■ 過去の『一言』(2001〜2023)
[目次へ]  [前頁]  [次頁]  >

(2009年 7月 〜 2009年12月)


(2009年12月31日) 【人を残す】[▲ 先頭へ]
2009年が暮れようとしています。今年とても印象に残った言葉に、プロ野球楽天・野村前監督の「人間何を残すか。人を残すのが一番。少しくらいは野球界に貢献できたかな。」があります。良い言葉だなぁと思って、インターネットで調べてみました。「金を残すは下、事業を残すは中、人を残すは上」という言葉があり、外務大臣や東京市長等を務めた後藤新平(1857-1929)が残したようです。

学習塾の立場でどれ位のことができるかはわかりませんが、中高生の皆さんに勉強を通じて少なからぬ影響を及ぼしていると思います。野村前監督の言葉から後藤新平の言葉にたどり着いて、生徒の皆さんの成長に対する使命感を新たにしています。

19年間のサラリーマン時代、頑張って仕事をして満足感や達成感を味わうことはありましたが使命感は感じられませんでした。今は生徒の皆さんと一緒に勉強をして、彼らが伸びる姿を目の当たりにすると、遣り甲斐を感じると同時に生き甲斐までも感じることができます。「人を残す」ことに貢献できるよう、これからも謙虚さを忘れず、自分の勉強を怠らず、社会的なアンテナも高くして、充実した授業を提供していきたいと思います。

今年も本欄のご愛読ありがとうございました。来年も毎週木曜日に一話ずつ書き加えるつもりです。どうぞよろしくお願い致します。どうぞ良いお年をお迎え下さい。

(2009年12月24日) 【大学受験の心構え】[▲ 先頭へ]
毎年この時期に高2クラスで配る資料があります。「大学受験の心構え」という題名の2枚のプリントです。どのような心構えで大学受験に臨むべきかを述べた内容で、ある受験雑誌の抜粋と私自身の経験をまとめたものです。センター試験は毎年1月にありますから、高2の冬休みから受験勉強を始めれば1年余りの期間があります。大学受験にはこれ位の準備期間が必要です。

多くの高2の皆さんは、受験勉強は高3になってからで良いと思っているでしょう。しかし、それでは遅すぎるのです。本欄で何回か述べましたが、5月初旬に行われる高3最初の模試から大学入試まで成績を伸ばすことは非常に難しいのです。ほとんどの大学受験生が勉強を始め、特に6月初旬に部活最後の大会が終わってからは受験勉強が本格化します。皆が勉強していますから、相対的な成績である偏差値を伸ばすことは厳しくなります。

従って、この冬休みから春休みまでの3〜4ヶ月は高2生にとって非常に重要な期間と言えます。ここで実力を伸ばして、高3最初の模試において志望校合格に手が届く水準になっていることが望まれます。先行逃げ切り型が大学受験では強いのです。

毎週月曜日の日経新聞の教育面には「挑む」という受験に関する連載があります。今月7日付けの「挑む」の見出しは、「春スタート」は遅すぎる、でした。高3の4月からセンター試験まではたった9カ月しかなく、そこから準備を始めたのでは遅すぎると指摘していました。全国的に、志を持つ高2生は準備を始めると考えるべきです。

高2の皆さんは、今月初めに、10月後半に受けた模試の結果が戻されました。今回から理科・社会の科目も入り、実際の入試に近い内容になりました。模試結果をしっかり反省し、自分の弱い科目や分野の強化を中心にして大学受験勉強を開始して欲しいと思います。

(2009年12月17日) 【教育を問う その24】[▲ 先頭へ]
今週、各中学では、3年生と父兄が担任の先生と進路について相談する3者面談が行われています。この3者面談に前もって、先週、先生と3年生の2者面談がありました。今回の3者面談は私立の受験校を決定するもので、公立受験校についても少し話が出るようです。当ゼミでは、12月6日の模試の結果が出て、中間テスト・実力テストを踏まえて個別反省会を行いました。丁度、学校での2者面談と3者面談の間のタイミングでした。

個別反省会では、私立の受験校を確認した上で、公立の志望校および今後の勉強法等について話しました。公立志望校はともかく私立受験校については問題ないと思っていましたが、ある中3生が浮かない表情で、学校の2者面談の結果を話してくれました。

その生徒A君は、担任の先生から、成績が安定しないので私立高校のランクを一段階下げるように言われたそうです。A君は9月に入って気持ちが緩んでしまい、その影響もあり11月の統一テストでは予想外の成績に終わっていました。しかし、それなりの成績レベルにはあり、また模試の成績推移からも私立受験校を下げる要素は全く見当たりません。

2〜3年前にも同様のことがありました。担任の先生に私立受験校のランクを下げるように言われた生徒さんがいました。彼もランクを下げる必要は全くなく、何故と疑問に思ったことを覚えています。彼の実力や当初考えていた私立高校入試の問題レベルから大丈夫だと安心させようとしましたが、担任の先生の影響力は大きく、彼は1週間ほど暗い表情で悩んでいました。結果は当初の私立高校を受験し、合格しました。

A君には、ランクを下げる必要はないこと、今は公立の志望校に合格するために1月の統一テストを目標にとにかく勉強をすることが大切であることを話しました。公立受験校を決定する大きな目安である統一テストまでは3週間しかありません。私立の受験校で愚図愚図迷って、時間をロスする時期ではありません。

私立高校の受験でうまくいかなければ公立受験校のランクを大きく下げることになります。しかし、客観的にランクを下げる必要性がないような状況で、何故受験生を悩ませるような提案をするのでしょうか。受験生の気持ちを後ろ向きに引っ張り、モチベーションを凍りつかせるような提案です。悪い要素があるのであれば、客観的に判断するべきですが、杞憂に過ぎない心配で生徒の気持ちを萎縮させるのは非常に問題です。生徒の成長という観点が欠落していると言わざるを得ません。

(2009年12月10日) 【親の躾】[▲ 先頭へ]
先週のある平日、金沢駅近くの小奇麗なレストランで知人とランチを取りました。お昼時を少し過ぎていたので、店内は混雑せずゆったりとした雰囲気でした。しばらくすると近くのテーブルから子供の大きな声が聞こえてきました。2人の若いお母さんのテーブルでそれぞれ3〜4歳の子供を連れていました。そのうちに、2人の子供がテーブルと外が見える窓を行ったり来たりし始めました。

不幸なことに私たちのテーブルはお母さん方のテーブルと窓の途中にあり、子供達が通る度に彼らの話し声や歌が聞こえてきました。気分の良いものではありません。しかし、お母さん方は止めようとせず、2人の子供は電車ごっこのように往復を繰り返しました。

食事と必要な話を済ませて早々に切れ上げることにしましたが、お母さん方に注意すべきか否かについて知人と相談しました。その結果、やはり注意した方が良いということになり、帰り際私がお母さん方のテーブルへ行き、子供の行儀作法は親の責任であると話しました。逆ギレされる可能性もあると覚悟していましたが、おとなしく話を聞いてくれました。

子供の躾も大切ですが、親の躾が大きな問題です。他人に迷惑をかけてはいけないという社会の基本的なルールを親が破っています。今の世の中はこの基本的なルールが守られないケースが数多く目につきます。私は以前から、マスコミが世の中のモラル崩壊に対して継続的にキャンペーンを展開してくれないかなと思っています。皆が関心を持ち続け、何か実践できるような工夫が必要です。

(2009年12月03日) 【異常値への対応】[▲ 先頭へ]
数学の問題を解いていて、設問に対する答えとして明らかに誤っているような答えが導き出された時、どう判断するかは重要なポイントです。変な答えが出てきた時に「変だ」と思えるかどうかということです。

中3の皆さんは後期・中間テストが終わりました。今回の数学のテスト範囲には2乗に比例する関数が含まれていたので、試験前にはこの分野の様々な問題を解きました。この分野では、振り子の問題や制動距離(自動車がブレーキをかけてから止まるまでの距離)の問題がよく出題されます。

長さ25cmの振り子が1往復するのに何秒かかるかの問題で、単位を間違えて計算して10秒と答えた人がいました。また、制動距離が90mの時の車の速さを問う問題で、途中計算のミスで時速60kmという答えもありました。1往復に10秒かかるとすれば巨大な振り子(25m位)ですし、時速60kmで止まるのに90m必要であれば交通事故が多発します。

人間は誰でも単位のミスや途中計算のミスはしますが、このような答えが出てきた時に「何かおかしい」と瞬時に判断できることは1つの能力だと思います。おかしいと思えれば、最初の式または途中計算を調べてミスを発見することができます。

社会に出た時に、何か異常な兆候が現れたり、通常ではない数値が出たりすることがあります。そのような場合に「変だ」と思って情報を確認し、適切に対処することは非常に重要です。数学で「何か変だ」と判断する力を危機察知能力と言えば大袈裟でしょうか。

(2009年11月26日) 【解法のテクニック集】[▲ 先頭へ]
もうすぐ模試と統一テストという10月後半に中3の皆さんにある資料を渡しました。それは数学の注意事項をまとめたプリントです。数学の授業では様々なアドバイスをしていますが、5年前の10月にそれらを1枚のプリントにまとめてみました。毎年少しずつ内容に検討を加え、昨年一応の完成形に仕上がりました。

数学・解法のテクニック集と名付けた資料は一般論編と個別編から構成されています。一般論編は、50分の試験に臨むに際しての一般的注意事項を10項目述べています。個別編は、各分野の問題を解くに当たっての目の付けどころを20項目まとめたものです。気持ちの持ち方と解法のアプローチを的確・簡潔にまとめた自信作であり、大きなテストの前には必ず読み返すように指示しました。

この欄で何回も指摘しているように、数学はテストで失敗し易い科目です。うまく数学を乗り切って欲しいという願いからこのプリントを作成しました。一般論編では特に3個所を太字・下線付きにしました。「取るべきところで得点」、「設問の指示は常に確認」と「絶対にパニックに陥らないこと」の3つです。パニックに陥らないように注意し、設問の指示をしっかり確認しながら取るべき問題で得点すれば大きな失敗はしないはずです。

今月11日に統一テストがあり、数学で失敗した生徒さんがいました。ある問題で手間取って時間が足りなくなりパニックになったようです。数学で失敗する時のパターンに陥ってしまいました。その人は先月渡したこのプリントを統一テスト前に確認することを忘れてしまったそうです。残念の一言です。

(2009年11月19日) 【センター前の受験勉強】[▲ 先頭へ]
大学入試センター試験(1月16日・17日)まで2ヶ月を切りました。今月、来月に高3生が受ける模試はセンター試験形式のマーク式です。これからの受験生の勉強は、記述式の2次試験対策ではなくセンター試験対策が中心となりますが、注意しなければならないポイントがいくつかあります。

英語はとにかくセンター試験の問題形式に慣れることが大切です。第1問から第6問までの問題パターンに慣れた上で、80分の時間の使い方の研究が勝負を分けます。また、問題を解く際は深読みをしないという点にも注意が必要です。「ここにこう書いてあるから、これを選ぶ」という素直さが正解に至ります。

これからの時期、英作文の練習をどうするかは1つのポイントです。センター試験では出題されない英作文の勉強を怠ると、英作の感覚が鈍ってしまいます。適度な頻度で練習は継続するべきです。また、センター試験の英文はそれほど難しくはありませんから、難関大学を目指す受験生は、時々難しい記述式問題も解くべきです。難しい英文を読む練習は、センター試験の英文を易しく感じるという効果もあります。

センター試験の数学も時間との勝負です。特に数UBは60分を短く感じるはずです。TAにしてもUBにしても、センター試験特有の誘導形式に慣れておくと時間を効率的に使えます。各分野の問題練習だけではなく、60分の練習も重ねなければなりません。この過程で誘導形式に慣れていくと思います。

難関大学で2次試験に数学がある受験生は自宅学習の時間の使い方が大きなポイントです。センター試験が迫ってきて、難問の記述式練習とセンター試験形式のマーク式練習のバランスをどうするかの問題です。年内は記述問題が基本で、マーク式模試の前1週間程度は60分のマーク式実戦問題を解くのが良いと考えます。年が明けてからはマーク式問題に集中すべきでしょう。

難関大学を狙う受験生の中には、それほど難しくはないセンター試験を甘くみて痛い目にあう人がいます。英語でも数学でも、時間との闘いという側面があるセンター試験では、ちょっとしたミスにより得点を大きく落とす危険性があります。然るべき準備は絶対に必要です。

(2009年11月12日) 【合わせ技1本】[▲ 先頭へ]
今月1日に行われた模擬試験(高校入試向け)の成績速報値が先週土曜日にFAXされました。中3の皆さんの成績表を見て、ある生徒さんの頑張りが目につきました。彼は、間接的に、今年6月11日付け本欄「優しくしようか?」に登場しました。やや厳し目の姿勢で授業に臨む私に対して、優しくしなくても今まで通りで良いですと答えてくれた生徒さんです。

彼は、7月の模試以降、9月、今回と順調に成績を伸ばしています。一緒に勉強を始めた3月から志望校が2ランク上がりました。学校の実力テストでも然るべき成績を取れるようになり学力が定着してきました。半年余り着実に伸びてきたのは見上げたものです。しかし、今の志望校に合格するには大きな課題があります。それは内申点です。

3年生になるまで勉強に対する取り組みに甘さがあり、成績が芳しくなかった彼の戦略は次の3点に絞られます。先ずは後期・中間テストが重要です。ここでの頑張りで内申点を引き上げることができます。第2は、内申点をカバーできるだけの学力を身につけることです。志望校の合格基準偏差値をかなり上回る必要があります。そして、第3は小論文の出来です。

内申点が多少悪くても、入試初日の学力テストの成績と2日目の小論文で合わせ技1本を取れれば栄冠に至ります。中3生にとって小論文は簡単な課題ではないので、論理性や構成力で優れた小論文を書ければ大きなポイントになるはずです。合格の決め手になるかもしれない小論文は、統一テストが終わった今週から練習を始めました。高校入試までの4ヶ月間、彼の頑張りを見守り、サポートするつもりです。

(2009年11月05日) 【中2・中1の皆さんへ】[▲ 先頭へ]
今日は中2・中1の皆さんにお話したいと思います。

中3クラスは今年の春にスタートして7ヶ月が過ぎました。今週の日曜日に3回目の模擬試験があり、来週の水曜日には統一テストという大きな実力テストが控えています。中3の皆さんは、秋の深まりとともに受験勉強が本格化しています。そんな中3クラスからの教訓を3つ紹介します。是非参考にして下さい。

一番お話したい点は、勉強は中3になってからでいいや、と決して思わないで欲しいことです。春から一緒に勉強してきた中3生の中には志望校が1ランク、中には2ランク上がった人もいます。頑張って学力が上がってきたのは素晴らしいのですが問題が1つあります。それは、1年や2年の時の勉強が甘くて内申点が良くないことです。高校入試は学力テスト結果と内申書の総合成績で決まるので、内申点を軽く見ることはできません。

内申書があるからと言ってあせる必要は全くありません。1年・2年の時にやるべきことをやっていれば心配しなくてもOKです。やるべきこととは、学校の授業をよく聞くこととテスト前の勉強をしっかりすることの2つです。これは生徒として当然のことですし、それほど大変なことではないはずです。もちろん、部活は大いにやるべきですし、友達とも大いに遊んで欲しいのですが、やるべきことをさぼると後悔することになります。

次は「考えること」についてです。入試や模擬試験には難しい問題も出ます。数学や理科の難しい問題を解く時はよく考えなければなりません。2年生まで考えることをしなかった人は考えることが苦手で、例えば、数学の方程式文章問題や1次関数の問題で苦労しています。ですから、直ぐには解けないような問題でも、じっくり考える習慣をつけておくことが非常に大切です。

3つ目はケアレスミスについてです。中3クラスではケアレスミスがたくさん起きています。数学の単純な計算ミスだけではなく、問題の指示を確認しないミスが本当に目立ちます。よく起きるのは、面積を求める問題で必要ないのに単位をつけるミス、値を答えるのに単位をつけるミス、ある点のx座標を答えるのにy座標も答えてしまうミス、日本語で答えるのに英語で答えるミスです。これらはよほど注意しないと直らないので、高校受験生になる前に克服して欲しい課題です。

中2・中1の皆さんには耳の痛い話になったかもしれません。しかし、高校受験生になって着実な学力をつけるための準備作業として上記3点に注意して欲しいと思います。

(2009年10月29日) 【アワード?】[▲ 先頭へ]
大学入試センター試験の英語は発音・アクセント問題5問から始まります。この発音・アクセントは、センター試験に出題されるだけではなく、私自身の経験からも軽視すべきではありません。英会話ができるようになった時に発音・アクセントやイントネーションが正しければ、それだけでネイティブ・スピーカーの人達に評価してもらえるからです。

英単語の発音・アクセントに敏感な私が気になる点がいくつかあります。それは日常聞こえてくる英語に関するものです。1つは、現在全国のFMラジオ局が展開している「FM FESTIVAL LIFE MUSIC AWARD」です。ラジオからは元気よく「アワード」と聞こえてきます。しかし「AWARD」は「アウォード」と発音すべきです。「AWARD」の発音ミスは、このFMラジオ局のキャンペーンに限らず時々耳にします。もう1つは、花王の男性化粧品・ヘアケア製品のブランドである「Success」です。テレビCMでは「サクセス」の「サ」を強く発音していますが、この単語のアクセントは「セ」にあります。

「アワード」にしても「サ・クセス」にしても気にするほどの問題ではないかもしれません。しかし、小学校で英語が必修化されるほど英語熱が高まっている日本において、マスコミで堂々と誤った発音・アクセントが流される現状は情けないと思います。授業の準備をしている時によくFMを聞いている私は「アワード」を耳にする度に「あ〜ぁ」と思っていましたが、今週月曜日の日経新聞の全面広告を見てほっとしました。「NIKKEI Annual Report Awards 2009」のカナ表記が「アウォード」になっていました。良かった〜という安心感に、自ら失笑してしまいました。

ところで、今回の「塾長からの一言」では英単語の発音をカタカナで記載しました。高校生でもカタカナで書いている人が少なくありません。しかし、これは本当は良くありません。発音をカタカナ表記にすると、「heart」と「heard」の違いや「fan」と「fun」の違いはわからなくなるからです。高校生の皆さんには必要な発音記号を覚えて欲しいと思います。特に、センター英語で80%以上の得点率を目指す受験生は発音記号をしっかりチェックすべきです。

(2009年10月22日) 【判定に負けないこと】[▲ 先頭へ]
高3の皆さんは、9月に受けた記述式模試の結果が戻ってきました。8月のマーク式模試結果と合わせて、今年度2回目のドッキング判定が出されました。センター試験まで3ヶ月を切ったこの時期の判定ですから、大学受験生に与える影響は小さくありません。

D判定(合格可能性35%程度)やE判定(20%以下)であれば凹んでしまいがちです。そうした受験生には、成績分布を見るように話します。一般的にはC判定(50%程度)の人が一番多く、B判定(65%程度)からD判定の人達が大きな集団になっています。実際の受験では、B判定からD判定までの人達の間での熾烈な競争になります。D判定でも受験資格は十分あるのであり、弱気になっている場合ではありません。また、E判定であってもDに近いEであれば可能性はあります。

以前、北國新聞社の月刊誌「アクタス」で紹介された合格体験記に、「あきらめた奴から落ちていく」という言葉がありました。的を射た言葉だと思います。本当に入りたいと思っている志望校であれば、多少判定が悪くてもあきらめる必要は全くありません。現役生はこれからが本当の勝負の期間です。「最後は気合で入っていった。」というあるご父兄の言葉が印象的です。

センター試験までの3ヶ月間を、3ヶ月しかないと思うか、3ヶ月もあると思うかで勉強の成果は異なります。気持ちはどうしてもあせるでしょうが、自分をコントロールしなければなりません。多くのやるべき課題を整理して、優先順位の高いものから1つ1つ着実にこなしていけば道は開けるはずです。

(2009年10月15日) 【自信と慢心】[▲ 先頭へ]
中3の皆さんの前期・期末テスト結果が戻り個別反省会をしました。中3の夏休み以降の定期テストは後から復習する機会がほとんどないので、高校入試の受験勉強のつもりで準備するように話していましたが、テスト勉強に手抜きが見られた人が何人かいました。

今回のテストの重要性については何回か確認していたので、皆頑張るだろうと期待していたのですが、思い通りにはいかないものです。点数が期待ほど伸びなかった人達に共通する点がありました。それは、9月の模擬試験の結果が良かった事です。志望校合格水準を超えて安心してしまい、テスト勉強が甘くなってしまったのです。

あるテスト結果が良くて、次のテストで失敗するケースはよく見られます。「やればできる」と自信を持つことはとても良いことです。しかし、「英語は完璧だ」とか「もう理科は大丈夫」という慢心に対しては勉強の神様は天罰を与えるものです。

先月10日付けの本欄は「褒めること」でした。褒められることで調子に乗り過ぎて、自信が過信になり勉強が甘くなることがあると指摘しました。褒められたり、あるテストで好成績を取ったりしても浮かれないことが大切です。今回は良かったけど次は大丈夫かなぁ〜と思うくらいが丁度良いと思います。成績を安定させるためには小心者の方が良さそうです。

(2009年10月08日) 【センター試験、英語第1問・第2問】[▲ 先頭へ]
大学入試センター試験の出願が始まりました。(10月1日〜14日)来年1月16日・17日の本試験まで残り3カ月余りです。高3生の皆さんは、8月のマーク式模試・9月の記述式模試による今年度2回目のドッキング判定がもうすぐ出ます。石川県統一テストとしての記述式模試は今月が最後で、来月からはマーク式模試を受けてセンター試験に備えます。

第1問から第6問まである英語のセンター試験において、なかなか点数が伸びないのが第1問・第2問で、受験生にとって鬼門になっています。第1問は発音・アクセント・文強勢問題で配点は16点、第2問は文法・語法・語句整序問題で配点は44点です。時間をあまりかけることなくこの60点で着実に得点することは易しくはありません。

日頃の英語の勉強において英単語の発音やアクセントに気をつけている人はほとんどいないので第1問で苦戦するのは当然です。日本人の英語下手の原因の一つだと思います。単語は覚えなければならないので、単語を覚える際に発音記号に注意すれば解消されるはずですが、現状はお寒い限りです。

第2問の文法・語法問題(10問)では幅広い知識が問われるので得点の安定化は難しく、一般的に使われているネクステージのような参考書の文法と語法の分野をマスターすることが大前提です。私は、高校生の皆さんに、文法と語法の分野を高3の夏休みまでに3回繰り返すように話しています。語句整序(3問)もポイントの1つです。結構時間が取られて、その後の長文問題でのあせりにつながる危険性があります。語句整序の克服方法は、SVOCを見抜く力とイディオムの知識に尽きます。

ある受験雑誌には文法・語法問題を400題は解くべきだと書かれています。当ゼミ高3クラスでは、今までに第1問・第2問を30回練習してきました。文法・語法問題にすると300題になります。高3の皆さんには、来月からのマーク式模試そしてセンター試験に備えて、ゼミで解いた問題を復習するように指示するつもりです。30回分を復習すれば、発音・アクセントを含めてかなりの効果が望めるはずです。

(2009年10月01日) 【模試の復習、数学】[▲ 先頭へ]
第2回石川県総合模試の結果が返却されて、中3の皆さんに指示したことがあります。それは、各教科、特に数学の復習をすることです。なかなか復習はできないものですが、復習の効果には大きなものがあります。得点が変動し易い数学は是非復習して欲しい科目です。

前回の本欄でご紹介した通り、数学は平均点44.6点で難しいテストでした。サミット・ゼミでも得点が伸び悩んだ人が何人もいました。復習すべきポイントは2つあります。1つは間違えた個所の復習で、もう1つは50分の時間の使い方の研究です。

私は、生徒の皆さんが志望する高校別に数学の目標点を設定しています。泉丘志望なら何点、二水志望なら何点という具合です。数学の平均点を50点位と想定すると二水の場合は70点が目標点です。テストにより難易度は違うので、取るべき点数は若干変動しますが、目標点を設定することにより得点が確実になります。

上述の復習のポイントは両方とも重要ですが、1回目の統一テストが来月に迫ったこの時期になると時間の使い方がより重要になります。特に、自分の目標点に達しなかった場合、何故失敗したのか、どのように時間を使えば目標点に到達したかの研究は非常に大切です。この研究は次のテストにつながるからです。

学力コンテストであれば、リスクを冒して満点を狙わなければなりません。しかし、テストや模試、そして入試では満点を狙う必要は全くなく、合格するために必要な点数が確保できればOKです。ミスの復習、時間の使い方の研究を通して戦略的にテストに臨めれば成績は安定するはずです。

(2009年09月24日) 【数学を確実に!】[▲ 先頭へ]
9月13日に行われた第2回石川県総合模試の結果が戻ってきました。5教科の平均点が262点で難しいテストでした。平均点が50点を割ったのは数学と社会で、数学の平均点は44.6点でした。

日曜日に行われる模試の問題は翌日宅急便で届けられます。私は、問題を入手するとすぐに英語と数学の問題を解いてみます。今回も英語と数学の問題を解きました。数学は、中3生にとって難しいと思われる問題が3つあり、平均点は50点を少し割る位かなと感じていました。

実際の平均点は44.6点であり、私の予想を下回りました。低い平均点の原因として考えられるのは、難問の3つ以外に、連立方程式文章問題と合同の証明の問題がやや捻られていたことです。近年の中3生は少し捻られると途端に出来なくなる傾向があります。

ところで、毎年9月に、私立高校各校が学習塾対象の入試説明会を開催します。私は、毎年、金沢高校と星稜高校の入試説明会に参加して情報を確認しています。今年の説明会における様々な話の中で、大学受験に向けて数学の伸びが大きなポイントであるという両校共通の指摘が印象に残っています。この点は、私も高校クラスの生徒諸君の模試結果から感じていたものです。

中学レベルで問題が少し捻られると正答率が下がるのですから、広く深くなる高校数学への対応が大変になるのは当然です。中学において計算力と思考力がしっかりしていることが高校数学の基礎だと思いますが、特に思考力の点が甘くなっています。この中学の甘さの原因は小学校の数学にまでさかのぼると睨んでいます。(ですから、小学校の英語必修化は、現実を直視しない夢物語だと思います。英語の前に、計算力、思考力、読解力を徹底させるべきです。)

当ゼミ中学クラスでは、高校入試に合格するためだけではなく、高校でさらに伸びるための本当の基礎力をつけるという視点で英語と数学を教えています。高校クラスの授業は従来英語だけで、数学は質問に答えるという形でした。ホームページでご案内している通り来年度からは高校クラスで数学の授業も行う予定です。私はもともと高校は理数科に入学しました。数学の問題を解くアプローチをしっかり伝授して、数学を課題とする大学受験生をサポートするつもりです。

(2009年09月17日) 【成績の見方】[▲ 先頭へ]
今週日曜日(9月13日)に北國新聞文化センター主催の石川県総合模試が行われました。夏休みの勉強の成果が問われる模試であり、土曜日に伝えられる速報値を神妙な気持ちで待っています。

夏休み明けに、ある中学で行われた実力テストは難しく、科目によっては平均点が50点を割っていました。5教科合計の平均点が下がれば、自分の得点も伸びにくいものです。ここで注意しなければならないのは、志望校に合格するために必要な点数の見方です。

話を具体的にして、人気の高い二水高校に入るために何点必要かについて述べてみます。お母様方の間では5教科合計で400点が一つの目安になっているようです。中間テストや期末テストでは平均点が300〜320点という場合が多く、その場合には400点取れば二水高校はほぼOKです。

しかし、平均点が高いテストもあれば低いテストもあります。平均点が350点であれば、自分の得点が400点でも二水高校のレベルには達していません。桜丘高校も危険なレベルです。逆に、平均点が270点であれば、400点の持つ価値は高く、泉丘高校でも大丈夫になります。

ポイントは平均点に比べてどれ位の開きがあるかということです。得点の数字だけで判断するのではなく、平均点との開き具合で判断しなければなりません。この平均点との開き具合を数値にしたものが偏差値です。総合模試では、各高校に合格するための基準偏差値を算出しており、二水高校の基準偏差値は61〜62位です。この偏差値61〜62は平均点プラス90点程度を意味します。

もうすぐ結果の出る石川県総合模試では受験者それぞれの偏差値が算出され、各高校の基準偏差値との比較で合格可能性を判断できます。中学校のテストでは偏差値は算出されませんが、目安としては、泉丘は平均点プラス120点、二水は平均点プラス90〜100点、桜丘は平均点プラス65〜75点、錦丘は平均点プラス50点と考えれば良いでしょう。

子供たちは彼らなりに頑張っています。仮に得点が伸びなくても、平均点が低く、その平均点をある程度上回っているのであれば、然るべき努力をしたと認めることができます。子供たちの努力を正当に評価するために、是非平均点との開き具合を見てあげて下さい。

(2009年09月10日) 【褒めること】[▲ 先頭へ]
普段は生徒の皆さんに厳し目に接する私ですが、彼らが頑張った時は褒めるように心掛けています。そうすると、帰宅してお母様に、「先生に褒められた」と嬉しそうに話すことが多いようです。大人でも子供でも褒められると嬉しいものです。

中高生の場合、褒められると調子に乗り過ぎて、自信が過信になり勉強が甘くなり成績が下がることもあります。ですから、むやみに褒めることは考え物です。厳しく接する時と褒める時のバランスがとても大切です。厳し過ぎてもダメ、甘くしてもダメで、良い意味での緊張感のある厳し目の雰囲気の中で、時々褒める程度が良いのかなと思っています。

お母様方は基本的には子供には甘くないようです。以前、志望校合格を目指して努力を重ね、テスト結果が志望校合格水準にある中3生がいました。絶対安全というレベルではありませんでしたが、私は、よく頑張っていると思っていました。ある時、その生徒さんが、お母さんが厳しいと漏らし、苦しそうな表情を浮かべました。子供のことを心配する親心はよくわかります。しかし、「よく頑張っているね。偉いよ。」という言葉であったなら、その生徒さんに与える心理的効果は全く異なるものであったと思います。

中学生は夏休み明けの実力テストや定期テストの結果が戻りました。いろいろ課題もあるでしょうが、頑張った科目に対しては是非褒めてあげて欲しいと思います。それが次の頑張りにつながっていくでしょう。

(2009年09月03日) 【高2生、来年度の飛躍の条件】[▲ 先頭へ]
高2クラスでは今月から、秋に実施される全国模試を想定した授業を行っています。以前は市販の英語長文問題集を使っていましたが、2年前からは最近の国公立大学入試の2次試験過去問を使っています。少し難し過ぎるかなと以前は避けていたのですが、2年前にトライアルで練習したところ大きな効果がありました。もちろんセンター試験レベルの易しめの問題を選択します。

記述問題では普通、英文和訳問題が出題されます。ここで確実に得点すれば英語の成績は安定します。英文和訳問題で然るべき点数を取るためには英文構造を見抜く力が要求されます。要は、SVOCを見極めるということです。いろいろな修飾する言葉に惑わされず英文の骨格が和訳されていれば、文脈を外すことはないので最小限の点数は保障されるはずです。

英文和訳問題においてよくある失敗例は、自分が知っている英単語を適当に結び付けて和訳するものです。こうすれば、普通は文脈を無視して、意味不明の文章を作ってしまうことになります。SVOCMがわからなければ、極端に言えば、英文和訳問題はパスして、他の点数の取れそうな問題に時間を使った方が良いと思います。

高3になると、大学受験生として忙しくなるので、教科書の全ての英文の構造を考える時間的な余裕はなくなります。従って、高2の皆さんにとって、英文構造を見抜く基本的な力を養えるのは高2の残り半年余りということになります。高2で使っている教科書は、易しい英文と難しい英文が適度に混ざっていますから、しっかり勉強すれば、構文解析力を伸ばすことができます。構文を見抜く力を養うには、英文解釈の教科書に真面目に取り組むことが基本の基本です。

英文構造を見抜くための基礎は文法です。今年7月16日付け本欄「高2の夏休み、英語の基盤作り」で文法を固めることが重要と指摘しました。高2の皆さんは、高3の大学受験生になる前に、英文法を固め、教科書で英文を見抜く力を養成することができれば来年度の飛躍が期待できます。

(2009年08月27日) 【漢字は覚える!】[▲ 先頭へ]
中3生の夏期講習では国語の時間が6回あります。模試の過去問を使って論説文と小説文の読み方を練習・解説しました。論説文でも小説文でも漢字の読み書きの問題があります。国語では漢字と文法の問題は確実に得点しなければなりません。

夏期講習が始まってすぐに、この夏休み中に高校入試に向けて覚えなければならない漢字を一通り確認するように指示しました。当然のこととして、模試ではトメ、ハネ等もチェックされます。しかし、国語の問題練習では漢字のミスが散見されました。

漢字のミスは作文や小論文でも現れます。夏期講習の国語では必ず200字の作文も一緒に練習しました。作文で漢字の間違いがあれば減点せざるを得ません。秋からは小論文の練習を始めますが、どれだけ素晴らしい内容であっても漢字の間違いがあれば、印象が悪くなります。漢字のミスが小論文の出来栄えに水をかけてしまうのです。非常に残念なことです。

社会に出るとワープロを使う機会が多くなり、自ら文章を書くことは少なくなります。しかし、業務日報や自己申告書等、手書きの書類も少なからずあるはずです。また、上司や同僚に手書きのメモを残すことも日常的にあるでしょう。それらの際に漢字を間違えれば教養を疑われます。漢字を書けることは社会人としての基本的な素養の一つでもあります。

(2009年08月20日) 【人材育成】[▲ 先頭へ]
春に上京した際、弁護士をしている大学時代の友人に銀座でご馳走になりました。お礼に金沢銘菓を贈ったところ、先日彼の著書が届きました。彼は、特許権、著作権、商標権等の知的財産権の分野で活躍しています。著書は知的財産権に関するもので、先ず、前書き部分と後書き部分を読んでみました。

前書き部分で、彼が小さい頃は医者を目指していたことを初めて知りました。私は高校の理数科に入学しましたから、似たような方向性だったのだなぁと感じました。後書き部分は私を激励するような内容でした。彼が尊敬する科学者マイケル・ファラデーと日本の特許制度の父である高橋是清を紹介した上で、次のように述べています。

「知財立国の流れの中、私も、いろいろ考え、実践してきたが、最後に残った課題は、人材育成だった。制度の整備だけでは、何にもならない。マイケル・ファラデーと高橋是清、ここに大きな共通点がある。それは、周囲の人々にその資質を見抜かれ、大きなサクセス・ストーリーを完成させたことだ。裏を返せば、人材としての資質を見抜き、育成する人がいなければ、これらの逸材も歴史にその名を残すことはできなかった、のだろう。その意味でも、人材育成の持つ意味は、極めて深いものがある。」

社会で活躍できる人材を育てる現代版松下村塾が私の目標です。ですから、上記の彼の言葉は私の心に届きました。「オレも頑張っているから、お前も頑張れよ」という私に対するメッセージを込めて、著書を送ってくれたのかもしれません。

5教科全てを勉強する中3生の夏期講習も残り10日間になりました。短期的には夏休み明けの実力テストと模擬試験、中期的には高校入試が目標です。高校入試を乗り切り、さらに高校の勉強で伸びるための土台をがっちり固めたいと考えています。そして長期的には、生徒の皆さんが有用な人材として社会で活躍する姿を想定しています。

(2009年08月13日) 【地方の時代に至る道】[▲ 先頭へ]
新聞を読んでいてハッとすることが時々あります。先週火曜日(8月4日)の日経新聞の特集がそうでした。「日本創造会議」という特集で、大見出しが「有機EL 今なら勝てる」、小見出しが「照明市場塗り替える 山形に最先端集積」でした。特に「山形に最先端集積」という言葉が刺激的で、地方の時代というキーワードが思い浮かびました。

有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)は有機化合物に電気を流すと発光するという物理現象で、次世代のディスプレイとして注目されています。現在、一部のテレビ、携帯電話、オーディオプレーヤーに採用され、将来の薄型テレビの主力になるとみられている技術です。しかし、現段階では寿命、コスト、大型化等に課題があるそうです。

特集で紹介されたのは山形大学の城戸淳二教授です。城戸教授は、山形県米沢市に有機エレクトロニクスバレーを築こうとされています。大学発の技術を核に様々な産業の集積を目指す構想とのことです。アメリカのシリコンバレーを彷彿させます。

奇しくも同じ日の日経新聞の経済教室面では、「経済基盤論からみた地方再生 層の厚い基幹産業育てよ」というタイトルで大西隆東大教授の提案が掲載されていました。キーセンテンスをご紹介します。「少子化対策、地方活性化対策に腰を据えて取り組む必要がある。」「人々が生きがいを見いだせる産業と雇用を地方で生み出す流れを今からつくり始めることが重要である。」「地域に培われた技術や知恵の詰まった基幹産業を育てることだ。」

城戸教授の構想と大西教授の提案は軌を一にしています。城戸教授の構想が実現すれば、山形県が大いに活性化すると思います。石川県には金沢大学そして北陸先端科学技術大学院大学があります。これらの地元の大学から石川発の基幹産業が生まれないでしょうか。先月23日の本欄で「地方の時代はこない」と述べた私ですが、地方の時代が来なくても良いとは決して思っていません。山形大学・城戸教授の構想のような地方の時代の到来を可能にするような構想・情熱が地元の大学から生まれることを心より願っています。

(2009年08月06日) 【成績格差】[▲ 先頭へ]
昨日(8月5日)新聞各紙で報道された学力テスト調査結果に驚いた人が多いのではないでしょうか。やはり格差は進んでいるようです。しかも親の年収によって…

一昨日、文部科学省の専門家会議は、2008年度の全国学力テストを受けた公立小学校6年生についての調査結果を報告しました。新聞報道によると、親の年収が高い世帯ほど子供の学力が高くなっています。日経新聞では国語Aと算数Aのデータが掲載されていましたが、100万円毎の世帯収入と正答率が見事なほど比例していました。一番正答率が高かったのは国語・数学とも1 200万円〜1 500万円の世帯で平均より8〜10%高く、最も正答率が低かった200万円未満の世帯とは約20ポイントの差がありました。

日経新聞にはお茶の水女子大副学長のコメントが紹介されていました。「親の収入が子どもの学力に与える影響は大きく、奨学金や就学援助など支援制度の充実が必要だ。」このコメントは本質を見誤っていると思います。お金の問題で学力格差が広がって良いのかという問題意識が欠落しており、公教育の在り方について議論すべきです。

日本国憲法第26条第1項は次のように規定しています。「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」今回の調査結果を見る限り、この規定の「その能力に応じて」が「親の年収に応じて」に変わっています。学校教育だけでは不十分で、学習塾や通信教育などを受けないと好成績を取れないという状況は、この憲法の規定に違反していると思います。文部科学省や教育委員会は危機感を持たないのでしょうか。公教育の再生はもはや叶わぬ夢なのでしょうか。

なお、全国学力テストは、全国の国公立全ての学校の小学6年と中学3年が受けています。私立でも6割余りの学校が参加しています。今回の調査結果は公立の小学6年生が対象でしたが、私立の学校も含めた場合は世帯年収による成績格差はさらに広がっていると懸念されます。

(2009年07月30日) 【英語力の季節変動】[▲ 先頭へ]
先月から今月にかけて来年の大学受験に向けて問題集を買い込みました。センター試験形式の実戦問題集と今春入試の2次試験問題集です。毎年購入する問題集は英語だけでしたが、来春からは数学の授業も開始する予定なので、今年は数学のマーク式実戦問題集も買いました。

新しい問題は全て自分で解いてみます。センター試験形式のマーク式問題の制限時間は80分です。2次試験の記述問題は大体の時間を想定します。実際に解いてみることはかなり大変な作業です。しかし、各問題のポイントとなる個所を把握するため、そして自分の英語力をキープするために実際に問題に取り組みます。

私自身の気持ちの集中度合いは、やはり受験シーズンに高まります。毎年、大学入試センター試験初日の早朝に白山比盗_社で大学受験生と高校受験生の皆さんの健闘を祈ります。その後の私立の高校入試、2月末の大学入試・前期日程試験、3月上旬の公立の高校入試、大学入試・後期日程試験までの期間は気持ちが非常に集中します。特に、センター試験から前期日程試験までの高3クラスではかなりの難問に挑戦しますから私も気合を入れて授業に臨みます。

受験シーズンが終わると緊張の糸がほどけます。実際は生徒募集、新しいクラスの雰囲気作り等とそれなりに大変ですが、気持ちの張りは受験シーズンほどではありません。新しい問題に触れなくなり、自分の英語力が落ちてきていないかなぁ〜と不安に思い始めるのが初夏の頃で、丁度この時期にセンター試験形式の実戦問題集や2次試験問題集が発売されます。

今は夏期講習の合間を縫って、今年の2次試験問題集のどの問題を解くか検討しています。そして、いよいよ来月から実際に解いてみます。入試シーズンが終わって何となくスイッチが切れたようになっている自分の英語力のスイッチが明確にオンになります。「さぁ、今年も頑張るぞ!」という感じです。

(2009年07月23日) 【地方の時代はこない】[▲ 先頭へ]
今週火曜日(7月21日)に衆議院が解散されました。投票日である8月30日にはどんな審判が下されるのでしょうか。政権交代の雰囲気が漂い、経済だけではなく政治においても激流が流れています。私は、各政党のマニュフェストにおいて教育がどのように取り上げられるかだけではなく地方の時代に関する見解にも注目しています。

東国原宮崎県知事が立候補を取りやめてからはマスコミにおいて地方の時代というキーワードの出現頻度が小さくなったような気がします。日本社会において東京一極集中の是正は必要な課題です。しかし、私は地方の時代の到来は非常に難しいと考えています。

その根拠は人材です。人材が地方に割拠するのであれば地方の時代は可能でしょうが、現状はそうではありません。人材は地方ではなく中央に集まっています。大都市にある難関大学に進んだ学生諸君がどこで就職するかを見ればよくわかります。彼らは地元の石川には戻らない傾向があります。

高い志を抱いて東京や大阪、名古屋の大学に進んだ人たちが地元に戻る仕組みが必要です。ポイントは地域経済の活性化です。アメリカでは、ロサンゼルスでは航空機や石油化学、デトロイトでは自動車、ピッツバーグでは鉄鋼、ヒューストンでは宇宙産業といったように各産業の中心地が各地に散らばっています。石川にも日本を代表するような会社、すなわち大都市の大学を卒業した学生がUターンして働きたいような給料が高くてグローバルに活躍できる会社がいくつかあれば状況は変わってくると思います。

「故郷に錦を飾る」という言葉があります。これは地方が大都市への人材供給基地であることを前提にしています。そうではなく故郷で錦を飾ることが可能になるような仕組み作りが必要だと考えます。

(2009年07月16日) 【高2の夏休み、英語の基盤作り】[▲ 先頭へ]
高校生の皆さんは先週末に模試がありました。高3生は今年度3回目、高2生は今年度初めて、高1生は高校入学後初めての全国模試です。高2生が受けた模試では、志望校の合格可能性が判定されます。彼らにとっては初めての判定です。

高2の皆さんに模試の出来具合について聞いてみました。英語は一般的に時間が足りなかったようです。その原因は文法問題に時間をかけ過ぎたことだと思われます。時間が足りない状況では長文問題は実際以上に難しく感じることになります。

記述式の全国模試が終わったので、今週の高2クラスではセンター試験形式のマーク式問題を練習しました。長文問題の後、第1問と第2問にトライしました。第1問は発音・アクセントその他、第2問は文法・語法・並び替え問題です。第1問と第2問の標準時間は15分ですが、この時期の高2クラスですから5分多くして制限時間を20分にしました。

文法・語法問題では考え込むと時間がどんどん経過します。並び替え問題も大きなハードルで、20分でも時間が足りませんでした。実際のセンター試験では、ここで時間をかけると第3問から第6問に使える時間が不足して「あせり」が生じます。あせれば英文が読めなくなります。私の意図は、高2が終わる時点で、第1問・第2問を15分で通過する時間的な感覚を身につけることです。

発音・アクセント、文法・語法・並び替えは時間をかければできるというものではありません。実力が端的に表れるので、高3になっても得点はなかなか安定しない傾向があります。高2の皆さんには、この夏休みに文法と語法、特に文法をしっかり勉強するように指示しました。文法のマスターがセンター試験第2問対策でもあり、英文の読解力の基礎でもあります。

(2009年07月09日) 【7月の模試】[▲ 先頭へ]
今週の日曜日(7月5日)に石川県総合模試がありました。部活で県体に進む中3生は練習優先のため未受験で、サミット・ゼミでは約半数の中3生が受験しました。いつもの学校とは違う雰囲気であり、今年度初めての模試だったこともあり、皆さん結構緊張したようです。団体受験している学習塾は、土曜日に結果の速報値がわかります。

中3生にとって7月の模試が持つ意味は小さくありません。それは夏休み前のこの時期に志望校に対する判定が出るからです。自分の実力が客観的に評価され、志望校に対する意識がより現実的なものになります。7月の模試結果を見て勉強に対する姿勢が変わる人もいる位です。

皆さん良い成績であって欲しいと思うのですが、特にこの7月の模試結果については私も微妙です。好成績で安心してしまい重要な夏休みの勉強が甘くなるのが怖いからです。結果に一喜一憂してはいけないとは言うものの、生徒の皆さんが受ける影響は大きいです。どちらかと言えば、今回の結果が悪くて夏休みに頑張るのが良いかもしれません。

生徒諸君の結果が良ければ良いで気持ちが緩まないか心配であり、結果が悪ければショックを受けてやる気を無くさないか心配であり、心配症の私としては大変です。白髪が増えそうです。

(2009年07月02日) 【自分で限界を作らない!】[▲ 先頭へ]
学習塾を約11年運営してきたなかで変わらない信念があります。それは、頭が良いから成績が良いわけではなく、成績が良いのは努力を重ねたからということです。頑張れば必ず成績は伸びるものですが、成績が伸びない理由として努力不足以外に自分で限界を作ってしまうことがあります。

ある中学の3年生は5月に実力テスト、6月に中間テストがありました。進学校を目指すA君は実力テストでテスト勉強が甘くなり志望校のレベルに約50点足りない結果に終わりました。テスト後の個別反省会で、次のテストである中間テストの目標点を相談しました。彼に目標点を聞いたところ、やや低めの点数を言いました。私は彼の言った点数プラス30点にしようと提案しました。彼は驚いたように「そんなの無理」と言いましたが、志望校のレベルに達するために半ば強制的にその点数を目標点に決めました。

結果は良好でした。目標点を少し上回り、A君の志望校合格可能レベルに達しました。個別反省会でのA君のうれしそうな顔は忘れられません。一年の最初の定期テストは点数を取り易いテストとはいえ、中間テストの成績は彼の中学入学以来の最高点でした。「できない」という自分で作った限界を超えてくれました。彼は一皮剥けて、勉強に対する気持ちが新たな段階に至ったと思います。この「やればできる」という感触を実感することが大切です。

自分の限界を超えるコツは、できるだけの準備をしてみることです。「これ位で良いかな」ではなく、とにかくやれるだけやるということです。嫌いな科目で手抜きをするとか、この範囲は出ないと思うとかは論外です。勉強の神様は生徒の皆さんの努力をしっかり見ていらっしゃいます。そして、ご褒美として好成績を授けて下さいます。