2002年にノーベル物理学賞を受賞された東大名誉教授の小柴昌俊さんは、「受動的認識能力と能動的認識能力の掛け算で人間の総合的な能力が決まるように思う。」と話されています。(2003年3月27日付け本欄「小柴先生のお言葉」参照)受動的認識能力とは学校で覚える様々な知識、能動的認識能力とは自分で考える力のことです。掛け算という点が大きなポイントです。
小柴先生のノーベル賞受賞は私がサミット・ゼミを開校して4年程経った頃でした。学習塾で中高生の皆さんと一緒に勉強していく中で、勉強の必要性について何か的確に言い表せる言葉がないか探している時期でした。「社会に出た時に必要だから」という説明は漠然としていて説得力に欠けますが、小柴先生の指摘は見事に本質を突いていると感じました。
インターネットで「創造力」を調べてみました。フリー百科事典ウィキペディアによると、「一般に過去に存在しない、新たなもの、アイディアを初めて作り出す、考え出す能力をさす。現在では一般に考えられているように無から作り出すのではなく、既知のものの組み合わせで作り出すものと考えられている。」との説明がありました。
新しいアイディアを無から生み出すにしても、既知のものの組み合わせで作り出すにしても、社会に出て仕事をしていく上でこの創造力はとても大切です。何かの企画を考えるとか、ある問題の解決策を考えるとかする際に創造力が必要です。真に創造的な企画や解決策は抜群の効果が期待できます。創造力はノーベル賞受賞にために必要なだけではなく、社会に出て活躍するための条件でもあります。
小柴先生が指摘される様々な知識と考える力は創造力の主な構成要素だと思います。従って、学生時代に好き嫌いを超越して様々な知識を吸収し考える力を鍛えれば人間としての総合的な能力が高まり、創造力につながっていきます。そして、そのことが、勉強は「社会に出た時に必要だから」という説明の具体的内容と言えるでしょう。
激動という言葉が正にふさわしい2008年がもうすぐ暮れようとしています。毎週木曜日に書き綴っている「塾長からの一言」は本日分が今年の最終回です。2009年初回の「一言」は1月3日(土)の予定です。どうぞ良い年をお迎え下さい。
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