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(2011年 7月 〜 2011年12月)


(2011年12月29日) 【高2生の出遅れ?】[▲ 先頭へ]
「着実な努力を積み重ねて出遅れを挽回しよう」 これは高2生が10月に受けた全国模試の成績表に記載された、ある超難関大学に対する判定評価です。高2の秋の段階での「出遅れ」という表現に驚きました。難関大学を志望する高2生は既に受験勉強モードに入っていることを前提としているようです。

私は、大学受験を意識した勉強は高2の冬休みから始めるべきだと考えています。センター試験が1月中旬ですから、丁度1年間の受験勉強になります。走り幅跳びの助走距離は長すぎても短すぎてもいけません。受験勉強の期間も長すぎれば息切れを起こしますから、1年間という期間は適度な長さだと思っていますが、超難関大学の場合は、助走距離をもう少し長くしなければならないようです。

ゴールデンウィーク後半に実施される高3生最初の模試から大学入試まで模試の成績はほとんど伸びないものです。従って、5月初旬の段階で志望校のボーダーライン以上に達していなければなりません。そうすると、冬休みからゴールデンウィークまでの4ヶ月余りは実力を上げるために非常に重要な期間と言えます。

中学生と異なり高校生の成績はなかなか上がらないものです。難関大学を目指す場合、上記の4ヶ月余りの期間では短いかもしれません。そうすると、冬休みよりも前の時期からの勉強が必要になり、冒頭でご紹介した言葉の持つ意味が納得できることになります。

大地震に襲われた2011年が暮れようとしています。来年は希望に満ちた1年であることを祈ります。皆さん、どうぞ良い年をお迎え下さい。

(2011年12月22日) 【生きていく力】[▲ 先頭へ]
先月末、テレビで面白そうな番組を探していたところ、ある学習塾を取り上げている番組を見つけました。完全オーダーメイドのテキストがセールスポイントの個別指導塾で、その塾の幹部は、将来を見据えた教育をして、生徒さんに「生きていく力」をつけさせてあげたいと語っていました。

「えっ」と思いました。それは学校に委ねられた課題のはずです。文部科学省のホームページには「生きる力を育むために」という言葉が載っています。私は、学習塾は本来、学校を補完する立場であるべきだと思っていますが、上記の個別指導塾は、学校に委ねられた役割を果たそうとしているようでした。

どう考えても、学習塾の人が、テレビで取材を受け、将来を見据えた教育をして、生徒さんに「生きていく力」をつけさせてあげたいと語ることには違和感を持ちます。これでは学校を否定しているようです。学校の現場が子供達を教え育てるという本来の役割を担えていないのでしょうか。問題点がうやむやにされたまま、現実だけが積み重なっていくようです。

因みに、テレビで取材された学習塾は参考になることも言っていましたのでご紹介致します。やる気が入る3つのスイッチ:上手にほめる・励ます、実現可能な目標を持たせる、生活習慣を整える

(2011年12月15日) 【企業が求めるグローバル人材】[▲ 先頭へ]
先月18日、日本経済新聞に載っていた広告のタイトル「企業が求めるグローバル人材 その活用と課題に迫る」が目に留まりました。経済産業省とJICA(国際協力機構)が主催し、企業の経営者や人事担当部長が講演、討論するものでした。

残念ながら、12月9日に東京で開催されたこのイベントには参加できませんでした。新聞広告の案内文から推測すると、新興国市場の拡大、途上国でのBOPビジネス(低所得層の生活向上を目的とする)、コミュニケーション能力、異文化理解等が議論されたと思われます。

この新聞広告を見ていて、学校の持つ役割は何だろうかと思いました。イベントの主催者や共催者に文部科学省は入っていませんでした。「企業が求めるグローバル人材」の前に、企業は大学卒業生の資質に何を期待し、どんな問題意識を持っているのでしょうか。大学を卒業したのであればこれ位の教養、思考力を持っているだろうという暗黙の推定があるでしょうが、大学卒業生の実際の姿との間にはギャップはないのでしょうか。

私は、産業界が期待する学生像と実際の姿の間に大きなギャップがあると感じています。先月17日付け本欄等で述べた中学生の地理の知識の乏しさは、その典型例です。中高生の学力レベルが下がっていることは、経済開発協力機構の学習到達度調査(PISA)でも明らかになっています。世界を相手に活躍できるグローバル人材になる前提として、学校教育でその土台が築かれるべきです。現状は満足できるレベルではないと思いますが、この点についての議論がなされていないと思います。どうすれば良いのか悩みます。

(2011年12月08日) 【日赤入院】[▲ 先頭へ]
タイトルから、私が病気になって入院したのではないかと、ご心配頂いた方もいらっしゃるかもしれません。(?) しかし、そうではありません。生徒さんの架空入院の話です。

毎年繰り返されることですが、中3クラスのケアレスミスが非常に多くなっています。今年は特にひどいです。英語の問題では、設問の指示確認ミスや英訳・和訳の訳し忘れが典型です。かなり英語ができる人も3単現のsを忘れることがありました。数学では、計算のケアレスミスの他に指示確認ミス、単位のミス等多様なミスがあります。

本欄で書いたことがありますが、小学生の時、私自身がおっちょこちょいで数多くのケアレスミスをしていました。しかし、中学校に入り、設問の指示部分に丸を描いたり下線を引いたりすることを教わってからは、つまらないミスはほぼ皆無でした。

私の経験を参考にして真似をしてくれる生徒さんもいますが少数派です。多くの生徒さんはケアレスミスを繰り返します。そこで、近くに赤十字病院がありますから、「日赤に入院しなさい」という私の言葉が出てきます。日赤病院の大部屋はサミット・ゼミの生徒さんで一杯になっています。余りにも軽はずみなミスをした生徒さんは、手術の要ありです。

ケアレスミスを繰り返せば、ケアレスミスをすることが実力の一部であると言わざるを得ません。これほど情けないことはありません。上述のちょっとしたことでミスはなくせるのです。

(2011年12月01日) 【上京 in November その2】[▲ 先頭へ]
先月、クラス会のために上京した際、神田神保町にある三省堂書店を訪ねました。私は、上京の度毎に新宿の紀伊國屋書店へ行き、大学受験用の問題集・参考書をチェックしています。このことは、本欄で何回か述べたことがあります。学生時代に神田神保町の三省堂書店を訪れた記憶はないので、初めての訪問だったかもしれません。

今年の8月に、日産自動車時代の先輩夫妻が当地に遊びにきてくれました。いろいろな話をした中で、書店の話になりました。私のホームページを時々見て下さっている奥様に、「神田の三省堂も大きいわよ。」と言われました。これがキッカケで同書店を訪ねた次第です。

三省堂書店のウェブサイトでは、学習参考書について「全国でも有数の学習参考書売場」とアピールしています。かなりの自信です。実際に学習参考書コーナーをチェックした感想としては、確かに充実しているものの、品揃えの充実度としては新宿の紀伊國屋書店に軍配が上がります。また、交通機関のアクセスは紀伊國屋書店の勝ちです。

さて、地元の書店ですが、以前にも述べた通り、うつのみや書店はよく頑張っていると思います。スペース的には学習参考書のコーナーは広くないものの、品揃えは悪くありません。学習参考書担当の方の工夫と努力を感じとることができます。大学受験で全国の受験生を相手にする石川の高校生のために、是非頑張って欲しいです。

(2011年11月24日) 【やはり英文法が大切】[▲ 先頭へ]
中3の皆さんが11月6日に受けた模擬試験の結果が戻ってきました。サミット・ゼミからは7名が受験しました。自慢話になり申し訳ありませんが、その内3名が英語で90点以上でした。平均点が51点だったので、非常にうれしかったです。その生徒さん達も喜んでいましたが、、私にとっても大きな喜びです。

英語の点数と英文法の力には、ほぼ正の相関関係がありました。英文法がしっかりしている生徒さんの点数が良かったのです。当たり前と言えば当たり前ですが、これはしっかり認識して欲しい事実です。ほとんどの中3生にとって長文問題が課題です。長文を速く正確に読めるか否かは英文法の力次第です。

ご父兄の皆さんとの定期電話連絡で、あるお母さんが、文法よりもリスニングやスピーキングが大切なのではありませんかと話されました。そのお母さんのお子さんは、総合的にかなり力がありますが、模試での英語の点数は悪くはないもののイマイチでした。その原因は文法の甘さです。私は、英語の授業中よく質問をしますから、各生徒さんの文法力を把握しています。

NHKのテレビやラジオの英語講座は英会話重視の傾向になっています。また、日本人は文法ばかり勉強しているので英会話ができないとよく言われます。英語圏の人達と単に会話を楽しむのであれば、文法をあまり勉強しなくても構いません。しかし、ビジネス・ミーティングでプレゼンテーションをしたり英語の論文を書いたりする時に使う英語は、会話の時に使う英語とはレベルが違います。文法がしっかりしていなければ、ハイレベルな英語を使うことはできません。英語に限らず、語学の勉強は単語と文法と言われます。それは、自分自身の経験、そして学習塾の経験から真実だと断言できます。

(2011年11月17日) 【上京 in November】[▲ 先頭へ]
毎年11月に開かれる大学のクラス会に出席するために上京しました。私はクラス会の永久名簿担当です。今回はクラス会以外にも幾つか目的がありました。一番の目的は東書文庫訪問でした。東書文庫とは、教科書で有名な東京書籍株式会社に附設する教科書図書館で、東京都北区にあります。

今年8月11日付け本欄「上京 その2」で述べたように、私の世代は、今の中学生の地理の知識の乏しさを知りません。今回のクラス会でも、皆に、中学生が学ぶ世界の国数と日本の都道府県数を尋ねてみました。全ての答えは、20〜30カ国と47都道府県全部でした。3カ国と3つの都県だよとの説明に、「何故?」という大合唱が起こりました。

私は、私自身が中学生の時に、世界や日本の地理についてどの程度学んだのかを知りたくなりました。そこで、金沢の中学生の社会の教科書を出版している東京書籍のHPを調べました。HPで問い合わせができましたので、昔の教科書を見ることはできないかを照会しました。すぐに返信のメールが入り、東書文庫の存在を知りました。

先週金曜日に東書文庫を訪れたところ、昭和40年代の社会の教科書もありました。日本では、九州地方、中国・四国地方、近畿地方、中部地方、関東地方、東北地方、北海道地方の地域的特色、工業、農業等の産業等が記載されていました。世界では、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、ソ連と東ヨーロッパ、アングロアメリカ、ラテンアメリカ、オセアニアに分かれて説明がありました。

時代が違うとはいえこの差は何でしょうか。この話を中3クラスでしたところ、「恥ずかしい」と言った生徒さんがいました。彼が悪いのではありません。教育の内容の問題です。悪いのは、問題の所在に気づいていない、あるいは気づいていても何ら正さない大人です。この意味では私も悪者の一人です。この現実をどのように是正したら良いのでしょうか。

(2011年11月10日) 【鬼心七分仏心三分?】[▲ 先頭へ]
新聞の愛読欄の一つである日本経済新聞・最終面の私の履歴書は、先月、東レ名誉会長の前田勝之助さんの履歴書でした。10月28日分の中に、「経営は鬼心七分仏心三分」という言葉が出てきました。瞬間的に、尊敬している日産時代の部長(その後専務取締役)に言われた言葉を思い出しました。それは、片目は泣いていても、もう片方は乾いていないといけないという言葉です。厳しさと温情の割合は異なるものの、似たようなことを示しています。

場面は違いますが、中高生の皆さんと一緒に勉強していて、この割合をどうすれば良いのかについてよく悩みます。厳しさと優しさのバランスです。私が基本的にイメージするのは強い部活です。生温い雰囲気では強くはなれません。良い意味の緊張感があれば強くなると思います。そこから「厳しく、楽しく」というサミット・ゼミの基本方針が出てきます。

厳しさの程度は相手によって異なります。かなり厳しく接しても大丈夫な生徒さんもいますし、ちょっとしたキツイ言葉で凹んでしまう人もいます。この味加減が課題です。この緊張感を伴う生徒諸君とのコミュニケーションは、まだまだ人間ができていない私にとって本当に難しいものです。もっと厳しくすれば良かったとか、厳し過ぎてしまったと反省することが少なからずあります。

(2011年11月03日) 【統一テスト・チェックリスト】[▲ 先頭へ]
中3の皆さんが受ける統一テストが来週に迫ってきました。次の日曜日には今年度3回目の模擬試験も予定されています。教室で見せる中3生諸君の表情には緊張感が漂ってきました。

今週の中3クラスでは、来週と1月の統一テストのための準備を怠らないよう、5教科それぞれの確認項目を記載したチェックリストの用紙を配布しました。英語に関しては、当ゼミオリジナルの教科書重要構文集、英単語リスト、ゼミの授業で書いたノート等の項目を入れました。

確認項目の内容は、普段の授業で指摘しているものです。わざわざ1枚のプリントにまとめる必要があるのか、少し考えました。中3の皆さんの自主性に任せたいところです。しかし、チェックリストがあれば便利ですし、大学入試や社会人になった時の参考になるという効果もあるので作成することにしました。

公立高校の入試まで4カ月という時期になりましたから、「鳴かぬなら鳴くまで待とう」ではなく、「鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギス」と考えました。

(2011年10月27日) 【「こころ」父親の嘆き】[▲ 先頭へ]
「子供に学問をさせるのも、好し悪しだね。折角修行をさせると、その子供は決して宅(うち)へ帰って来ない。これじゃ手もなく親子を隔離するために学問させるようなものだ」これは、夏目漱石の「こころ」の中で、東京の大学で勉強している主人公に対して、地方に住む父親が語った言葉です。私が普段感じていることが直截に述べられています。

私は、できれば大都市圏の大学に進学するのが良いと考えています。金沢そして石川は素晴らしい土地ですが、ずっと住んでいれば、その良さそして悪さはわかりません。一度故郷を出て大都会を経験すると、視野が広がるだけではなく、故郷を客観的に観察することができます。この故郷を出るには、大学進学は絶好の機会です。

しかし、「こころ」に出てきた父親が心配するように、大学卒業後の就職先について、故郷へ戻るという選択肢が現実的なものになっているでしょうか。大都会で就職するのも一つの人生の選択です。家族のいる故郷に戻って就職するのも一つの選択です。ここでの問題は、大都市圏の大学で学んだ優秀な学生をどれだけ石川に呼び戻せているかです。

就職人気企業ベスト5(毎日コミュニケーションズ、本年2月発表)は、文系学生で、JTB、ANA、資生堂、オリエンタルランド、三菱東京UFJ銀行、理系学生で、パナソニック、味の素、ソニー、東芝、明治製菓・乳業です。10社の本社は全て東京、大阪にあります。これらの会社が代表するように大学生が就職したい会社は大都市圏に偏在しています。

石川にもたくさん会社があります。しかし、誤解を恐れずに言えば、大都会で学んだ優秀な学生を地元に呼び戻せるような魅力的な会社が何社あるのでしょうか。給料、福利厚生等の待遇面、業務内容や展開規模、会社のイメージ等でどうしても大都市圏の有名会社に見劣りしているのではないでしょうか。

前回の本欄で述べたように、石川県にはU・Iターンを促進する制度や起業をアシストする制度はあります。しかし、それらの制度が大都市圏に出た優秀な人材を地元に呼び戻すのにどれほど機能しているのでしょうか。本当にUターンを促進するのであれば、地元の会社がもっと魅力的にならなければなりません。その為に何をすべきかを真剣に議論すべきだと強く思います。

大学進学で石川を離れた若者が地元で就職すれば、冒頭で紹介したような父親の嘆きはなくなるでしょう。また、真に地方の時代を目指すのであれば、石川を離れた優秀な人材を地元に呼び戻すことが必要です。地方が都会に対する単なる人材の供給基地であってはならないと思います。

(2011年10月20日) 【起業家よ福井に来たれ】[▲ 先頭へ]
お隣の福井県は、県内へのU・Iターン移住を促す「ふるさと起業家育成事業」を始めたそうです。本日のタイトルは平成23年10月5日付け日本経済新聞・北陸経済面の記事のものです。この事業は起業を希望する県外在住者を支援するもので、過疎化、高齢化、耕作放棄地の増加などの課題を解決する事業計画案を全国から募集し、このほど5人の計画が採用されました。

新聞を読んでいて、面白い計画だと思いました。我が石川県ではどのようなプログラムがあるのかインターネットで調べてみました。U・Iターンに関しては、首都圏からのU・Iターンを促進するために東京・大阪に「石川県U・Iターンサポートステーション」を設置しています。また、起業に関しては、金沢商工会議所に「創業アシスト」という制度があります。これは、創業準備段階から創業後のフォローアップまでの支援のパッケージです。

福井県に負けず、石川県にも然るべき制度が準備されています。ほっと安心しました。しかし、よく考えてみると、石川県の制度にしても福井県の事業にしても、ある大きな社会学的な問題に対する根本的な解決策とは言えません。この点については、次回以降の本欄で述べるつもりです。

(2011年10月13日) 【暗記用構文集】[▲ 先頭へ]
ここ数年来の懸案が解決しました。金沢と東京の大きな本屋さんで探したり、学習参考書コーナーの店員さんに尋ねたりして探していた暗記用英語構文集で適当なものがなかったので、結局は自分で作成しました。

大学入試2次試験の問題を収録した問題集の冒頭に、受験生へのアドバイスとして「英語表現を身につけるために、暗証用英文を覚え、同時に短い英作文を書いて解答を先生にチェックしてもらう。」という言葉があります。また、私自身の経験として、現役の頃は英作文が苦手でしたが、河合塾で渡された暗記用英文の小冊子を繰り返し覚えてからは苦手意識がなくなりました。

英作文を克服するためにはある一定数の英語構文を暗記することが非常に有効です。文法がしっかりし、相当数の英単語を覚えていても、それで英作文ができるほど甘くはありません。暗記用構文を覚えることが英作文マスターのための唯一絶対の手法かどうかは定かではありませんが、効果的な手法であることは確かです。

2年前の6月に暫定的なものを作りました。当時の高3生に役立ててもらうためでした。暗記用英文集としての一応の体裁は整っていましたが、英語表現に対する説明事項を入れなかったので、私のフラストレーションが溜まっていました。この時点では、何か良い英語構文集を探し出せるだろうと期待していました。しかし、状況は変わらず、7月の上京時の書店訪問を機に決断しました。

2年前の暫定版を基にして、暗記用英語構文に関する文法的・語法的説明を加えて、満足できる第1版が出来上がりました。今週の高校クラスで各学年の皆さんに配っています。来週月曜日の開校13周年を前にして、重かった肩の荷が下りました。

(2011年10月06日) 【松下村塾】[▲ 先頭へ]
日本経済新聞の最終面に、会社の経営者や芸術家が自らの交遊関係について語る「交遊抄」という欄があります。同じく最終面にある「私の履歴書」と共に毎日読んでいます。先週の交遊抄に「昌下村塾」という言葉が出てきました。昌三という名前のある会社の社長が、社内の若手教育をしている場だそうです。名前からしてあの松下村塾を意識しています。

私も、サミット・ゼミが松下村塾のような存在になれば良いなと思っています。幕末の志士を輩出した松下村塾のように、将来様々なフィールドで活躍できる人材を育てることが目標です。

松下村塾は1842年に吉田松陰の叔父である玉木文之進が開き、松陰自身は1857年から教えました。そして、その翌年、松陰が投獄されて廃止されました。松下村塾は16年間続きましたが、松陰が教えたのは意外にも2年間と短い期間でした。

限られた期間の中で、吉田松陰は塾生と熱い関係を築いていきました。私も、英語・数学の勉強そして進路の相談等を通して中高生の皆さんと太い信頼関係を築きたいと願っています。その1つの要素として、高校生の数学の更なるサポートを検討しています。

(2011年09月29日) 【理科の勉強と台風】[▲ 先頭へ]
先週水曜日、台風15号が浜松市に上陸し、関東地方を通過した後東北沖の太平洋へ進んでいきました。石川県は台風の直撃は免れましたが、その影響で雨が降ると共に冷たく強い北東の風が吹き気温が一気に下がりました。18日の最高気温が31.7度だったのに対して、20日は18.7度、21日は21.4度でした。

台風が日本列島から離れた先週後半の中3クラスで、何故火曜日と水曜日の気温が下がったのかを尋ねてみました。台風の位置によって冷たい北寄りの風が吹いたためという正解を答えてくれた人は、残念ながらいませんでした。かなり成績の良い生徒さんでさえ、「わからない」でした。

天気については学校で既に学んでいます。また、当ゼミの夏期講習で、高気圧や低気圧による天気の変化について復習しました。特に、巨大な低気圧である台風に向かう風の向きについてはホワイトボードで説明しました。知識は十分あるはずですが、それと現実の事象が結びついていませんでした。

せっかく知識があるのに身近で起こる事を説明できないのは悲しい現実です。きちんと学校で学んでいるのですから、その知識や思考を日常生活に応用して欲しいです。それができなければ、テストのための知識や思考になってしまいます。

子どもたちに接する大人が、学問と日常生活の接点について気付かせることが必要だと思います。それをすれば、彼らは、勉強する意味について「なるほど」と納得してくれるはずです。教育の「育てる」面について考えさせられました。

(2011年09月22日) 【核心を突くアドバイス】[▲ 先頭へ]
夏期講習の疲れがようやく取れた先週、突然思い立ってゴルフを再開しました。クラブを握るのは10年振りです。以前の変な癖に戻る前に正しいフォームを作ろうと思い、ゴルフスクールの体験レッスンに参加しました。

先ずは、クラブの握り方であるグリップをチェックされました。これはOKで、次にボールを打つよう指示されました。1球打ったところ、私の根本的に悪い点をコーチは見抜きました。クラブが振れていないという致命的なポイントでした。そして、どうすればクラブを振れるかについて分かりやすいアドバイスをくれました。

実は、体験レッスンの2日前に練習場へ行き少し打ってみました。結果は散々で、早々に引き揚げました。コーチのアドバイスは的確で、2日前とは別人のようにボールを打つことができました。もちろん、ゴルフを再開したばかりで失敗もたくさんありましたが、自分なりに満足できるレッスンでした。

本質に迫るアドバイスの大切さ、その有難さを実感しました。そして、このことから中高生の皆さんに対する英語や数学のアドバイスや進路のアドバイスが効果的なものになっているのかどうかを考えてみました。進路のアドバイスは、生徒さんの将来に影響する大切なものです。また、勉強に向かう姿勢についてのアドバイスは、ゴルフのスイングと同じで1人1人異なり難しいものです。様々な場面で、核心を突くアドバイスをしなければならないと改めて感じました。

(2011年09月15日) 【2次過去問練習】[▲ 先頭へ]
各高校では学校祭が終わりました。今月末から来月にかけて定期テストがあり、来月末には全国模試が予定されています。高2の皆さんは、この模試から理科・社会の科目が試験科目に入ってきます。

高2クラスでは、この秋の模試対策として、先週から2次試験過去問練習を開始しました。以前はこの練習は高2の年明けから始めましたが、数年前にトライアルで試したところ効果があったので、それ以降は高2の9月スタートにしています。

もちろん難問は使いません。秋の模試で出題されるであろう難度の問題を使います。先週は東北大学の易しめの過去問でした。問題を解説する時に東北大学の過去問と話したところ、高2諸君は様々な表情を見せました。彼らに良い刺激になれば良いと思います。

この2次試験過去問練習は高2・高3の模試対策として実施しますが、このレベル・形式の問題に慣れることによって、うまく1年半後の大学入試2次試験につながります。問題解説の際は、私が全英文を和訳すると共に英文構造を説明しますから構文把握の勉強になります。また、設問に対する答え方も詳しく解説します。これら2つのポイントは高校生諸君の英語力向上の原動力になります。

振り返れば彼らは昨年の春に高校に入学しました。高校に入ってまだ1年半しか経っていないのに、大学入試の2次試験の過去問に挑戦するのですから、その成長の度合いに感心させられます。ぐんぐん伸びている彼らの実力をさらに高めるよう私も頑張るつもりです。

(2011年09月08日) 【日々の圧倒的な努力】[▲ 先頭へ]
本や新聞を読んでいたり、テレビや映画を見ていたりする時に、ハッとする言葉に出会うことがあります。先日、テレビの対談番組で「日々の圧倒的な努力」という言葉を聞いて、その言葉の響きに圧倒されました。

何か面白い番組がないかとチャンネルを変えている時に、幻冬舎社長の見城徹さんを見つけました。村上龍さんが経済人と対談をするカンブリア宮殿という番組でした。見城さんについては、石原慎太郎さんに執筆を依頼する時に「太陽の季節」を丸暗記していったというエピソードを聞いたことがあり、凄い人物だという印象を持っていました。

5年後も会社が生き延びていくためには?という村上さんの質問に対して、見城さんは、5年先は闇の中でどうなっているかはわからないが、小手先の事ではなく、日々の圧倒的な努力が必要だと答えました。

努力の大切さについては言うまでもありませんが、「圧倒的な努力」という言葉には非常に重みがあります。表面的な見方、考え方ではダメであり、厳しい状況を打破するためには群を抜いた努力が必要だということです。

素晴らしい言葉なので、早速中高生の皆さんに紹介しています。彼らが何かを感じとって、毎日の勉強にプラスになるものがあれば良いと願っています。

(2011年09月01日) 【総合問題練習】[▲ 先頭へ]
中3クラスの夏期講習終盤では、英語・数学の50分総合問題を解きました。模試過去問を使って、学校の夏休み明けの実力テストや今月の模試に備える練習でした。

英語は実力通りの点数になる傾向が大きいのですが、やはり怖いのは数学です。かなりの実力の持ち主でも失敗することがよくあります。時間の使い方のミスや問題文のちょっとした読み間違えが大きく点数に響きます。先月の過去問練習でも、様々なミスがありました。

模試過去問練習をすることには幾つかのメリットがあります。1つは、高校入試の問題形式に慣れることです。2つ目は、50分の時間の感覚を掴むことです。3つ目は、数学各分野の出題パターンを習得することです。忘れていた事項を確認できることも重要なメリットです。先日は、作図の問題で、角の二等分線の性質を忘れている生徒さんが少なくありませんでした。

時間の使い方、大切な解き方、忘れていたこと、点数が伸びなかった原因分析等、50分の問題を解いた後で復習や反省をする点は多々あります。この復習や反省をしっかりすることを積み重ねれば、点数が安定してくるはずです。

(2011年08月25日) 【上京 その3】[▲ 先頭へ]
7月の上京最後の食事は、福井県出身の友人とのゆったりしたランチでした。いろいろ話した中に、高校生の皆さんに参考になる話がありました。

高校生の時、彼は数学が苦手だったそうです。数学が苦手であれば大学合格は難しくなります。入試が大変だったのでは、という問いかけに対して、彼は次のように説明しました。高2から高3になる時に、数学の教科書の例題を総復習したそうです。例題を復習した上で問題練習をするうちにだんだん問題が解けるようになり苦手意識が消えていったとのことでした。

彼が教科書の例題に戻ったことは、基本を大切にするという意味で大正解だったと思います。昨年度、数学センター練習の授業をした時に、やはり基本の大切さを痛感しました。各分野の基本が理解できなければ応用問題を解けるはずがありません。

8月後半のこの時期ですから、数学の教科書の例題を総復習することは、数学が苦手な高3の皆さんには現実的な話ではないかもしれませんが、高2の皆さんにとっては参考になると思います。当ゼミ高2クラスの皆さんには、既にこの話を伝えてあります。

(2011年08月18日) 【夏期講習・社会】[▲ 先頭へ]
中3クラスの夏期講習では、普段の英語・数学・作文に加えて、国語読解・理科・社会の勉強もしています。普段の授業より時間が長く回数も多いので、かなり疲れがたまってきました。残りは2週間、生徒の皆さんも頑張っているので、私も頑張らなければなりません。

前回の一言にも関係しますが、今の中学生は学校で覚える知識量が非常に乏しいので、社会の問題では珍答、迷答が続出します。県名と県庁所在地名の問題では正答率が低くて、日本人として「これで良いのか」と悲しくなりました。しかし、これはまだ良い方で、旧国名の入った産物や地名と現在の県名の問題では、悲しくなるのを通り越して笑ってしまいました。今年、実際にあった解答は次の通りです。薩摩半島:熊本県、長崎県、山口県。讃岐うどん:佐賀県、京都府。越前和紙を石川県と答えたツワモノもいました。

学校の先生はこのような状況を認識しているはずですが、これで良いと思っているのでしょうか。教育委員会や文部科学省は本当にこれで良いと思っているのでしょうか。実社会、経済界は、学校で乏しい知識しか学ばれていないことを認識していないと思います。このギャップは、近い将来、日本の経済力の地盤沈下という形で表れるのではないか心配です。

(2011年08月11日) 【上京 その2】[▲ 先頭へ]
大企業の幹部は、中学生の地理の知識についてどのように思っているでしょうか。7月に上京して、大企業に勤務する学生時代の友人2名と飲んだ時に聞いてみました。質問は2つです。1つは、今の中学生が学校で世界の何カ国について学んでいるか。もう1つは、日本の都道府県の幾つを習っているか。

最初の質問に対する2人の友人の答えは、20カ国と30カ国でした。教科書で学ぶのは3カ国との私の説明に対して、2人とも愕然としました。もう1つの質問に対しては、2人共通で「当然47都道府県全部だろう。」との答えでした。教科書で学ぶのは3つだけと話した時は、2人とも開いた口がふさがらないという表情でした。

40代以上の人達は、学校でかなりの知識を蓄えて社会に出ました。しかし、それより若い世代、特にゆとり教育で学んだ人達の知識は非常に限られています。会社の管理層は、若い世代の乏しい知識と思考力の低さを感じていると思いますが、それは学校教育のなせる技です。

あと10年位すれば、学校で知識を蓄え思考力を磨いた管理層の人達が定年で会社を去り、乏しい知識と弱い思考力しかない世代が会社の運営の中心になると思われます。その時に、グローバリゼーションの中にある日本の会社、そして日本の経済がどうなるのかとても心配です。

(2011年08月04日) 【円高】[▲ 先頭へ]
先週の中3クラスの休憩時間に、夏休みの自由研究について話していました。いろいろ話しているうちに、先週からニュースで報道されているアメリカ債務上限引上げ問題、そして円高が話題に上りました。

中3の皆さんは外国為替をまだ習っていませんが、日本にとって非常に重要な問題なので、円高の良い面と悪い面について説明しました。日本は貿易立国であり、輸出の比重が大きいので、どうしても円高の悪い側面が中心になりました。

自動車や電機等の輸出で利益を上げている会社にとって円高がどれほど大きな問題かを具体的に話しました。1年間の会社の利益と、1円の円高でその会社が被る損失を比較すれば、中3の皆さんにも理解し易い内容になります。

そして、円高の影響を避けるため、日本の会社が海外に進出せざるを得ないことについても説明しました。そうなると、国内の工場を閉鎖することになり、何百人、何千人の人が仕事を失うことになってしまいます。

中3の皆さんは、この円高の話を興味深く聞いていました。身を乗り出すように聞いてくれた人もいました。円高が日本にとって深刻な問題だと認識してくれたようでした。私は、中高生と実社会の架け橋でありたいと思っているので、機会があればこのような話をするつもりです。彼らの実社会に対する興味が増すでしょうし、やる気を刺激することにもなるでしょう。

(2011年07月28日) 【上京】[▲ 先頭へ]
夏期講習を前にして、少し時間が空いたので東京へ行ってきました。東京では、主に友人と会いますが、必ず立ち寄る場所があります。それは、新宿にある紀伊国屋書店です。

今回も、紀伊國屋書店の8階にある学習参考書のコーナーで小一時間過ごしました。目的は、最近評判になっている参考書・問題集があるか否かのチェックと予てからの課題である英作文用の参考書のチェックの2つです。

新しい参考書や問題集は幾つかありましたが、これが圧倒的に素晴らしいという程ではありませんでした。英作文用の参考書については、担当の店員さんにアドバイスを求めながら探しましたが、「これだ!」という物はありませんでした。ここ3年位探しても出てこないので、自分オリジナルの物を作ることになるかもしれません。

売り場を見ていて気付いたのは、英文読解の参考書の多さです。2、3冊手にとって内容を見てみました。どれも然るべき内容でした。しかし、英文読解の参考書がどれだけ良くても、学校で使っている英文読解の教科書を優先させるべきです。授業で使う教科書を予習することで英文構造を見抜く力を養うことが正道です。紀伊國屋書店で参考書を手に取りながら、教科書の重要性を再認識しました。

(2011年07月21日) 【速読】[▲ 先頭へ]
高校クラスでの英文読解練習は、精読と速読を繰り返しています。先日、高2の皆さんの速読力が上がっている事に驚き、同時にとてもうれしくなりました。

今月上旬にあった全国模試前は、模試対策として長文精読を続けていましたが、先週の高2クラスでは、速読練習としてセンター試験形式の問題に初めて挑戦しました。易しい英文で速読練習を積んだことと受験生用単語集でセンター試験レベルの単語を一通り覚えたことを受けての挑戦でした。

センター試験の英文読解問題は第3問から第6問で、先週は文意把握読解問題である第3問の練習でした。第3問はA、B、Cの3つに分かれていて、英文量が多いので時間がかかる問題です。受験生の場合、標準時間は15分ですが、初めての挑戦だったので制限時間は20分にしました。

各メンバーがどのように対応するか興味を持って見守りました。結果は私の予想を超えるものがありました。15分の標準時間程度で読み終えた人が半分いて、正答率も悪くはありませんでした。速読の方法は中3の夏休み終盤に伝えて、少しずつ練習してきました。生徒の皆さんは、確実に速読の力を向上させています。

今後の速読練習もセンター試験形式の問題を使う予定です。この練習は、センター試験対策だけではなく、2次試験の精読問題の読解にも良い影響を及ぼすはずです。

(2011年07月14日) 【デジタル読解力】[▲ 先頭へ]
「デジタル読解力」という聞き慣れない言葉が先月末の新聞に登場しました。経済協力開発機構(OECD)が実施している学習到達度調査(PISA)の1項目で、インターネットやメールの技能を使って問題を解くものだそうです。

2009年の調査の内、読解力、数学的応用力、科学的応用力の結果は昨年12月に公表されましたが、デジタル読解力の調査結果は先月28日に公表されました。日本は19カ国・地域の内4位です。日本の成績が良さそうに見えますが、65カ国・地域の中で、読解力が8位だったことと比べればあまり評価できるものではありません。

デジタル読解力の内容は新聞記事だけからはよくわかりませんが、文部科学省は、調査で測ろうといている能力はデジタルも筆記型も同じとしています。

読解力に問題を抱える高校生や中学生がとても多いので、デジタル読解力が4位で、読解力が8位という結果には疑問を感じます。学習到達度調査は2000年から始まり、3年毎の調査は4回しか実施されていません。30年、40年という単位で調べれば、読解力にしても数学的応用力にしてもかなり危機的な状況に陥っているのではないかと感じます。

(2011年07月07日) 【ケアレスミス その2】[▲ 先頭へ]
次の日曜日には中3の皆さんが受験する模擬試験があります。今年度初めての模試です。問題形式に慣れるため、先週と今週の中3クラスでは、7月の模試過去問を練習しました。

今週の数学の過去問練習の後、丸付けをしていて悲しくなりました。分数式での通分の忘れ、扇形の周の長さを出すのに弧の長さだけ答えて半径部分を忘れたもの、方程式の文章題で何をXにするかの書き忘れ、単位のついた多項式の答えでのカッコの付け忘れ、ある辺とねじれの位置にある辺を答える時の「辺」の付け忘れ等という典型的なミスのオンパレードでした。

これらは全て、3月の中3クラスの開講以来、注意するように指摘してきたものです。まだ夏休み前で、高校受験生の皆さんがのんびりモードで過ごしているからミスが重なるのかもしれません。様々なミスが想定以上に重なったので、問題解説の時は少し厳しく注意しました。

人間のすることですからミスは仕方ありません。しかし、同じミスを繰り返さないことが非常に大切です。彼らが今後同じミスをしないよう期待するばかりです。