは普及していませんでした。宿題や授業時間の確認のためにわざわざ固定式電話で確認してくる生徒さんはほとんどいませんでした。携帯電話の普及とともに人の注意力が散漫になってきているように感じます。後から携帯で聞けばいいやと軽く考えているのかもしれません。

また、高校生よりも中学生に多いのかもしれませんが、学校から帰った後も頻繁に携帯で連絡を取り合うという現象は考えものです。学校の休み時間や放課後のおしゃべりに飽き足らず帰宅後も友人とつながっていたいということのようです。これでは勉強をしたり本を読んだりする時間、即ち人間として成長するための時間がなくなってしまいます。

注意力が散漫になる可能性があること、ついつい他人に依存してしまうこと、これらの携帯電話の負の側面は、子ども達の人間としての力を弱めていると感じます。いつでも移動できる自動車が凶器にもなるように物には二面性があります。便利な携帯電話のマイナス面には個人としても社会としても注意しなければなりません。

(2008年05月22日) 【携帯電話】[▲ 先頭へ]
丁度一週間前の5月15日に日本PTA全国協議会は2007年度「子どもとメディアに関する意識調査」の結果を公表しました。この調査は小学5年生と中学2年生の各2400人と、その保護者を対象に昨年11月に実施されました。携帯電話を持っているのは小5で19.3%、中2で42.9%。1日の携帯メールの平均送受信数は小5では「1〜5通」が31.7%で最多、中2では「11〜20通」の17.0%が最多で「51通以上」が16.2%いました。「深夜でもかまわずメールのやり取りをしてしまう」中2は51.4%いたそうです。

今年4月3日付けの本欄「NHK教育特番」では3月8日に放送されたNHK特番に触れました。その番組の中でも携帯電話が取り上げられました。東京都内の中1女子は1日のメール送受信数が266通で、彼女が寝た後に受信した友人からのメールは、「明日」という件名で「晴れるかなぁ」が内容であったことはご紹介した通りです。

そもそも小中学生に携帯電話が本当に必要なのかと思います。もちろん、最近は都会でも地方でも不審者が出没しますから子どもの安全確認のために携帯電話が必要だという意見には頷けます。問題は本来意図された目的以外に使用されているという点です。

サミット・ゼミで実際にあった携帯電話に関する事例は好ましいものではありません。ある中3生は夜勉強している時に頻繁に友人からメールが入ったり電話がかかったりして勉強に集中できませんでした。別の中3生は新しくできた友人とのメールに熱中して勉強が疎かになりました。両者とも成績が伸びなかったことは言うまでもありません。これらは中学生と携帯電話に関する一般的な問題点でしょう。

子どもたちと保護者の間で携帯電話の使い方についてきちっと話し合えば良いと思いますが、実情はそう単純ではなさそうです。調査結果によると、携帯電話の使用に関するルールがあると答えた保護者は過半数に上っていましたが、ルールがあると答えた子ども達は保護者の割合の約半分程度でした。親側ではルールを決めたと思っていても、子どもたちは特にルールはないと思っているケースがかなりあるようです。自分をコントロールすることが難しい年代では保護者が目を届かせることが必要だと思います。

(2008年05月15日) 【方程式応用問題】[▲ 先頭へ]
中3生の皆さんは、現在学校で中3としての勉強と同時並行で1、2年の復習をしています。既に1回目の実力テストが終わった中学もあります。中学により進み方にバラツキはありますが、1、2年の復習は方程式に入っています。方程式の計算はケアレスミスに注意すれば大丈夫ですが、文章問題が一つの山場です。

今年3月の高校入試では数学の平均点が異常に低かったこと、平均点を下げた大きな要因は連立方程式の応用問題が一捻りされていたことは既にご紹介した通りです。最近は方程式や連立方程式の応用問題を苦手にしている生徒さんが非常に多いです。ある模試での方程式応用問題の出来が悪く、模試本部の人と一緒にため息をついたこともあります。

方程式、連立方程式そして2次方程式の応用問題は、文章の読解力を試される分野でもあります。問題文を読んで適切な式を立てられるか否かがポイントです。「考える」というプロセスも必要です。今の子供たちは考えることが苦手である傾向が強いので、この応用問題でつまずくことが多々あります。

「嫌だ〜」と思うのではなく、方程式の応用問題にチャレンジして欲しいです。たくさんの問題を解くうちに、この文章問題のパターンはせいぜい数個であること、そしてそれぞれのパターンで使う公式は決まっていることがわかってきます。

中2生はもうすぐ連立方程式に、中1生は7月頃に方程式に入ります。教科書やワークの問題を解いた上で、できればもう一冊問題集で練習すると安定した実力をつけることができます。

(2008年05月08日) 【英語バカ】[▲ 先頭へ]
前回の本欄では、企業が海外部門だけではなく営業部門や技術部門の社員に対しても一定の英語レベルを求めていることをご紹介しました。ある大企業の国内営業部門に勤めていた私の友人は昨年海外の関連会社に派遣されました。企業において、このように突然英語を使う仕事に変わることは珍しいことではありません。

国際化している現代において、英語は社会人の素養になっているとも言えます。しかし、英語はあくまでもコミュニケーションのための手段に過ぎません。企業では、期待されている成果を実現することが重要な任務です。

「英語バカ」という言葉があります。英語はできるものの、それ以外のマーケティング、財務、技術等の能力がなく仕事をうまく遂行できない人を指す言葉です。企業の海外部門に時々いるタイプです。外資系企業で働く友人から、「英語バカ」に該当する人は、英語はできるので本国との連絡はできるが仕事そのものが理解できていないので、仕事を進める上で問題になる場合が少なくないと聞いたことがあります。

従って、学生時代に英語以外の科目もしっかり勉強しなければなりません。社会で活躍するために何が必要かは特定が難しいのですが、基本的な知識と考える力が必要であることには異論はないでしょう。課題を達成したり問題を解決したりする際に、何がポイントかを把握し必要な手順を考えるためには、学生時代の様々な勉強が基礎になっていると思います。

(2008年05月01日) 【企業が求めるTOEICスコア】[▲ 先頭へ]
企業が社員に期待するTOEICスコアは、海外部門の社員に対しては750点、営業部門と技術部門の社員に対しては600点だそうです。TOEICのホームページからの情報です。私が日産自動車の海外部門にいた時も、TOEIC 750点が期待されていました。現在、多くの企業が英語能力の指針としてTOEICを採用しています。海外出張や駐在の基準や昇進の条件にしている会社があると聞いたこともあります。

元生徒の皆さんと話したりメールしたりする時にTOEICが話題に上ることもよくあります。先の春休みにランチをした時に、700点を超えたと話してくれた大学生もいました。就職活動をする際に、一つの資格としてTOEICが持つ意味は小さくありません。

大学受験につながる高校の英語とTOEICスコアとの関係については、明確な相関関係はありません。感覚的なコメントですが、大学入試センター試験で180点以上の実力があればTOEIC 750点以上が狙えると思います。TOEIC 600点はセンター試験160点位でしょうか。リスニングが半分であるTOEICと筆記200点・リスニング50点のセンター試験(合計250点x4/5=200点満点に換算)を比較することは乱暴な話ですが、文法・語法問題を含み大量の英文を速読しなければならないという点で両者は似ている面があります。

確実に言えることは中高生の時に英語を物にしなければTOEICの高得点は望めないということです。高校生の皆さんは大学受験を目指して英語を勉強していると思っているでしょう。しかし、自分の将来のために勉強していると是非意識して欲しいです。TOEICは世の中に出た時に自分の英語力を示す有力な指標です。大学受験の時に然るべき英語力を身につけておけば、企業が認めてくれるTOEICスコアの獲得につながるはずです。

(2008年04月24日) 【40.6点】[▲ 先頭へ]
40.6点、石川県教育委員会のホームページを見て思わず「エッ?」と声が出ました。これは今年3月11日に行われた公立高校入試・数学の平均点です。私の予想は44-45点でしたので、驚きの低さです。手元には平成9年度からの資料がありますが、同年度(11年前)の42.1点以来の低い平均点になります。なお、この点数は合格者の平均点ですから、受験生全体の平均点はさらに低くなるはずです。

今年3月13日の本欄「やはり数学が鍵を握る」で高校入試の数学が難しかったことをご紹介しました。やはり2番の連立方程式の応用問題が一ひねりされていた点が受験生を悩ませて平均点を下げた大きな要因だと思われます。1番の最後の平行線と比の小問も受験生のペースを乱す原因になったでしょう。

教育委員会で数学の入試問題作りを担当した人たちはどのような評価を下しているのでしょうか。平均点40点を狙って問題を準備したとは思えませんから、受験生の数学レベルが教育委員会の想定外に低かったというところが当たっているような気がします。要するに、思考力を要する問題に弱いということです。

40.6点という衝撃は教育委員会や学校の現場にどのような影響をもたらすのか注目したいと思います。数学の問題を解くにあたっての思考力、即ち数学的応用力が低下傾向にあることはOECD学習到達度調査でも明らかになっている点です。日本全体の課題ですが、石川県の教育委員会が、驚きの平均点を受けて何か具体的な対策を講じるでしょうか。学校の数学の授業に任せるだけでしょうか。来年の入試では易しい出題にして平均点を上げ、課題点をぼやかすようなことはして欲しくありません。

この平均点を受けて模試の問題レベルがどうなるかも注目されます。北國新聞文化センター主催の石川県総合模試の昨年度の数学平均点は44.2点〜52.1点でした。因みに昨年3月の高校入試・数学平均点は51.2点でした。今年度の模試の数学は難しくなり、平均点50点割れが続くかもしれません。中3クラスでは、各模試の前は過去問練習をしています。従来は避けていた平均点が40点台前半の過去問も練習しなければなりません。

(2008年04月17日) 【地頭力】[▲ 先頭へ]
先日、車を運転中に聞いていたFM放送で「地頭力(じあたまりょく)」という変わった言葉を耳にしました。気になったので、インターネットで調べてみました。今年になって雑誌やテレビ等でしばしば取り上げられているようですが、きっかけになったのは昨年末に発行された「地頭力を鍛える」(細谷功氏著)という本かもしれません。

細谷氏は本の中で「頭の良さ」には「物知り」、「機転が利く」と「地頭がいい」の3種類あり、創造的な「考える力」のベースとなる知的能力を「地頭力」と定義されています。地頭力の本質は、「結論から」、「全体から」、「単純に」考える3つの思考力とのことです。

私は、社会で活躍するためには、与えられた課題や問題の本質を見抜く力と課題を実現させたり問題を解決したりする手法を複数提案できる力が必要だと考えています。これらの能力と地頭力は密接に関連しているように思います。因みに、私のポリシーの一つは “Simple is the best.” です。

ゼミの教室で中高生諸君と勉強している時、彼らが社会に出てから活躍できるようにという視点を常に持っています。筋道立てて考えることが基本ですが、時には、数学の合同・相似の証明では、条件だけからではなく結論から逆に考えることもしようと話しています。方程式の応用問題では、問題文に書いてあることを素直に式にしようと指示しています。これらは、「結論から」、「全体から」そして「単純に」という地頭力のキーワードに関連します。

また、作文や小論文で漢字を忘れてしまった場合や、英作文で単語のスペルやある言い回しが怪しい場合に別の表現を考えるように指示します。この代替案を考える力も社会に出て要求される大切な能力だと思います。

(2008年04月10日) 【忘れられないNHK教育特番】[▲ 先頭へ]
前回の「塾長からの一言」では本年3月8日に放送されたNHKの「大丈夫ですか?日本人の学力」を取り上げましたが、NHKの教育特番として忘れられない番組があります。それは1999年1月10日(日)に放送されたNHK教育テレビ40周年記念番組「日本の学校ここを変えて」です。日曜日の朝9時から夜11時までの14時間の生番組でした。サミット・ゼミを開校(1998年10月17日)して間もなくのことでしたので強い印象を受けました。番組の一部はVTRに取り今も残っています。

小中高生、学校の先生や文部官僚、そして当時の有馬文部大臣も番組に出演していました。子どもたちを主体にして学校の問題点について議論する内容で、様々な問題が熱く語られていました。今でも覚えているのは、ある中学の先生が、校長先生が変われば学校が変わると話したことです。ですから、3月8日の番組で中学の校長先生が、教師を現場に戻して欲しいと困っている様子で話されたことはちょっとショックでした。

また、文部省の官僚が学校の現場を視察して教育現場はわかっていると主張したのに対して、学校の先生の中には、文部官僚の視察前は十分に準備するので学校の本当の姿は伝わっていないと指摘した先生がいたことも覚えています。現場が把握できなければ適切な施策は打てません。

勉強の必要性については、ある中学の先生が、中学卒業後漁師になったA君の話を紹介していました。A君は中学時代勉強をせず、その先生が勉強するように言うと、「オレは漁師になるので勉強しなくてもいいんだ」と答えたそうです。その後、その先生が漁師になったA君と会った時、A君が船に搭載するコンピュータ機器を活用するために数学の勉強をし直していることを聞いたそうです。

3月8日の番組を見ていて9年前の番組を思い出し、この9年間に教育の現場がどのように変わってきたのだろうかと考えました。「勉強する意味がわからない」「変な先生がいる」等の中高生のコメントからは、学校の現場は全然変わっていないように思えます。教師は周辺業務で忙し過ぎるという校長先生のコメントからは、教育の現場は悪化しているとも言えそうです。

教育に関する最大の問題は先生が忙し過ぎることにあるのかもしれません。これが最優先されるべき課題なのでしょうか、もっと他に深刻な問題があるのでしょうか。また、教育に関する責任者が誰なのかもよくわかりません。校長先生でしょうか、教育委員会でしょうか、それとも文部科学省なのでしょうか。責任が多重的にあるようですが、皆の責任は無責任のように見えます。この9年間、いや、その前からもずっとこれらの曖昧な状況が続いています。責任の所在、問題の所在を明らかにした上で解決策を講じなければ公教育の再生はあり得ません。

(2008年04月03日) 【NHK教育特番】[▲ 先頭へ]
先月8日「大丈夫ですか?日本人の学力」という3時間番組がありました。これは、NHKの「日本の、これから」シリーズの一環でした。ゼミの授業中の番組でしたが、「学力」というテーマに惹かれてDVDに録画して見ました。私は次の3点が気になりました。

先ず、番組に登場した全国の中高生の中に、勉強する意味がわからないと述べた人がいました。やはりこのような中高生が多いのでしょうか。今の豊かな時代に生きる中高生には勉強をする大前提としての勉強の意義をきちっと説明する必要があるようです。(本年2月21日付け本欄「ある日の中2クラス」参照)

次の点は携帯電話です。番組では東京都内の中1女子の帰宅後の生活を追っていました。帰宅後彼女の携帯には頻繁にメールが入り、やりとりしたメールは全部で266通だったそうです。彼女が就寝後に入ったメールは、件名が「明日」で、内容は「晴れるかなぁ」でした。これは頭が痛い問題です。

3点目は、ある中学校の校長先生が述べた「教師を教室へ戻して欲しい」という言葉です。先生方は授業以外のいわゆる周辺業務に忙殺されていて、本来の授業に集中できないそうです。以前新聞で、教育委員会に提出する書類が数多くあって大変だという中学教員の投書を読んだことがあります。どうも先生方は本来の業務である「教える」ことに集中できない状況があるようです。

私は今の教育における最大の問題点は学校そして先生にあると考えてきました。そして、校長先生が問題解決上大きな鍵を握っていて、校長先生の問題意識と意欲で学校が変わるのではないかと思っていました。しかし、上記の通り校長先生も困っているようです。そうなると、教育委員会そして文部科学省にも係わる構造的な問題があるということでしょうか。また、携帯電話については家庭も絡む社会的な問題になりそうです。

教育委員会や文部科学省の問題意識や諸問題の解決策についてはよくわかりません。NHKには、3月8日の番組を進化させ、教育委員会や文部科学省を巻き込んだ形で教育・学力に踏み込んで欲しいと期待しています。

(2008年03月27日) 【NHKラジオ講座一新】[▲ 先頭へ]
「ラジオを聞かないといかんねぇ〜」今月初めリスニングテストをした時のある中2生の言葉です。因みに、ラジオ講座を聞き続けている人はノーミスでした。

NHKのラジオ講座が来月から一新されます。中3生向けの講座は、従来の「レベルアップ英文法」から「基礎英語3」になります。中2生・中1生向けは、それぞれ基礎英語2・基礎英語1で講座名は変更ありません。

一番大きく変わるのは、従来の週3レッスン制(月・火、水・木、金・土はそれぞれ同じ内容)から週5レッスン制(月曜から金曜まで毎日違う内容)になる点です。(基礎英語2・1も同様)また、基礎英語3は従来は放送されていなかった夜の時間帯(午後9:30〜9:45)にも放送されます。残念な変更点はテキスト代金が50円も値上げされて380円になることです。

サミット・ゼミでは中学クラスの皆さんにこのラジオ講座を聞くように推奨しています。高校入試や模擬試験そして学校のテストではリスニングがあるので、特に中3の皆さんには必ず聴くように指示しています。年間数回ある模試の前は模試の過去問を解きますが、ラジオ講座を聞き続けていればリスニングでのミスはほとんどなくなります。

今年度までは週に3回聞けば良かったのが新年度では月曜から金曜まで毎日聞くことになるので若干負担は大きくなります。しかし、内容は英文法の復習を兼ねているので、ラジオ講座の効果はとても大きいと思います。新年度の講座は来週月曜日3月31日スタートです!

(2008年03月20日) 【新高2生の春休み】[▲ 先頭へ]
先月末から今月初めにかけて高2の皆さんと学年末試験対策をしました。サミット・ゼミ高校クラスでは定期テスト前に、英文読解の試験範囲を復習して英語構文を見抜く力が養われているか否かをチェックしています。高2の皆さんの今回の試験範囲は、2年生で使っていた英文読解の教科書をほぼ終了して、大学入試の過去問を掲載した教科書がメインになっていました。

3年生になると大学受験勉強が本格化して英語の教科書の予習にかける時間は余り取れなくなります。2年生の教科書までは必ず予習するように話していましたが、3年生の教科書の内容である大学入試の過去問は英文が難しくなりますから全英文をしっかり予習することは時間的に苦しくなります。

従って、2年生が終了するまでに英語の構文を見抜く基本的な力を養っておかなければなりません。3年の教科書は実戦練習ですから、比較的簡単な2年生の教科書で訓練を積むということです。この英文構造を見抜く力のベースは文法です。

高校1年生はこの一年間英文法を学んできました。間もなく始まる春休みでは英文法の復習がとても大切です。時間的に余裕がある春休みに文法の苦手分野を克服しておかなければ、その苦手意識はずっと続いてしまいます。因みに、文法が理解できているかどうかのチェックポイントとして、分詞構文、関係代名詞・関係副詞の継続用法(非制限用法)、仮定法が挙げられます。文法のマスターは高校英語を征服するための大前提です。

(2008年03月13日) 【やはり数学が鍵を握る】[▲ 先頭へ]
一昨日・昨日と公立高校入試が行われました。5教科の学力テストは火曜日(3月11日)でした。ここ数年は5教科合計の平均点が下降傾向にあり、昨年の平均点は268点(英語58.9点、数学51.2点、国語50.4点、理科55.3点、社会52.2点)で9年ぶりの低い点数でした。

火曜日の午後、北國新聞社のホームページから英語と数学の試験問題を印刷して実際に解いてみました。英語は昨年並みで難しい問題ではありませんでした。ただし、リスニングの時間が長かったとすれば読解問題と英作の時間が少なくなり全体の難度は相対的に上がります。

数学は1番の最後に平行線と比の手間取る小問があり、2番がやや複雑な連立方程式の文章問題、3番は平面図形、三平方の定理、規則性の複合問題、4番は例年より複雑な作図の問題と続きました。思考力を問う問題が前半で続いたので、パニックに陥った人がいるかもしれません。数学の50分をいかに使ったかが勝敗を分けると思います。即ち、時間がかかりそうだと感じた段階でその問題を後回しにして次の問題に進めたかどうかです。

今年の数学は1番の小問と5番〜7番の前半の小問でどれだけ確実に得点し、それら以外の問題でどれだけ上積みできたかで点数が決まるでしょう。高校入試というプレッシャーのかかる状況で時間を上手に使うことは難しいので、平均点は昨年より低くなると思います。今年は例年以上にケアレスミスの痛手が大きいでしょう。数学が得意でない人にとっては、あまり差がつかないという意味でラッキーだったかもしれません。

昨年11月1日の本欄のテーマは「高校入試は数学で決まる!?」でしたが、今年は特に上位校で数学の出来具合が入試結果に影響しそうです。

(2008年03月06日) 【新高3生の春休み】[▲ 先頭へ]
先月25日に行われた国公立大学・前期日程試験の合格が今週半ばより順次発表されています。高2の皆さんにとっては来年の2次試験まで1年を切ったことになります。

過去数年の高3生の成績推移を調べてみました。ゴールデンウィーク終盤にある最初の全国模試から12月のセンター試験プレテストまでの推移です。一般的な傾向として英語・数学・国語は5月の模試から成績を伸ばすことは非常に難しいです。徐々に伸ばした頑張り屋さんもいましたがほとんど同じ水準で推移していました。理科・社会の科目は、英数国に比べて成績を伸ばしやすい傾向がありました。

丁度1年前(2007年3月8日)の本欄「先手必勝」で、大学受験は先行逃げ切り型が強いと述べました。ある受験雑誌に書かれていた言葉ですが、本当にその通りです。3年生になり、特に部活が終わる6月から成績を伸ばすことは本当に大変なので、高2の学年末試験が終わるこの時期から春休みまでの一か月間はとても重要な期間だと言えます。この期間での基礎作りが来年の入試結果を決めると言っても過言ではないでしょう。

高2クラスの次の授業では、各科目の受験勉強のポイントをまとめた資料を配布して皆さんの気持ちを引き締めるつもりです。キーワードは基礎を固める・学校の授業の活用・模試の活用です。

(2008年02月28日) 【金沢を語る?】[▲ 先頭へ]
公立高校入試の出願倍率が発表され、入試(3月11日・12日)までは2週間を切りました。倍率は今日(28日)から来週月曜日(3月3日)までの志願変更期間を経て確定します。

先日、中3クラスの皆さんに学校の英語の授業で何をやっているか聞いてみました。金沢市教育委員会によれば、英語の教科書を早期に終了し、その後は副読本の活用により金沢の歴史や文化を発信できる英語力の習得をめざした指導をすることになっています。因みに、「『世界都市金沢』小中一貫英語教育特区」は平成16年に文部科学省に認定されました。教育特区の計画では、「世界都市金沢」を形成する児童・生徒の国際性の涵養を目指し、郷土金沢の歴史や文化を正しく理解し、英語で説明できる力を身に付け、金沢の文化を発信することを目標として掲げています。

中3クラスのメンバーが通う二つの中学とも3年生の教科書は昨年12月までに終了しました。その後、A中学は、金沢に関する英文を使った授業をしています。副読本に関連する英文のプリントの所々がカッコになっていて、その箇所を穴埋めしながら読み進んでいました。難しい単語がよく出てきたそうです。B中学は、金沢に関する授業は全くなく、英語の長文問題練習をしたり、字幕のついた英語の映画を見たりしていました。

金沢市の計画は理想としては素晴らしいのですが、その現実性には大きな疑問符がつきます。第一に、中3レベルの英語力で金沢の歴史や文化を本当に発信できるのかが疑問です。中学終了段階レベルでは、文法はともかく単語量が少ないので、ごく表面的な内容しか表現できません。第二に、地域統一テストが始まって中3生が高校受験を大きく意識する時期に金沢に特化した授業内容が妥当であるのかが疑問です。上述の通り学校毎に対応が違っていますから、高校受験に備えた授業という点で不公平感が出る可能性があります。

金沢市の描く理想を現実のものにするためには、副読本や授業内容に相当な吟味が必要です。また、中学によって対応が大きく異なることは平等の観点から問題ですから、どのように運用、そしてチェックするかも課題です。当初の金沢市の計画では、18年度入学生(現2年生)は3年生の英語の教科書を7月に終了することになっています。今年度よりもかなり早く終える予定です。夏休み以降の半年間がどのように使われるのか見守りたいと思います。

なお、金沢市の計画に記載されていた「生徒の国際性の涵養」についてはお寒い現実があります。中学生が学校で学んでいる世界の国はたったの2カ国です。教科書には3カ国(アメリカ・中国・フランス)が載っています。国際化が進む時世においては3カ国でも少ないのに、1カ国が省かれています。これで国際性が涵養できるのでしょうか。

(2008年02月21日) 【ある日の中2クラス】[▲ 先頭へ]
後期・期末テストが近づいてきました。中2数学の試験範囲は直角三角形の合同や平行四辺形の証明がメインになります。サミット・ゼミでは学校での教科書の進行と同時並行で問題練習を重ねています。

先月末のある日の中2クラスでのことです。英語の復習の後、少し休憩して数学の時間になりました。課題は三角形の合同の証明です。現中2クラスの皆さんは英語は大好きなのですが、数学がイマイチで、証明は嫌だ〜、面倒くさ〜いとの声が上がりました。

私は一席ぶちました。証明は他人を説得する練習だということから今の学力低下の話に発展しました。日本は今、韓国、台湾や香港に追い抜かされているという話です。これはOECD学習到達度調査で明らかになった点です。中2の皆さんが理解できるように身近な自動車やテレビ・冷蔵庫の家電製品を例に取りました。

今、我々はトヨタ・日産・ホンダ等の自動車に乗り、松下・ソニー・東芝などの家電製品を使っているが、学力低下は会社の商品開発力の低下につながり、近い将来、自動車や家電製品は韓国製や台湾製になる可能性がある。そうなると日本の自動車メーカーや家電メーカーが倒産するだけではなく自動車や家電製品の部品を作っている数多くの会社も連鎖的に倒産し、石川県でも倒産する会社が続出する。その結果、仕事に就くことが難しくなり、今の豊かな生活はできなくなる。このような話でした。

私の話の後、明らかに中2クラスの雰囲気は変わりました。「先生、ちゃんと勉強しないとヤバイよね。」という感想を漏らした人もいました。勉強は嫌だとは言っているものの、やはり勉強しなければならないと皆さん心の中では感じていますから、きちんと説明すれば納得してくれます。

(2008年02月14日) 【小論文のポイント】[▲ 先頭へ]
昨年12月20日付け本欄のテーマは「小論文練習スタート!」でした。中3クラスの小論文練習はその週に始めて、先週4回目の練習をしました。幾つかのパターンで練習を重ねて、中3生諸君はほぼ制限時間(約50分)で書けるようになっています。

10分以内で200字の作文が書ければ、問題なく500〜600字の小論文は書けるものです。200字の作文が苦手な人は小論文でも苦労します。先週の小論文練習では、制限時間ぎりぎりになってせっかく書いた文を大きく消した人もいました。

作文でも小論文でも、与えられたテーマに沿った自分のテーマを決めること、そして実際に書き始める前に自分の作文・小論文のシナリオ(全体の構成)を考えることが重要です。作文や小論文で失敗する場合は、自分のテーマが曖昧であったり、シナリオができていなかったりすることがほとんどです。シナリオができていないままで書き始めると、字数が足らず繰り返しや付け足しの文を書くことになってしまいます。そうすると全体の印象が悪くなります。

中高生の時に作文が大嫌いだった私は、自分に対する挑戦としてこの「塾長からの一言」を毎週木曜日に書き綴っています。週が明けて月曜日か火曜日になると、今週は何を書こうかなぁ〜と頭が痛くなります。(本当です。誰かに頼まれて書いている訳ではないので止めても良いのですが、ここまで続けたらやはり続けたいと考えています。)

そんな私が最初にすることは、何について書くかを先ず決めることです。次にそのテーマに関するキーワードやキーセンテンスを組み合わせて大体の構成を考えます。そしてワープロに向かいます。この手順は作文や小論文の場合と同じです。

一番重要なことは何を書くかを先ず決めることです。そしてこれを決めたら、そのテーマで書き上げてしまうべきです。途中での変更は原則なしです。シナリオも大切ですが、自分のテーマを決めなければ次のステップに進めません。作文や小論文で苦労している中3生はこの点が甘いようです。

(2008年02月07日) 【私立高校合格】[▲ 先頭へ]
先週末から今週初めにかけて私立高校入試の合格が発表されました。その結果を受けて、今週は各中学で公立高校の出願校を相談する三者懇談が行われています。公立高校の出願期間は今月20日〜25日、入試は3月11日・12日です。

毎年3月中旬の公立高校の合格発表を見にいって、該当の受験番号が見当たらず「あれ、おかしいなぁ〜」と思うことが時々あります。入試当日体調を崩してしまうということもありますが、私立高校合格で安心してしまい公立高校入試に対するモチベーションが下がってしまうことが原因である場合が少なくないようです。人間誰でも「もう、いいや」と思ってしまえば、その後の頑張りはきかないものです。

私立専願の人は合格おめでとうでOKです。それ以外の人は、自分の志望校を最終的にしっかり考えるべきです。自分が本当にどの高校に入学したいのかを確認した上で、残り一か月余りラストスパートです。限られた期間ですが、一か月は決して短いものではありません。漫然と過ごすのと気合いを入れて過ごすのとでは成果に大きな開きが出てしまいます。

中3生は人生初めての関門を目前にして大きなプレッシャーの中にいます。どうしても弱気になりがちですが、気持ちで負けていては勝負に勝てません。目標を見据えて自分の気持ちをコントロールすることが大切です。この経験が自己を成長させ、3年後の大学入試に活きるはずです。

(2008年01月31日) 【格差への答えは教育に】[▲ 先頭へ]
日本経済新聞、今月の私の履歴書は、アメリカの中央銀行であるFRB前議長のアラン・グリーンスパンさんの履歴書でした。企業動向や産業動向の数値を細かく調べて分析するのが得意なエコノミストであるグリーンスパンですから、論理的で緻密な文章が続きました。

昨日(1月30日)は、アメリカの大きな所得格差を解決する答えは教育にあると述べられていました。「使い道のなくなった技能しか持たない人の報酬は減り、必要な技能を持った数少ない人はひっぱりだこになって報酬は大幅に増える。この結果、米国では大きな所得格差が生まれている。」とし、「この問題への答えは教育にある。米国の初等・中等教育に問題があるのは明らかだ。時代の変化に合わせて技能を付けることで所得を高めていく。それが王道だろう。」と指摘されました。

格差が広がっているのは日本も同様です。教育の役割が「時代の変化に合わせて技能を付ける」ことという指摘には詳しい説明が必要でしょうが、教育の大切さは全くその通りです。

ところで、先日の中2クラスで行った英語のプリント練習では、問題の出所としていくつかの県名が記載されていました。プリント練習を一通り終えた後、それらの県の場所と県庁所在地を聞いてみました。全てをきちんと答えられる人はいませんでした。念のため世界で学んだ国を尋ねたところ、2つの中学の皆さんは、それぞれ世界の2カ国を学んでいました。教科書ではアメリカ・中国・フランスを習うはずなのに2カ国です。

今の時代はグローバル化が進んでヒト・モノ・カネ、さらに情報が世界的に動いています。中学の教科書で主に習う国がアメリカ・中国・フランスでも圧倒的に少ないにもかかわらず、3つの中で1カ国が省かれています。このことを聞いて私はびっくりしたのですが、グリーンスパンさんはこの日本の現実を見てどう思われるのでしょうか。

(2008年01月24日) 【センター試験 in 2008】[▲ 先頭へ]
今年も英語のセンター試験翌日の日曜日に実際に問題を解いてみました。昨年問題形式が大きく変わったので今年はほとんど変化がないだろうと思っていましたが、少なからず変更がありました。大きく変わったのは第5問と第6問です。(英語は第1問から第6問まであります。)第5問は対話文から絵や漫画の説明文に問題形式が変わりました。受験生が一番驚いたのは第6問だったと思います。昨年までは小説でしたが今年は論説文でした。出題形式も変わり3択の小問はなくなりました。

昨年問題を解きながら語数が増えたと感じましたが、今年はさらに語数が増えました。特に第6問は長くなりました。また、出題形式の変更に伴って大問毎の配点も変わりました。この2点が今年の問題の特徴です。センター英語に対する基本的な対策は変更ありませんが、配点変更に伴って具体的な攻略戦術には修正が必要になりましたので、今後検討するつもりです。

なお、昨年復活した発音問題に関して、今年の最初の問題は私の予想が的中しました。サミット・ゼミの発音記号の授業では、日本人にとって注意すべき母音の発音が三つあると話しています。昨年はそのうちの一つが出題されました。私が問題を作るとすれば、残りの二つのどちらかを出題すると高3生諸君に伝えていました。今週の高2クラスでは、残る一つに特に注意するように話しました。それは「アー」と聞こえる母音です。”heard” と “heart” の違いです。

(2008年01月17日) 【The busiest week in a year】[▲ 先頭へ]
大学入試が始まります。今年の大学入試センター試験は19日(土)・20日(日)です。今週の高3クラスでは受験生諸君は、大きな関門が目前に迫り、何とも言えない表情を浮かべていました。心静かにその日を迎えるというわけにはいかないものです。

高3生はセンター試験翌日の月曜日に各高校で自己採点をします。そして、その採点結果と2次試験志望校名を大手予備校に送ります。大手予備校は全国から寄せられた情報を処理して合否判定を出し、各高校に返送します。高3生諸君がその合否判定の情報を手にするのは24日(木)午後の予定です。

来週は、私にとって一年で最も忙しい一週間になります。日曜日の午前中に英語の問題を解いた後(数学は月曜日)、夜に出される大手予備校の科目別予想平均点を各生徒さんにメール連絡します。月曜日からは皆さんの自己採点に基づいて国公立大学前期日程・後期日程出願大学を自分なりに分析・検討します。インターネットや手元の受験雑誌を活用します。

一昨年までは高3生用ノートに必要情報を書き込んで各生徒さんと面談していましたが、昨年は個別に資料を作成しました。その資料では、センター試験の得点に基づいて各大学2次試験での必要得点を算出します。複数のホームページと手元資料をチェックしながらの作業です。各生徒さんの進路に直接影響を及ぼすので私も真剣です。資料作りに没頭して、ハッと気がつくと夜中の1時を回っていることがよくあります。

大学入試はセンター試験と2次試験の総合点で決まりますが、センター試験での得点が基本です。センター試験で失敗しても2次試験で挽回可能の場合もありますが、一般的にはセンター試験でつまずけば志望校レベルを下げることになります。今は生徒諸君の健闘を祈るばかりです。土曜日早朝に白山比盗_社へいき合格祈願をするつもりです。

(2008年01月10日) 【近い将来の自立】[▲ 先頭へ]
私が中高生の皆さんと接する時に気をつけていることの一つは、彼らが近い将来自立しなければならないということです。社会に出てからは自分の判断で仕事を進めることが求められます。もちろん、上司や同僚のサポートはあるでしょうが、自分の考えを持って一つ一つの課題をこなすことが基本です。

前回の「塾長からの一言」では、基礎を徹底して本物の実力の養成を目指していると述べました。本物の実力を支える気持ちの面で、自立性が求められます。周りの人に依存していたり、時間を無為に過ごしたりしていては、誰のために勉強しているのかわかりません。

来週末には大学入試センター試験があります。入試では誰も助けてくれません。自分自身の力で乗り越えるしかありません。受験生の皆さんは今不安と闘っています。押しつぶされそうなプレッシャーの中で自分をコントロールしながら入試に備えて臨むという過程こそが重要であり、その経験は彼らの将来に役立つはずです。

ご両親や先生のアドバイスを受けながらも、最も大切なことは自分自身がどうしたいかです。自分の姿を取り繕うのではなく、本当の自分の気持ちを正面から見据えてやるべき事を自ら着実にこなしていくことで自立がもたらされます。こうして高校受験そして大学受験という人生における大きなハードルを乗り越えながら若者は成長するのだと思います。

私の役割は、英語や数学の習得の手助けをするとともに、様々な刺激を与えつつ中高生の皆さんの自立をサポートすることだと思っています。

(2008年01月03日) 【本物の実力】[▲ 先頭へ]
新年あけましておめでとうございます。

昨年の世相を表す漢字は「偽」でしたが、今年はどのような年になるのでしょうか。ところで、私は普段の授業で基礎を徹底して、「本物」の実力を目指しています。そのために、様々な資料を準備したり、教え方を工夫したりしています。入試シーズンが近づいていますが、真の実力がつけば大学入試や高校入試は怖くはないはずです。

世の中は余り実感が伴わないものの好景気が続き、企業は人手確保に苦労しているようです。就職戦線は売り手(学生)有利のように見えます。ところが、景気は変動しますから、今の中学生の皆さんが大学を卒業して世に出る頃は買い手(企業)有利になっている可能性が大です。しかし、本物の実力が身に備わっていれば、景気の動向に左右されず希望する就職ができるはずです。

私をいつも激励して下さる大学教授から頂いた年賀状には「人材育成が全ての土台であり、柱である」と書いてありました。若者を教え、育てることの大切さを改めて感じました。サミット・ゼミの授業は今日の中3クラスから始まりました。今年は10周年を迎えますので気合が入っております。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。